Jeff Lynne／『Armchair Theatre』

Electric Light Orchestra の Jeff Lynne が1990年の夏にリリースした初のソロ・アルバムが、約20年ぶりにリイシューされた。それも、2曲のボーナス曲を追加したリマスター盤としてリイシューされた。

2013年版『Armchair Theatre』はオリジナルとアートワークが微妙に異なり、これを厳密な意味でリイシューと呼んでいいのか少し疑問だが、1990年当時のオリジナルを聴いたことがなかったので、ここにある全11曲の第一印象はとても良かった。

当時の評価は良かったといわれる『Armchair Theatre』だが、それがセールスには繋がらず、ほどなくして廃盤の憂き目に遭い、長い間、中古市場では高値がついていたが、これでようやくその高嶺の花状態には区切りをつけられそうだ。

昨年リリースされた久々のソロ・アルバム『Long Wave』は全曲がカバーだったが、この1stソロでは全11曲中8曲が Jeff の書いた曲で、残る3曲がカバーという構成だった。

そして、オリジナル曲では、この頃に交流のあった The Traveling Wilburys のメンバーから George Harrison、Tom Petty が参加し、George はスライド・ギターやバック・ボーカルで貢献。Tom は10曲目の『Blown Away』を Jeff と共作し、この曲のバック・ボーカルには The Traveling Wilburys に加入すると噂された Del Shannon の名前もあった。

また、Electric Light Orchestra 時代のメンバー Richard Tandy もアコースティック・ギターやキーボード、バック・ボーカルで、この Jeff の1stソロに大きく関わっていた。

この『Armchair Theatre』には時々 Electric Light Orchestra を思わせるようなストリングスもあり、そこでは Michael Kamen がアレンジを担当。2曲のカバー『September Song』『Stormy Weather』と『Blown Away』の3曲では Richard Tandy も参加したコーラス・ワークが聴きどころでもあった。

今、改めて聴くと、Jeff Lynne らしさが全開で、とても好きなアルバムの『Armchair Theatre』だが、1990年当時は全米アルバム・チャートでの最高が83位。シングルは『Every Little Thing』と『Lift Me Up』の2曲がカットされたが、アルバム同様、チャートでは奮わなかった。

Electric Light Orchestra の活動に一旦区切りをつけ、プロデュース業にシフトしつつある頃にリリースされた『Armchair Theatre』は、今聴くと、その良さが伝わってくるが、1990年という時代にあまり合わなかったアルバムだった。

個人的に1990年当時に聴いていたアルバムと比べても、『Armchair Theatre』はとても地味なアルバムに映る。

昨年リリースされた2ndソロ『Long Wave』が気に入れば、この『Armchair Theatre』もお薦め。少し、リリース時期が早過ぎたとも感じた Jeff の初のソロ・アルバム『Armchair Theatre』だった。

Armchair Theatre
Every Little Thing
Don't Let Go (Roy Hamilton, 1957)
Lift Me Up
Nobody Home
September Song (Walter Huston, 1938)
Now You're Gone
Don't Say Goodbye
What Would It Take
Stormy Weather (Ethel Waters with Duke Ellington & His Orchestra, 1933)
Blown Away
Save Me Now
【2013 Remaster Bonus Tracks】
Borderline
Forecast

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