Queen／『Innuendo』 [CD]
前日の発表も衝撃だったが、翌日の新聞の夕刊の訃報欄に掲載された Freddie の顔写真入りの記事は何度も繰り返し読み返した。それが事実であることに変わりはないのに、「この記事は現実ではないのでは…?」という思いが、その記事を読むたび、頭に浮かんだ。
この訃報はその当時よく聴いていた FM の番組でも取り上げられるだろうと、番組開始時間に合わせその番組に耳を傾けた。すると番組冒頭でいきなり『Bohemian Rhapsody』がかけられた。その瞬間、「あぁ、やっぱり Freddie は死んでしまったんだ」と思うと涙があふれた。
その日以来、『Innuendo』というアルバムの持つ意味は変わってしまった。Freddie の在籍していた Queen として最後のアルバム。Queen の終りを告げるアルバム。アルバムの最後の曲、『The Show Must Go On』が持つ意味も変わってしまった。
アルバムとしての『Innuendo』が発表されたのは1991年の2月。その数週間前に Queen は、1989年11月にリリースしたシングル『The Miracle』以来、実に1年ぶりのシングル『Innuendo』を発表した。
シングルにも関わらず『Bohemian Rhapsody』より長い6分半を越える大曲の『Innuendo』では、とても珍しい Queen 以外のメンバーが参加、間奏部分で聴けるギターは Yes の Steve Howe によるものだった。
最初に『Innuendo』を聴いたとき、とても長い曲であることと、Steve Howe のギターに不思議な感じを覚え、「このシングルはどういう結果になるのだろう…?」と思った。しかし、そんな思いなど全く吹き飛ばすように、全英シングル・チャートで『Innuendo』は No.1 を獲得。Queen のシングルが全英チャートで No.1 になったのは、1981年の David Bowie との共作『Under Pressure』以来、10年ぶりだった。
シングル『Innuendo』のリリースから2週間後、アルバム『Innuendo』が発表された。全曲のクレジットは、ここ数枚のアルバムで恒例だった Queen 名義で統一されていたが、どのメンバーがリードしたかは、その曲を聴けばなんとなく理解できた。
このアルバムがリリースされた頃、アルバム最後の曲『The Show Must Go On』を聴いて、「1990年代に入っても Queen は、まだまだやってくれる!」という確信を持てた。1980年代にシンセサイザーを積極的に取り入れ、試行錯誤を繰り返した Queen だったが、この『Innuendo』ではそのシンセサイザーの効果も少なくなり、4人のメンバーが奏でるそれぞれのパートが再び曲の中心に据えられたように感じた。
そんな想いが感じられただけに『The Show Must Go On』は Queen としての復活宣言に受け取れた。その『The Show Must Go On』も1991年の10月に『Innuendo』から4枚目のシングルとしてカットされ、全英チャートで最高16位を記録。アルバム『Innuendo』もリリース直後の全英アルバム・チャートで3週にわたって No.1 の座についた。
Freddie の死後、アルバム『Innuendo』の制作は Freddie の体調のいいときに集中的に行なわれていたことを知った。しかし、今も聴ける『Innuendo』での Freddie には、そんな雰囲気は微塵も感じられない。音像も以前のアルバムに比べシャープさを増し、そんな Freddie のプレイに応えるかのように、3人のプレイも熱い。
Queen としてもう1枚のアルバム『Made in Heaven』が1995年にリリースされるが、Queen は『Innuendo』でピリオドが打たれた。Freddie と他の3人が揃ってこそ Queen だった。
『Innuendo』
Innuendo
I'm Going Slightly Mad
Headlong
I Can't Live with You
Don't Try So Hard
Ride the Wild Wind
All God's People
These Are the Days of Our Lives
Delilah
The Hitman
Bijou
The Show Must Go On
2009-11-19 20:49
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)▲ページトップ▲
携帯でもご覧頂けます!
コメント 0