The Cranberries／『Bury The Hatchet』

もう一枚、The Cranberries のスタジオ・アルバムを紹介する今回は、1999年にリリースされた通算4枚目のアルバム『Bury The Hatchet』を。

前作『To The Faithful Departed』まで The Cranberries のジャケットには4人のメンバーが写っていたが、この『Bury The Hatchet』では4人のメンバーは誰も写ってなく、地平線が見える広大な場所で巨大な目に睨まれている裸の人物という不思議なデザインだった。

ジャケットにあるクレジットを見ると、このデザインを手掛けたのは Hipgnosis の一員だった Storm Thorgerson で、The Cranberries の2001年リリースのアルバム『Wake Up And Smell The Coffee』のジャケット・デザインでも Storm Thorgerson の名前を見ることになる。

前作はチャートでそこそこの結果を残したが、セールスはそれ以前の2枚のアルバムに及ばず、ツアーも途中でキャンセルとなり、ボーカルの Dolores O'Riordan がソロ活動に入るのでは…? という噂も当時は飛び交った。

そんな時期に前作から3年ぶりにリリースされた『Bury The Hatchet』は「仲直りする」「元の鞘に収まる」という意味があり、ここにある全14曲は前作や前々作にあった攻撃性がやや影を潜め、アコースティックな雰囲気のある曲が再び多く取り上げられていた。

その傾向はアルバムの1曲目を飾る『Animal Instinct』から表れ、他にも後にシングル・カットされた『You And Me』『Just My Imagination』に、そのスタイルがみられ、これらの曲で聴ける Dolores のボーカルはデビュー盤の頃を思わせるようだった。

『Bury The Hatchet』からのシングルはアルバムの中でもテンポの速い曲の1つ『Promises』が先行シングルに選ばれ、ここでは離婚のことが歌われていた。他にも『Bury The Hatchet』では母性のことや児童虐待のことなど、この頃、一人目の子育てをしていた Dolores の心情が反映されたような曲が収められていた。

The Cranberries のアルバムにある曲はそれまでも Dolores が全ての歌詞を手がけてきたので、多かれ少なかれ Dolores の心情が曲に表れていたが、この『Bury The Hatchet』では結婚して子供を授かったことが、より穏やかなスタイルに変化した1つの理由のようにも感じられた。

『Promises』のようなテンポの速い『Copycat』『Delilah』はアルバムの中でともに好きな曲だが、『Dying In The Sun』のようにピアノをバックにして Dolores がシンプルに歌い上げる曲も、この『Bury The Hatchet』では好きな曲だった。

『Bury The Hatchet』もこれまでの3枚のアルバムと同じく2002年に The Complete Sessions 1998-1999 というバージョンがあり、ここにはシングルのカップリングになった5曲が追加収録されていた。

また、この The Complete Sessions 1998-1999 とは別に、2000年に The Complete Sessions という2枚組の『Bury The Hatchet』もリリースされ、ここには前述の5曲に加えて、1999年12月9日にフランスのパリにある Bercy で行われたライブから7曲が収められていた。

Bury The Hatchet
Animal Instinct
Loud And Clear
Promises
You And Me
Just My Imagination
Shattered
Desperate Andy
Saving Grace
Copycat
What's On My Mind
Delilah
Fee Fi Fo
Dying In The Sun
Sorry Son
【Bonus Tracks】
Baby Blues
Sweetest Thing
Woman Without Pride
Such A Shame
Paparazzi On Mopeds

タグ：The Cranberries 1999