Cheap Trick／『At Budokan The Complete Concert』 [CD]
『レコード・コレクターズ』誌の2008年5月号で特集を組まれていた Cheap Trick の記事を見て、引っ張りだしてきた CD が、1978年リリースの『At Budokan』で収録されなかった9曲を含めて曲順も当時のセットリストに並べ替えた2枚組の『At Budokan The Complete Concert』だ。この完全版の表ジャケットの日の丸の中にはオリジナル『At Budokan』の表ジャケットに写る Robin Zander と Tom Petersson のふたりがいて、裏ジャケットの日の丸の中には Rick Nielsen と Bun E. Carlos のふたりがいるという、Cheap Trick お約束のパターンがここでも踏襲されている。
1曲目の『Hello There』の前には1978年のオリジナル版にはないステージに向かうメンバーが気合を入れるシーンも収録され、その後に続くメンバー紹介で一気にテンションは上がり、サウンドチェックを兼ねた『Hello There』が始まった途端に当時の武道館に詰めかけた女性ファンの黄色い歓声が全開になると、今でも雰囲気は否応なく高まる。
オーバーダビングが施され、しかも一部は当時の大阪公演の中からも音源が選ばれているらしく (?) 完全な武道館公演の実況録音盤ではないが、曲間にある Rick の MC も多数収録され、大きな歓声も相まってライブ盤としての完成度は今でも高いと思う。
1978年のオリジナル『At Budokan』は LP 1枚分のボリュームで約40分ちょっとの駆け足で終わってしまうが、この2枚組は1時間20分あまりに全19曲が収められている。
3分台の Cheap Trick らしいパワー・ポップな曲が次から次へと登場する合間に、少し長めのアルバム未収録『Can't Hold On』や、1曲の中で緩急の変化が面白い『Need Your Love』があったりと、当時のセットリストが再現されたこの完全版を聴くと、オリジナルの1978年版とはまた違った楽しさがある。
オリジナルの『At Budokan』は当初、日本だけの限定版ということもあって、日本のファン向けな曲で構成され、それはそれで楽しかったが、この2枚組完全版には当時の武道館でプレイされたライブの様子を (オーバーダビングなどの処理はあるが) 再現し、ライブ・バンドとしての Cheap Trick の面白さがいっぱい詰まっている。
一般的にはアンコールが近くなると、名残惜しいファンの声援に応え無闇にプレイが長くなるところだが、Cheap Trick のライブではそんな終盤もあっさり (もちろん、それなりの盛り上がりがあって) 終わってしまう。そんな潔さも Cheap Trick の魅力だろう。
この完全版は30年目の節目となる2008年にもリイシューされ、その際には3曲のライブ映像とインタビューを収めた DVD が付いた3枚組となり、ツアー・パンフレットのレプリカもオマケとして収められていた。
At Budokan The Complete Concert
【Disc 1】
Hello There (1)Come On, Come On (2)
ELO Kiddies
Speak Now Or Forever Hold Your Peace
Big Eyes (4)
Lookout (3)
Downed
Can't Hold On
Oh Caroline
Surrender (8)
Auf Wiedersehen
Surrender
【Disc 2】
Need Your Love (5)
High Roller
Southern Girls
I Want You To Want Me (7)
California Man
Goodnight (9)
Ain't That A Shame (6)
Clock Strikes Ten (10)
Auf Wiedersehen
(曲名後の数字は1978年のオリジナル版での曲順)
2012-06-12 14:03
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コメント(4)
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このアルバム、本当にライヴアルバムとしては別格の熱狂がありますよね。バンドの演奏自体は飛び抜けている印象は無いのですが、本当、観客が凄い。ドキュメントとしての価値がある気がして私も再発を買いました。
by Medeski (2012-06-12 14:06)
Medeskiさん、コメント早っ！(^^) いつも、ありがとうございます!!
仰るとおり、観客の声援が凄いですよね、このライブ盤。ライブ全部を通しての映像を完全版として、いつの日か見てみたい思いは私も同じです。
by MCMLXV_65 (2012-06-12 14:12)
こんばんは。
僕も先日紙ジャケで取り上げたのですが、この完全盤は聴いたことがありません。やっぱオリジナルは短すぎるので、当時を再現した完全盤が良いですね。
確かに黄色い歓声がすごい。「クライン、クライン」って歌ってますね。
by ミネちゃん (2012-06-12 23:28)
ミネちゃんさん、コメントありがとうございます。この完全版、本当にライブ盤としてお勧めの1枚です！
全編を通しても約90分と短いですが、それを補って余るほどの楽しさがギッシリと詰まっています!! ぜひぜひ、機会があれば一度お試しを!!!
by MCMLXV_65 (2012-06-13 07:33)