Pink Floyd／『The Division Bell』

『The Division Bell』は2011年現在、Pink Floyd の最新スタジオ・アルバムで、このアルバムに伴うツアーのライブ盤『PULSE』が1995年にリリースされているが、実質『The Division Bell』が Pink Floyd 名義のラスト・アルバムと呼んでも差し支えないだろう。

1987年の『A Momentary Lapse Of Reason』に続き Roger Waters 抜き、ギタリストの David Gilmour ら残る3人を中心に作られた『The Division Bell』は、作曲の面では全11曲中4曲でキーボードを担当する Richard Wright が David Gilmour と共にクレジットされ、『Wearing The Inside Out』では Richard Wright がボーカルも務めていた。

また、この頃 David Gilmour の恋人で、後に結婚した Polly Samson が『Cluster One』などのインストルメンタルを除く7曲で David Gilmour と共にライターとしてクレジットされていた。

『The Division Bell』はコミュニケーションがテーマにあり、3曲目の『Poles Apart』では初期のメンバー Syd Barrett や、この頃に不仲な存在だった Roger Waters のことを謳っていたと Polly Samson は語っていて、David Gilmour も『Coming Back To Life』では Polly Samson について書いたとコメントを残している。

『The Division Bell』は1975年の『Wish You Were Here』以来となる英米のアルバム・チャートで No.1 を記録し、アメリカでは300万枚のセールスもマーク。ほぼ同じ時期にリリースされた Roger Waters のソロ・アルバム『Amused To Death』と比べると『The Division Bell』はチャート/セールスの両面で『Amused To Death』を上回る結果を残した。

『The Division Bell』からは『Take It Back』や『High Hopes』などがシングル・カットされ、総合チャートでこそ結果を残せなかったが、全米ロック系チャートでは『Take It Back』が最高4位を記録。『High Hopes』は最高7位に、『Keep Talking』は同チャートで No.1 を記録した。

また『The Division Bell』に2曲あるインストルメンタルのうち『Marooned』は1995年の Grammy 賞で Best Rock Instrumental Performance にも選ばれた。

『The Division Bell』はそのアートワークも話題になった。Hipgnosis のメンバー Storm Thorgerson が手掛けたジャケットは1トンにも及ぶという巨大なメタル・ヘッドを中心にその背景やライティングが CD やアナログ盤、MD、カセットという媒体で少しずつ異なり、UK 盤と US 盤でもそれが少しずつ異なるという凝ったデザインだった。

2005年に Roger Waters 抜きの3人体制 Pink Floyd のアルバム4枚が紙ジャケット仕様でリイシューされたとき、『The Division Bell』は UK アナログ盤仕様を元にしたダブル・ジャケットというかたちでリイシューされた。

The Division Bell
Cluster One
What Do You Want From Me
Poles Apart
Marooned
A Great Day For Freedom
Wearing The Inside Out
Take It Back
Coming Back To Life
Keep Talking
Lost For Words
High Hopes

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