この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。
Elvis Costello/『Trust』 [CD]

わずか42分足らず、リリース当時の LP に両面で7曲ずつ全14曲を収めた『Trust』は英米のアルバム・チャートでそれぞれ9位と28位を記録。アルバムからのシングルはトップを飾る『Clubland』が全英チャートで最高60位を、『From A Whisper To A Scream』が全米ロック系チャートで最高33位を記録して、『Watch Your Step』もアメリカでは『Luxembourg』をカップリングにプロモーション向けシングルとしてカットされたようだ。
ジャケットの印象だけが、なぜか記憶に残っている『Trust』をまともに14曲通して聴いたのは、オリジナルのリリースからかなり経ってからで、2003年に他の初期のアルバムと共に Rhino から2枚組でリイシューされたときが初めてだった。
その時の『Trust』の印象は Costello と Steve Nieve、Bruce Thomas、Pete Thomas の4人のメンバーが作る3分前後の短めの曲が次から次へと流れ、なんだかあっと言う間に40分ちょっとの時間が過ぎてしまうアルバムだという感想だった。
2003年にリイシューされた『Trust』には Costello 本人によるアルバム制作当時を振り返るかなりの長文が掲載されたブックレットが付属していて、その日本語訳も付いていた。それによると『Trust』制作時の Costello はその長いキャリアの中で最もドラッグの影響下にあったアルバムとあり、Costello の言葉によると「半神経衰弱状態で完成」したアルバムと記されていた。
完璧な準備を行ったにも関わらず、間違ったスタジオでレコーディングを始めてしまったことで『Trust』というアルバムに必要な雰囲気が出せなかったことが、このリイシュー盤の2枚目のボーナス・トラックにある曲で聴くことができると、Costello 自身の説明にあって、こういった事実はおそらくリリースされた1981年当時は明らかにされていなかったことではないだろうか。
この Costello 自らの解説では『From A Whisper To A Scream』で Squeeze のメンバー Glenn Tilbrook がボーカルを務めた経緯も書かれていて、この当時の Costello は多くの夜を酒宴に費やしたことで声が出なくなってしまい、そんなときにボーカルの代理を申し出た Glenn の結果があまりに良かったので、Costello の声が回復次第、この曲をデュエットにすると決めたとも書いてあった。
他にも『Trust』収録曲について多くのことが Costello の回想を元に書かれているので、この2003年のリイシュー盤は2枚目の全17曲が収録されたボーナス・ディスクの価値も高いが、丁寧な訳が付属した日本語盤を見つけたら、ぜひ、そちらをお勧めしたい。
『Trust』は曲の雰囲気や聴いた印象もいいアルバムだったが、こういう制作秘話を読みながら聴くと、また違う発見があって、今もなお面白いアルバムだと感じた。


Clubland
Lovers Walk
You'll Never Be A Man
Pretty Words
Strict Time
Luxembourg
Watch Your Step
New Lace Sleeves
From A Whisper To A Scream
Different Finger
White Knuckles
Shot With His Own Gun
Fish 'N' Chip Paper
Big Sister's Clothes
2012-01-07 12:00
nice!(1)
コメント(0)
トラックバック(0)▲ページトップ▲
コメント 0