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Earth, Wind & Fire/『Heritage』 [CD]

Heritage.jpgEarth, Wind & Fire の Columbia レーベル在籍時の最後のスタジオ・アルバムが、この1990年にリリースされた『Heritage』で、ここ最近続けて紹介してきたアルバムと同じく、これも1990年のリリース当時にリアルタイムで聴くことのなかったアルバムだった。

今回 Columbia レーベル時代の15枚のアルバムが紙ジャケット仕様でリイシューされたのを機会に『Electric Universe』『Touch The World』と、オリジナルのリリース当時に聴かなかったアルバムをその順番に聴いてきた。この『Heritage』も最初は自分の好みと合わないアルバムだと先入観を持っていた。

『Heritage』に参加している Earth, Wind & Fire のメンバーは、リーダーの Maurice White に加えてボーカルの Philip Bailey とサックスの Andrew Woolfolk で、この3人は『Touch The World』に引続き参加。前作に不参加の Verdine White はタイトル曲と『Wanna Be The Man』の2曲でベースを弾き、前作から新たに加わった Sheldon Reynolds は『Takin' Chances』を含む9曲でギターを弾いていた。

さらに Phenix Horns に代わって、Gary Bias と Ray Brown、Reggie Young の3人による Earth, Wind & Fire Horns がフューチャーされ、前作『Touch The World』より、かつての Earth, Wind & Fire のスタイルを思い起こす曲が『Heritage』には詰まっていた。

古代文字のようなイラストと EWF と頭文字だけデザインされたジャケットに、それまでの Earth, Wind & Fire らしさが感じられず、しかも『Heritage』では1980年代後半から1990年代前半にかけて流行した New jack swing のスタイルが取り入れられていた。

後に New jack swing の代表的な存在になる MC Hammer が『Wanna Be The Man』と『For The Love Of You』の2曲でいち早くフューチャーされ、他にも Earth, Wind & Fire にしては珍しい外部アーティストとの共演が、タイトル曲の『Heritage』では The Boys と行われ、続く『Good Time』では Sly & the Family Stone の Sly Stone と行なっていた。

これら外部アーティストの存在に頼ったアルバムなのかというと、そうではなく、Philip Bailey や Maurice White のボーカル・ワークは New jack swing に意外にもハマっていて、そこに加わる新生 Earth, Wind & Fire Horns も、かつての Phenix Horns に劣らない彩りを添えていた。

1970年代の Earth, Wind & Fire を知るファンとしては、『Heritage』リリース当時の流行りである New jack swing に迎合 (?) した Earth, Wind & Fire なんて全く興味が沸かなかったが、この両者のマッチングはそんな思いを覆す意外なモノだった。

時代は LP というアナログから CD というデジタル・メディアに変わって収録曲数も一気に増え、全17曲で50分を超す『Heritage』だが、Earth, Wind & Fire のアルバムによくある短い Interlude を使い、アルバムの最初と最後は Soweto という短い曲で演出。こうしてみると LP 時代と変わらず、Maurice を中心に書かれた10曲あまりでアルバムは構成され、決して Sly Stone や MC Hammer らの外部に頼ったアルバムではなかった。

「Heritage」には将来に残す遺産という意味もあり、それを思うと、このアルバムに描かれた多くの象形文字のようなイラストや EWF という3つの文字もそういう遺産の一部で、アルバムの最初と最後を飾る Soweto に登場するアフリカの楽器 Kalimba の音にも、後世に受け継がれる遺産のような思いがあった。

Heritage の単語としての意味と、このアルバム・リリース時の流行である New jack swing との共演というアイディアは Earth, Wind & Fire にしか思いつかないことだったのでは? と思うと、この『Heritage』というアルバムは、もっと評価されても良かったアルバムだと今更ながらに思ってしまった。

しかし『Heritage』は全米アルバム・チャートで70位が最高。Billboard 誌の R&B/Hip-Hop アルバム・チャートでも最高19位止まりという結果で、長年在籍してきた Columbia との契約も、この『Heritage』が最後となってしまった。

Heritage.jpgHeritage
Interlude: Soweto
Takin' Chances
Heritage (featuring The Boys)
Good Time (featuring Sly Stone)
Interlude: Body Wrap
Anything You Want
Interlude: Bird
Wanna Be The Man (featuring MC Hammer)
Interlude: Close To Home
Daydreamin'
King Of Groove
I'm In Love
For The Love Of You (featuring MC Hammer)
Motor
Interlude: Faith
Welcome
Soweto (Reprise)


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