Earth, Wind & Fire／『Touch The World』

前作『Electric Universe』を最初から最後まで通して聴いたのは、この3月に紙ジャケット仕様で Columbia レーベル時代のアルバム15枚がリイシューされたのがきっかけだったが、この『Touch The World』も同様で、1曲目の『System Of Survival』から最後の『Victim Of The Modern Heart』まで通して聴いたのは、この機会が初めてだった。

アルバムからの1stシングル『System Of Survival』だけは1987年当時、シングル・ヒットしたこともあって聴いた記憶があったが、Janet Jackson みたいな曲にかつての Earth, Wind & Fire らしさはほとんどなかった。

『System Of Survival』では1983年のスタジオ・アルバム『Powerlight』でホーン・セクションのアレンジを担当した Jerry Hey が同じ役割を務め、前作『Electric Universe』で決別したホーン・セクションの音を聴くことができたが、この瞬間だけ、Earth, Wind & Fire らしさが感じられた。

この『Touch The World』のレコーディングに参加した Earth, Wind & Fire のオリジナル・メンバーは、リーダーの Maurice White 以外に、幾つかの曲で Maurice と共にプロデューサーを務め、リード・ボーカルも披露している Philip Bailey が、ほぼ全曲に関わっているくらいで、サックスを担当する Andrew Woolfolk の名前もあったが、インストルメンタルの『New Horizons (Interlude)』だけの参加だった。

ギターは『Touch The World』からメンバー扱いとなり、2000年代序盤まで活動を共にした Sheldon Reynolds が5曲で参加していたが、他の5曲は数人のギタリストが代わる代わる起用され、ベースもオリジナル・メンバーの Verdine White ではなく、セッション・ミュージシャンの Nathan East が起用されていた。

そしてドラムも Fred White ではなく、TOTO の Jeff Porcaro が『You and I』と『Every Now And Then』の2曲でクレジットされ、他の曲ではプログラミングされた音が使われていた。

『Touch The World』の前半5曲で好きな曲は、ライターに1986年に『C'est La Vie』をシングル・ヒットさせた Robbie Nevil が関わっていた『You and I』と、過去のヒット曲をサンプリングしたインストルメンタルの『New Horizons』で、後者は Interlude ながらも約2分ちょっとの曲として聴き応えがあった。

アルバム後半5曲の中では、1979年のヒット曲『Boogie Wonderland』のライターのひとり、Jon Lind が関わった『Every Now And Then』と、Philip Bailey がライターにある『Here Today And Gone Tomorrow』のバラード2曲が特によかった。前者は Maurice が、後者は Philip がリード・ボーカルをそれぞれ務めていた。

『Electric Universe』のリリース後、Maurice と Philip のソロ活動があり、4年のインターバルを経てリリースされた『Touch The World』は、中核メンバーのふたり以外、かつてのメンバーがほとんどいないアルバムにも関わらず、全米アルバム・チャートで最高33位まで上昇し、R&B チャートでは最高3位を記録してゴールド・ディスクも獲得した

今回改めてアルバム全体を通して聴いた『Touch The World』は、Maurice と Philip のボーカルを聴くと Earth, Wind & Fire らしさを少しは感じもしたが、このアルバムを Earth, Wind & Fire 名義としてしまうには少し無理があるようにも感じたアルバムだった。

Touch The World
System Of Survival
Evil Roy
Thinking Of You
You And I
New Horizons (Interlude)
Money Tight
Every Now And Then
Touch The World
Here Today And Gone Tomorrow
Victim Of The Modern Heart

タグ：Earth, Wind & Fire 1987