Aerosmith／『Just Push Play』

2004年にスタジオ・アルバム『Honkin' On Bobo』をリリースしている Aerosmith だが、純粋な新曲が詰まったスタジオ・アルバムはこの2001年にリリースした『Just Push Play』が最後で、以来、10年が経ってしまった。

前作『Nine Lives』のプロデューサーは Aerosmith 名義だったが、この『Just Push Play』では Steven Tyler と Joe Perry のふたりに Mark Hudson と Marti Frederiksen を加えた4人がクレジットされていた。

Mark Hudson とは1993年のスタジオ・アルバム『Get A Grip』以来、Marti Frederiksen とは前作『Nine Lives』から曲作りを共にしてきて、『Just Push Play』では『Trip Hoppin'』『Under My Skin』『Luv Lies』『Avant Garden』の4曲がこの4人による共作だった。Marti Frederiksen はこの4曲を含め10曲に関わり、Mark Hudson はアルバムの半分にあたる6曲に関わっていた。

日本人の空山基がデザインしたアンドロイドの Marilyn Monroe が描かれた『Just Push Play』は2001年3月にリリースされると、その1か月後に早くもアメリカで100万枚を売り、全米チャートで最高2位を記録。アルバムからのリード・シングルとしてカットされた『Jaded』は映画絡みの『I Don't Want To Miss A Thing』を除けば、1990年のシングル『What It Takes』以来となる全米チャート Top10 入りを果たし、最高7位を記録した。

『Jaded』に続く2ndシングルにはバラードの『Fly Away from Here』がカットされたが、こちらは全米チャートで最高103位と奮わず、かろうじてロック系のチャートで最高24位を記録するに留まり、『I Don't Want To Miss A Thing』に続く路線のシングルは不発に終わった。

以降、アルバム・タイトル曲や『Sunshine』をシングル・カットしたが、いずれも全米チャートでランクインを果たせず、結果『Just Push Play』は『Jaded』の印象が強く残るアルバムになってしまった。

だが、シングルにならなかった曲の中でも『Under My Skin』『Outta Your Head』『Light Inside』の3曲は好きで、3分半前後の『Outta Your Head』と『Light Inside』の2曲は特にこのアルバムで好きな曲だった。

『Trip Hoppin'』ではホーン・セクションに Tower Of Power を起用したり、『Sunshine』や『Fly Away From Here』ではストリングスを加えていたが、『Outta Your Head』と『Light Inside』ではそういった装飾を加えず、Aerosmith のメンバーだけで作られたところも好きだった理由かもしれない。

Joe Perry がリード・ボーカルの『Drop Dead Gorgeous』も面白い曲だったが、新しい路線を意識し過ぎな感があった。そして『Just Push Play』には Steven Tyler のふたりの娘、Liv と Chelsea がそれぞれ『Avant Garden』と『Under My Skin』に参加しているという話題もあった。

『Just Push Play』の収録曲に Aerosmith らしさを感じるところは随所にあったが、聴きやすいポップな曲が多く、メンバーが歳を重ねたことで作る曲もカドが取れて丸くなってしまったという感じも受けた。

オリジナルのスタジオ・アルバムをこの『Just Push Play』以来、10年もリリースしていない Aerosmith だが、現在制作中の新作はどんな内容になるのだろう。久々の来日公演も好評だっただけに Aerosmith らしいロックな曲を新作ではたくさん聴きたいところだ。

Just Push Play
Beyond Beautiful
Just Push Play
Jaded
Fly Away From Here
Trip Hoppin'
Sunshine
Under My Skin
Luv Lies
Outta Your Head
Drop Dead Gorgeous
Light Inside
Avant Garden

タグ：2001 Aerosmith