Lily Allen／『Alright, Still』

2009年秋に音楽活動の休止を発表した Lily Allen は、それ以降、結婚、出産、自身のレコード・レーベル創設を経て、この4月に再び音楽活動を再開すると報じられた。

5月に27歳になるロンドン出身の Lily Allen が、このデビュー盤『Alright, Still』をリリースした当時はまだ21歳。2006年の夏にリリースされた当時はほとんど Lily の存在を気にならなかったが、2009年の年明けにリリースされた2ndアルバム『It's Not Me, It's You』が話題になってから、いつかはこのデビュー盤も聴いてみたいと思っていた。

『It's Not Me, It's You』のリリース後に幾つかのフェスに出演した Lily の映像を見て、デビュー盤からの曲もいいと思っていたが、改めて『Alright, Still』を最初から聴いてみると、レゲエやスカのリズムに喋り口調な Lily のボーカルが妙にハマっていて、なかなか楽しいアルバムだった。

Lily のボーカルがなんとなく Blondie の Debbie Harry を連想させたが、シングルになった『LDN』では Tommy McCook & The Supersonics の『Reggae Merengue』がサンプリングされ、この曲のライターにあった Arthur 'Duke' Reid は Blondie の1980年の全米 No.1 シングル『The Tide Is High』にも名前があり、こんなところで Lily Allen と Debbie Harry は繋がっていた。

『LDN』の他に『Alright, Still』にはサンプリングされた曲が幾つかあり、2曲目の『Knock 'Em Out』では Professor Longhair の『Big Chief』が、8曲目の『Littlest Things』では1974年の映画『Emmanuelle』のサウンドトラックがサンプリングで使われていた。

サンプリングを巧く使ったこれらの曲も、この『Alright, Still』で好きな曲だが、4曲目の『Everything's Just Wonderful』と『Not Big』ではアメリカのカリフォルニアで結成されたデュオ The Bird and The Bee の Greg Kurstin が Lily と共にライターにあり、この2曲もまた『Alright, Still』でお気に入りの曲だった。

スカやレゲエのスタイルに乗せた Lily のラップにも似たボーカルが、ここまでハマっているとは聴く前に全然思っていなかったので、いまさらながら、このデビュー盤『Alright, Still』が気に入ってしまった。

この『Alright, Still』では曲のスタイルも好きだが、Lily の歌う詞もより注目すべき点で、『Smile』や『Not Big』では元彼のことを笑い飛ばすような内容で、アルバム最後の曲『Alfie』では同じ名前の弟 Alfie を戒める内容で、『Smile』や『Alfie』を含む4曲は歌詞に過激な表現があるという Explicit Version の表記つきだった。

こういうあからさまな表現も Lily の曲が多くのファンの支持を受けた点で、MySpace から火のついた Lily のデビュー盤はイギリスで90万枚以上のセールスを上げてトリプル・プラティナに輝き、全英アルバム・チャートでも2位に初登場、チャートに11か月近くランクインした。

『Alright, Still』は全米アルバム・チャートでも20位に初登場し、約半年間ランクイン。アメリカでのセールスも50万枚を超え、ゴールド・ディスクに認定された。

『Alright, Still』からのシングルも『Smile』がダウンロード・セールスではいきなり No.1 に初登場。全英シングル・チャートもその勢いから13位に初登場し、翌週は全英チャートの No.1 に。全米シングル・チャートでは最高49位止まりだった『Smile』だが、徐々にダウンロードで売上げを伸ばして50万枚のセールスも達成している。

Alright, Still
Smile (Explicit Version)
Knock 'Em Out
LDN
Everything's Just Wonderful
Not Big
Friday Night
Shame For You
Littlest Things
Take What You Take (Explicit Version)
Friend Of Mine (Explicit Version)
Alfie (Explicit Version)

タグ：2006 Lily Allen