Joan Jett And The Blackhearts／『Jett Rock』

Joan Jettは1982年の『I Love Rock 'n Roll』の大ヒットで有名だが、この曲は元々、1975年にArrowsがシングルB面としてリリース。その当時は全くヒットしなかった。

Joan Jettは1979年にこの曲を一度レコーディングしているが、このバージョンはリリースされず、1982年にThe Blackheartsを率いて再びレコーディングを行なった。結果、『I Love Rock 'n Roll』はBillboard誌のシングル・チャートで7週間No.1の座につき、100万枚のセールスも記録した。

そして、同名アルバム『I Love Rock 'n Roll』も1000万枚を売り上げ、一躍、Joan Jettは時の人になった。

以降も1980年代は順調にアルバムをリリースしたJoan Jett And The Blackheartsだが、セールスは『I Love Rock 'n Roll』に遠く及ばず。1988年にリリースされた『Up Your Alley』がBillboard誌のアルバム・チャートで19位にランクされたのが最高位だった。

しかし、この間のアルバムも決して出来は悪くはなく、The Blackheartsをバックに歌うJoan Jettのしゃがれた特徴あるボーカルは、単純な女性ボーカルというカテゴリーに当てはまらない迫力溢れるものだった。

そして、いずれのアルバムにもカバー曲が多数収録され、その選曲の良さは光っていた。『I Love Rock 'n Roll』収録のTommy James And The Shondellsの『Crimson And Clover』は全米シングル・チャートで7位まで上昇、Gary Glitterの『Do You Wanna Touch Me』のカバーも20位のスマッシュ・ヒットを記録した。

また、『Glorious Results Of A Misspent Youth』ではJoan Jettがかつて属していたThe Runawaysの『Cherry Bomb』もセルフ・カバー。残念ながら、こちらはチャートインを果たせなかったが…。

Joan Jettのカバー曲の良さを前面に出したアルバムが、1990年にリリースされた『The Hit List』だった。このアルバムはJoan Jett名義でリリースされたが、AC/DCに始まり、Sex Pistols、ZZ Top、Creedence Clearwater Revivalなどのカバー10曲が収められ、このアルバムがJoan Jettを初めてフル体験したアルバムだった。

今回紹介するベスト盤の『Jett Rock』は2003年に来日記念盤としてリリースされたアルバムだが、1980年代初期の曲から、シングルのみリリースの曲、カバー曲など全22曲が収められている。

どの曲も聴き応えがあり、なかなかいい曲が揃っている。1980年代を代表するボーカリストのひとりとして、Joan Jettはもっと評価されるべきと思わせるような内容のベスト盤だ。

『Jett Rock』
Cherry Bomb
Backlash
I Hate Myself For Loving You
Love Is All Around
Have You Ever Seen The Rain?
I Love Rock'n Roll
You Can't Get Me (Acoustic Version)
Bad Reputation
Everyday People
I Want You
Do You Wanna Touch Me? (Oh Yeah!)
Let's Do It
Light Of Day
Water Sign
Takin' Bout My Baby
Good Music
I Need Someone
Fetish
Spinster
Crimson And Clover
This Means War
Science Fiction

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