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Elvis Costello/『North』 [CD]

North.jpg2012年に最初にこのブログで紹介するアルバムは、Elvis Costello が2003年9月にリリースしたソロ名義でのスタジオ・アルバム『North』。

ジャケットに写る Costello は雨の降りしきる中、体をすぼめて歩き、『North』というタイトルにあるような寒い雰囲気がこのジャケットからも伝わってくる。

Costello は私生活の面で2002年暮れ、前妻 Cait O'Riordan との間にピリオドを打ち、この『North』をレコーディングしていた2003年春には Diana Krall と婚約。そんなことを思いながらアルバムの最初を飾る『You Left Me In The Dark』を聴くと、この曲では前妻との別れを、そしてアルバム最後の曲『I'm In The Mood Again』では Diana Krall との婚約に触れているようにも思える。

そんな雰囲気を高めているのが、この『North』に収録された曲をプレイしている面々で、Costello のアルバムにお馴染みの Steve Nieve がしっとりとピアノを弾き、Michael Formanek と Brad Jones のベースと Peter Erskine のドラムは曲の雰囲気に合わせ最小限なプレイを。曲によってホーン類や弦楽器が追加され、7曲目の『Still』では Brodsky Quartet の4人が参加している。

その『Still』の辺りからアルバムの雰囲気や Costello のボーカルには、静かな中にも明るい様子が感じられ、Diana Krall との出逢いがアルバムの後半にかけて表れているようにも感じられる。

この『North』というアルバムはそれまでの Costello のアルバムと違い、ギターをかき鳴らすような曲はひとつもない。『Let Me Tell You About Her』では Lew Soloff による Flugelhorn のソロが中盤に登場し、続く『Can You Be True?』ではフルートやクラリネット、サックスやホルンなどがアレンジされ、Costello 自らがその指揮も執っている。

全11曲を Costello が書いた曲で構成された『North』はジャズの雰囲気を持つアルバムと紹介しているところもあるが、そんな印象はなかった。

英米のアルバム・チャートでそれぞれ44位と57位が最高位と、チャート上の成績は2002年の前作『When I Was Cruel』ほどの結果は残せなかった『North』だが、ジャケットやタイトルにあるような寒いところで暖を取りながらしっとりと聴くようなアルバムで、最後に登場する Costello のピアノと Bill Ware の Vibraphone だけで作られた『I'm In The Mood Again』を聴くと、身も心もちょっとだけ温まるような感じにもなった。

North.jpgNorth North - Elvis Costello
You Left Me In The Dark
Someone Took The Words Away
When Did I Stop Dreaming?
You Turned To Me
Fallen
When It Sings
Still
Let Me Tell You About Her
Can You Be True?
When Green Eyes Turn Blue
I'm In The Mood Again


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