Ana Popović／『hush!』

約3年前の2009年、かつてのユーゴスラビアの首都ベオグラード出身の Ana Popović のスタジオ・アルバム『Still Making History』を紹介した。

その後、Ana の他のスタジオ・アルバムを手に入れようとしたが、古いアルバムほど入手困難な状況で、国内の amazon では、もう Ruf Records からリリースされた初期のアルバムは当時の形態の CD では手に入らないようだ。

そんな状況の中、WOW HD では2001年にリリースされた Ana のソロ名義でのデビュー盤『hush!』が入手できるとあって、先日行われたセール期間に、他の数枚のスタジオ・アルバムと共に、ようやく手に入れた。

表ジャケットに写る Ana を見ると Alanis Morissette のようでもあり、『Still Making History』を聴いていなければ、女性ボーカリストのアルバムと勘違いしてしまいそうだが、このデビュー盤から既に骨太なブルース・ギターと、The Pretenders の Chrissie Hynde にも似たボーカルを披露している。

『hush!』にある12曲の内訳は、Ana がソング・ライティングに関わった曲が6曲に加えてブルースのカバーが4曲。アルバムの最初と最後の2曲は他のライターからの曲という構成だった。

4曲のカバーは T-Bone Walker の1950年のシングル『The Hustle Is On』に、Tom Waits の1980年のアルバム『Heartattack and Vine』から『Downtown』。Buddy Guy の1972年のアルバム『Buddy Guy & Junior Wells Play the Blues』にあった『A Man of Many Words』を『Girl Of Many Words』と改題し、そして最後のカバーは1997年に60歳で亡くなった Johnny Copeland が書いた『Bring Your Fine Self Home』だった。

この4曲のカバーでも聴きどころがたくさんあるが、それ以外の Ana がライターにあるオリジナル曲でも、この当時、まだ20代中盤だったにも関わらず Stevie Ray Vaughan ばりのブルース・ギターをプレイし、Stevie が好きなひとりとして、この Ana のデビュー盤は一回聴いて即、お気に入りなアルバムになった。

ブルースの曲以外にも『hush!』では『I Won't Let You Down』や『Minute 'Til Dawn』の2曲ではジャズ寄りなスタイルも披露し、この2曲は小さなジャズ・クラブで十数人程度の客を前にプレイしているかのようだった。

Johnny Copeland のカバー『Bring Your Fine Self Home』ではアメリカのシカゴ出身、現在はミネアポリスを拠点に活動しているブルース・ギタリスト Bernard Allison を迎え、ギターとボーカルの両面でデュエットを披露。この曲もソロ・デビュー盤のハイライトのひとつだった。

アメリカのテネシー州メンフィスでレコーディングされた『hush!』は、1980年に始まった Blues Music Award で、まだ W.C. Handy Award という名前で開催された2003年に Best New Artist Debut の候補にも挙げられた。

hush!
Love Fever
Mended
Hometown
I Won't Let You Down
The Hustle Is On
Downtown
How Lonely Can A Woman Get
Walk Away
Girl Of Many Words
Minute 'Till Dawn
Bring Your Fine Self Home (duet with Bernard Allison)
How The Mighty Have Fallen

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