Jeff Beck／『Blow By Blow』

Jeff Beck は1968年にスタジオ・アルバム『Truth』をリリースし、このアルバムを第一期 Jeff Beck Group と捉えられることもあり、今回紹介するこの『Blow By Blow』が Jeff Beck 名義として初のソロ・アルバムとみなす向きもある。

『Blow By Blow』は1970年代を代表する名盤、ロックとジャズのクロスオーバーした名盤として、そのジャケットやタイトルを見聞きしていたが、1曲目の『You Know What I Mean』から最後の『Diamond Dust』まで通して聴いたのは2005年に Epic レーベル時代の『Rough And Ready』から『Jeff Beck's Guitar Shop』までの10枚が紙ジャケット仕様でリイシューされたときが初めてだった。

このときの紙ジャケット仕様は2004年に新規 DSD マスタリングされた音源を使用し、アートワークはイギリスでリリースされた1975年当時の LP を再現。日本盤の初回プレス盤に使われたオビも再現し、それでいて1890円 (税込) という価格で、とても手に入れやすいモノだった。(2005年のリイシュー時の各アルバム紹介はこちら)

『Blow By Blow』には有名な曲が多いが、その中でも特に Stevie Wonder 作、LP 当時にB面の最初を飾っていた『Cause We've Ended As Lovers』は群を抜いて有名な存在で、曲名やプレイしている Jeff Beck の名前を知らなくても、そのメロディを聴いたことがあるという方は多いだろう。

Stevie Wonder が書き下ろした曲はジャズ・ピアニストの Thelonious Monk に捧げた、タイトルもずばり『Thelonius』という曲もあった。

『Blow By Blow』は Stevie Wonder からの2曲の他に、第2期 Jeff Beck Group でキーボードの Max Middleton と『You Know What I Mean』や『Air Blower』『Scatterbrain』を共作し、Max の単独作として『Freeway Jam』もあった。

アルバムの最後を飾る8分を超す大作『Diamond Dust』は Max のキーボードも聴きどころの1つで、この曲の作者には Max や第2期 Jeff Beck Group のボーカルだった Bobby Tench らが1974年に結成した Hummingbird のギタリスト Bernie Holland の名前があった。

そして『Blow By Blow』のプロデュースは The Beatles のアルバムを手掛けてきた George Martin が起用され、LP 時代のそれぞれの最後を飾る『Scatterbrain』と『Diamond Dust』でのアレンジにも貢献していた。

その George Martin からの繋がりか、The Beatles の1964年のシングル『I Feel Fine』のB面曲だった『She's A Woman』のカバーも、この『Blow By Blow』には収められていた。

全9曲で約45分の『Blow By Blow』は、いろいろ聴きどころの多いアルバムだが、やはり Jeff Beck のボーカルを超えたギター・プレイが一番の聴きどころだろう。

LP 時代のそれぞれのサイドにある曲は巧みな編集で繋がっていて、それぞれのサイドの約20分あまりは1つの組曲のようで、スタジオ・アルバムながら Jeff Beck のステージを見ているかのようでもあった。

『Blow By Blow』は John Collier が描いた Jeff Beck のイラストも魅力の1つ。このジャケットを見ていると『Cause We've Ended As Lovers』のメロディが聴こえてきそうだ。

Blow By Blow
You Know What I Mean
She's A Woman
Constipated Duck
Air Blower
Scatterbrain
Cause We've Ended As Lovers
Thelonius
Freeway Jam
Diamond Dust

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