SSブログ

XTC/『Black Sea』 [CD]

Black-Sea.jpgこの2週間、ブログで取り上げてきたアルバムは ABBA の30周年記念ボックス以外、全てイギリス出身のアーティストやバンドばかり。その中でも XTC のアルバムをデビュー盤から順番に取り上げてきたが、今回は1980年にリリースされた通算4枚目のスタジオ・アルバム『Black Sea』を紹介。

Black-Sea_green.jpgこの『Black Sea』もこれまでの3枚同様、2001年に紙ジャケット仕様でリイシューされたときに入手したアルバムで、1980年当時、日本でリリースされた際の緑色のスリーブも復刻され、その中にこの『Black Sea』のジャケットが収められていた。

この『Black Sea』の外側のスリーブは当時、他にも種類があったようで、日本ではバンド名とアルバム名を上部に位置した緑色のスリーブだったが、アメリカではその緑色のスリーブほぼ全面にバンド名とアルバム名が印刷され、その他に真っ黒なスリーブに銀色のフォントでバンド名とアルバム名が印刷されたタイプもあったようだ。

表ジャケットに写る XTC の4人の後ろにはカモメと船のマスト、月が描かれ、これが XTC と読めるようにもなっていた。

『Black Sea』のプロデュースは前作『Drums and Wires』に続き Steve Lillywhite が担当。エンジニアも前作から同じく Hugh Padgham が務めていた。

『Black Sea』は XTC のアルバムとして全英チャートでそれまでの最高16位まで上昇してシルバー・ディスクに認定。『Black Sea』からは先行シングルとして1980年8月にリリースされた『Generals And Majors』を含め、1981年3月までに英米で5枚のシングルがカットされた。

Colin Moulding が書いた『Generals And Majors』は全英チャートで最高32位、2ndシングルの Andy Partridge 作『Towers Of London』は最高31位とふたりの曲は揃って全英チャートで同じような結果を残した。また、1980年暮れにカットされた3rdシングル『Sgt. Rock (Is Going To Help Me)』は、この2枚を上回る最高16位を全英チャートで記録した。

『Black Sea』からの5枚のシングルは、先日紹介したベスト盤『Fossil Fuel The XTC Singles 1977-92』にも全て収められている。

『Black Sea』は結果として多くのシングルを輩出したアルバムになったが、1曲目の『Respectable Street』から Andy と Colin の書いた曲が交互に登場し、当時の LP でA面にあたる6曲はこのふたりのキャラクターが表れた曲が揃っていた。

CD 時代になって『Black Sea』は LP 時代のA面とB面の間にイギリスでリリースされた2枚組シングル『Generals And Majors』にあった3曲のアルバム未収録曲を挿入してリリースしたが、それはオリジナルの『Black Sea』の雰囲気を壊してしまい、2001年のリイシューでその3曲はアルバム最後へと位置を改められた。

アルバムからの最初の2枚のシングルで、しかも『Black Sea』を代表する2曲が LP 時代のそれぞれのサイドの序盤にあったことを考えれば、その間にいきなり Colin 作のアルバム未収録曲『Smokeless Zone』が登場するのはオリジナルを知っている方に大きな違和感を与えたことだろう。

しかし、それでも LP 時代の『Black Sea』をよく聴いた方には、ドラムの音が最後まで鳴り続けて水の音が流れる SE で終わる『Travels In Nihilon』がアルバムの最後にふさわしく、3曲のアルバム未収録曲は『Black Sea』の雰囲気を損ねるという意見だった。

LP 時代の『Black Sea』のB面にある5曲は全て Andy が書いた曲だが、デビュー盤のような強烈な個性を放つ曲は少なく、シングルになった『Towers Of London』や『Sgt. Rock (Is Going To Help Me)』のように口ずさめる曲も並んでいた。

だが、その流れも最後の『Travels In Nihilon』で一転、ドラムの音が特徴の7分を超える曲は Andy にしか作れないような曲で、アルバムの最後に一筋縄では終わらせないという XTC の意図が表れていているようだった。

『Travels In Nihilon』の最後はドラムの音が小さくなり、水の流れる SE で終わる。リイシュー版の『Black Sea』ではその後にいきなり陽気な『Smokeless Zone』が始まるが、確かに、これでは『Travels In Nihilon』のエンディングも台無しだろう。

リイシューで違いを出そうとボーナス曲を追加することはしょうがないことだが、オリジナルの『Black Sea』を改めて聴こうとするときは『Travels In Nihilon』で CD プレーヤーのストップ・ボタンを押したほうがいいだろう。

Black-Sea.jpgBlack Sea Black Sea - XTC
Respectable Street
Generals And Majors
Living Through Another Cuba
Love At First Sight
Rocket From A Bottle
No Language In Our Lungs
Towers Of London
Paper And Iron (Notes And Coins)
Burning With Optimism's Flame
Sgt. Rock (Is Going To Help Me)
Travels In Nihilon
【2001 Remastered Bonus Tracks】
Smokeless Zone
Don't Lose Your Temper
The Sonambulist
タグ:xtc 1980


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0)▲ページトップ▲

nice! 0

コメント 2

ノエルかえる

こんにちわ、
そうですね、賛成です。
出来れば、ボーナストラックはなしにしてもらいたいです。
別ディスクに入れて貰えればいいのですけれど。
ジャケットの背景の絵は、ケン・ホワイトさんと言う、
スウィンドン在住の画家です。
イギリスの集合住宅には、壁画を描く習慣もあったようなのですが、
ホワイトさんもそのような壁画も描かれていたそうです。
80年代の初めに、スウィンドン出身の著名人を集合させて
描かれた壁画を描かれたのですが、
その中には、XTC も入っていました。
by ノエルかえる (2012-01-28 18:09) 

MCMLXV_65

ノエルかえるさん、いつもコメントをありがとうございます。アルバム未収録曲が聴けること自体は嬉しいですが、アーティストやバンドの意図したつくりを崩さない追加をしてほしいですネ。

もう1枚のディスクをつける量でなかったり、いろいろと制約あるでしょうが、同時期に何枚ものアルバムをリイシューする場合はアルバム未収録曲だけ集めた別ディスクをリリースするとかレーベル側も考慮してほしいです。

ジャケット背景の話は全く知りませんでした! XTCも入った壁画、見てみたいです!!
by MCMLXV_65 (2012-01-28 18:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
記事と無関係なコメントの入力を固くお断りします。
無関係なコメントは見つけ次第、即、削除します。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
All Photo and Text copyright(c) White Dragon All Right Reserved.
Related Posts with Thumbnails

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。