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Phil Collins/『Face Value』 [CD]

Face-Value.jpgPhil Collins のソロ・デビュー盤『Face Value』がリリースされたのは1981年2月。もう、このアルバムのリリースから30年もの年月が経つ。英2位/米19位のヒットを記録したソロとしてのデビュー・シングル『In The Air Tonight』や、ライブ映えのする『Hand In Hand』という曲を含むいいアルバムだと思うが、未だに他のソロ・アルバムも含めてリマスターの機会に恵まれていない。

健康面の理由から音楽業界からの引退を表明した Phil のソロ作は好き嫌いもあるようだが、「世界一多忙な男」が手掛けたアルバムには細部に拘って作られた曲が多い。

手元にある『Face Value』の CD は2作目のソロ・アルバム『Hello, I Must Be Going!』と共に1980年代中盤に購入した。今、聴くと音量のレベルは最新の CD に比べてかなり低く、解像度の面でもあまり褒められたものではない。『Face Value』も含めて Phil のソロ・アルバムを現在の最新リマスターで改めて聴いてみたいと思うのだが、その予定はどこにもないのだろうか…?

『Face Value』は全英チャートで John Lennon の『Double Fantasy』に代わって3週間 No.1 を記録。全米チャートでは最高7位まで上昇し、アメリカでは500万枚のセールスも記録した。この当時の Phil は Genesis としてアルバム『Duke』を1980年3月に、Brand X として1980年4月にアルバム『Do They Hurt?』をリリースしていた。

音楽活動では Genesis と Brand X を並行させていた Phil だったが、私生活の面ではこの頃、最初の妻 Andrea Bertorelli との破局を迎えていた。Genesis のアルバム『Duke』にもその影響から書かれた曲があり、このソロ・デビュー盤『Face Value』もその影響が『You Know What I Mean』や『If Leaving Me Is Easy』などの曲にも表れていた。

Andrea と離婚後の Phil は自宅に篭り、そのことを曲にしたが、当初はこれをレコードにする予定はなかったらしい。しかし、当時 Genesis が在籍していたレーベルからソロ契約をオファーされたのを機に、ソロ・デビュー盤のコンセプトにこのとても個人的なことを使うと決めた。

Stephen Bishop がバック・ボーカルに参加した『This Must Be Love』だけは1984年に結婚する Jill Tavelman との関係を歌った曲だった。(しかし、その Jill とも1996年に離婚をしている)

『Face Value』の中にある曲では、この頃 Earth, Wind &Fire のホーン・セクションだった Phenix Horns を Genesis 時代の曲『Behind The Lines』のセルフ・カバーや、『Hand In Hand』『I Missed Again』『Thunder And Lightning』『If Leaving Me Is Easy』で起用。

Phenix Horns を使うことに周囲の反対もあったようだが、子供の頃に聴いていたアメリカの R&B の影響から Phil は Phenix Horns をソロ・アルバムに迎え、以降のソロ活動に Phenix Horns は欠かせないメンバーになっていった。

『If Leaving Me Is Easy』や『You Know What I Mean』でのストリングス・アレンジには Aretha Franklin や Wilson Pickett を手掛けた Arif Mardin を起用したのも幼少期に聴いていた R&B の影響なのだろう。また『If Leaving Me Is Easy』では後に『Behind The Sun』というアルバムのプロデュースを手がける Eric Clapton もギターに参加している。

Genesis や Brand X でドラムを叩いていた Phil だったが、この『Face Value』では自らのドラムの代わりにローランド製のドラム・マシーンも使っていた。アルバムのトップを飾り、ソロ・デビューで全英 No.1 になった『In The Air Tonight』でもその効果を前面に出し、アルバム最後の曲で The Beatles のカバー『Tomorrow Never Knows』でもこのドラム・マシーンを使っていた。

『Behind The Lines』から虫の声が終始聞こえる『The Roof Is Leaking』への流れはこのアルバムで好きなところで、『The Roof Is Leaking』での Daryl Stuermer のバンジョーと Joe Partridge のスライド・ギター、そして Phil のピアノというシンプルな構成も好きだった。

『The Roof Is Leaking』から間髪あけずに続く『Droned』というインストルメンタルでは Phil が本業のドラムではなくピアノやシンセサイザー、コンガなどをプレイし、インド出身の Shankar がバイオリンやタンブラをプレイ。そして LP 時代のA面の最後の『Hand In Hand』では評価の分かれた Phenix Horns やドラム・マシーンも駆使し、ここでは Phil の叩く生のドラムの音も聴けた。

改めて聴くといろいろと面白い発見の多い Phil のソロ・デビュー盤の『Face Value』。このアルバムこそ最新リマスターを施すと、もっと面白くなると思うのだが、どこかでリイシューを本格的にするところが表れないだろうか。

Face-Value.jpgFace Value Face Value - Phil Collins
In The Air Tonight
This Must Be Love
Behind The Lines
The Roof Is Leaking
Droned
Hand In Hand
I Missed Again
You Know What I Mean
Thunder And Lightning
I'm Not Moving
If Leaving Me Is Easy
Tomorrow Never Knows
タグ:Phil Collins 1981


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