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Bruce Springsteen/『Wrecking Ball』 [CD]

Wrecking-Ball.jpg2000年代の Bruce Springsteen は2002年の『The Rising』と2005年の『Devils & Dust』の間だけ約3年のインターバルがあったが、その『Devils & Dust』以降は立て続けにアルバムをリリースしてきた。

ところが2009年の『Working On A Dream』から、この最新のスタジオ・アルバム『Wrecking Ball』までは再び3年の月日を要した。

この『Wrecking Ball』のリリースは突然発表になり、リード・シングルになった『We Take Care Of Our Own』はその歌詞の内容から、いろいろな解釈が生まれ、Bruce の意思と違う見立てをするモノも中にはあった。

アルバム『Wrecking Ball』は3月早々にアメリカでリリースされ、各メディアの評価は揃って高く、ここ日本でもリリースを前にして、いち早くその中に収録された11曲を解説し、同じくその内容を高く評価する記事が目立った。

だが、そんなに全てのメディアやファンが満足するアルバムって、あるのだろうか? それはある種の洗脳みたいなものじゃないのか?? ネットに流れている、いろいろな情報を鵜呑みにしていいのだろうか???

そんな考えも、この Bruce の最新スタジオ・アルバム『Wrecking Ball』に思い、ひたすら全11曲の日本語対訳が付いた日本盤『Wrecking Ball』のリリースを約3週間待ち、ようやく『Wrecking Ball』にある曲を自分の耳で聴いてみた。

最初は歌詞を見ず、日本盤の初回生産限定盤に含まれる2曲のボーナスも含めた13曲を通して聴き、次はそのボーナス2曲を抜いた11曲を聴いた。そして3度目は2枚組の LP としてもリリースされているかたちで、各サイド毎に区切りをつけ、ジックリと日本語に訳された歌詞も見ながら聴いてみた。

一番最初に聴いた印象は、かつてのスタジアムのライブでも映えるロックな曲が見当たらず、地味な感じのアルバムに思えた。そして、ボーナス2曲の存在がまた、この『Wrecking Ball』の持つ意味を曖昧にしているようにも思えた。

2度目はそのボーナス2曲を聴かずに、『We Are Alive』までの11曲だけを聴いてみた。『Wrecking Ball』に込めた Bruce の意思は、やはり、この11曲が正解なのではないかと、この2回目では思えた。

そして3回目。2枚組の LP で各サイドをひっくり返して聴くように、『Shackled And Drawn』で一息をついてから『Jack Of All Trades』から『This Depression』までの3曲を聴き、そしてまたここで一息ついてタイトル曲『Wrecking Ball』から『Rocky Ground』までの3曲を。そして最後にライブで既に馴染みの『Land Of Hope And Dreams』と『We Are Alive』の2曲だけを聴いた。

こうして聴くと曲数に差はあるが、1980年代の始めにリリースされた『The River』を聴いた時に似ているとも感じた。『The River』もそうだったが、この『Wrecking Ball』でも各サイドのトップと締め括りの曲のスタイルは似ているように感じた。

1曲ずつの歌詞の内容は記さないが、Bruce が書いた詞の幾つかは、ここ、日本にある今の状況とも重ね合わせることができるモノがあった。たぶん、これは歌詞を見て、曲を聴いたひとりひとりによって捉え方は違うかもしれない。

アメリカにいるひとが聴いて思うことと、日本にいるひとが聴いて思うこと、それ以外の地域や国で聴いて思うことはそれぞれ違うだろう。特定の個人や年齢層や性別を限らずに、曲を聴き、いろいろな思いを馳せることができるのも Bruce の書く詞や作った曲の特徴だが、この『Wrecking Ball』でも同様だった。

車に乗ってヒリヒリとした焦燥感が募るような曲は、やっぱりこの『Wrecking Ball』にはなくなってしまったが、それとは別に昨年の3月に起きた震災で被害を受けたことや、いまもなお引きずる原発の事故のこと。それに付随する様々なことを、この『Wrecking Ball』を聴いて改めて考えもした。たぶん、Bruce がこの『Wrecking Ball』を作った背景に昨年の日本の震災のことは反映されてないと思うが、そういうことを考えずに、この『Wrecking Ball』を聴くことはできなかった。

リード・シングルの『We Take Care Of Our Own』もいい曲だし、その内容に共感できるモノがあった。タイトル曲の『Wrecking Ball』もいいし、スタジオ・テイクとして改めて収録された『Land Of Hope And Dreams』の徐々に気持ちが高まっていく感じも好きだ。

そして最後の曲『We Are Alive』、「俺たちは生きている」という曲では諦めない気持ちを持つ力強さに奮い立たされもした。それだけに、このあとに続く2曲のボーナスは『Wrecking Ball』に不要に思えた。

Bruce は今、この『Wrecking Ball』を携えて全米ツアー中で、久々の日本公演の期待も高まっている。だが、この『Wrecking Ball』の曲を中心にしたステージにはかつてのヒット曲は似合わないだろう。始まったばかりの全米ツアーのセットリストを見てもそんな思いが当たっているが、その様な構成で日本でツアーは行われるだろうか。おそらく難しいだろう。『Wrecking Ball』の持つ意味を考えれば、派手なステージは必要ないし、じっくり歌詞の意味を考えながら Bruce のステージを見るとしたら、やはり海外に行くしかないのかとも思う。

Wrecking-Ball.jpgWrecking Ball Wrecking Ball - Bruce Springsteen
We Take Care Of Our Own
Easy Money
Shackled And Drawn
Jack Of All Trades
Death To My Hometown
This Depression
Wrecking Ball
You've Got It
Rocky Ground
Land Of Hope And Dreams
We Are Alive


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コメント 2

どうぷ

こんにちは。

紙ジャケのサイズどうなんですかね?差別化したつもりなんでしょうけど…。アナログ盤も2枚組なのにジャケットはゲートフォールドじゃなくて、2枚一緒にぶち込んでるだけでした(苦笑)。CD付なんでコスト削減?なのかもしれませんが、ちょっと愛の無いパッケージングでした。

音の方は、今までのボスの資産を土台にした力強いもので、シンプルな構成がかえって聴き応えを感じます。これが余裕からくるものかは分かりませんが、これからも良いサウンドを届けてくれそうな予感がしますね♪CDボートラの「swallowed up」はかなり違和感ありました(笑)。
by どうぷ (2012-03-25 11:55) 

MCMLXV_65

どうぷさん、いつもコメントありがとうございます!
私もこの新作は『We Are Alive』で終わりになるのが、いいと思うひとりです。

紙ジャケのサイズはBruceの意向で、この一回り大きいサイズらしいようですが、なんでこんな大きさなんでしょうね。オリジナルのブックレットも標準紙ジャケサイズで全然見られる内容だと思いますし、このアルバムだけ突出した大きさにどういう拘りがあるのか、その説明もBruceに解説してほしいです。(苦笑)
by MCMLXV_65 (2012-03-25 15:35) 

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