Asia／『Asia』

この年末年始、スカパー! の海外ドラマ専門チャンネル AXN で『コールドケース』のシーズン3が一挙放送されていたが、そこでまた懐かしの曲、1982年にリリースされた Asia のデビュー盤に収められていた『Only Time Will Tell』がエンディングに使われていた。

この『Only Time Will Tell』は『Heat Of The Moment』に続くデビュー盤からの2ndシングルで、Billboard 誌の Hot 100 で最高8位を、また同誌の Mainstream Rock Tracks で最高8位を記録した。1stシングルの『Heat Of The Moment』は Mainstream Rock Tracks チャートで No.1 を獲得していたが、『Only Time Will Tell』の親しみ易い馴染みのあるメロディは『Heat Of The Moment』と甲乙がつけ難い。

デビュー盤からは当時の Billboard 誌の Mainstream Rock Tracks チャートに合計6曲がランクインを果たし、『Here Comes The Feeling』は40位、『Sole Survivor』は10位、『Time Again』は43位、『Wildest Dreams』は28位を、それぞれ記録した。

ヒットしたシングルを含む Asia のデビュー盤はアルバムとしても全米 No.1 の座を獲得してアメリカだけで400万枚のセールスを記録。全英チャートでも最高11位を記録し、10万枚を売り上げてイギリス国内でのゴールド・ディスクを獲得した。

このデビュー盤当時の Asia のメンバーは、キーボードに The Buggles や Yes のメンバーだった Geoff Downes。ボーカルとベースに King Crimson や UK のメンバーだった John Wetton。ギターに Yes のメンバーだった Steve Howe。そしてドラムに Emerson, Lake & Palmer のメンバーだった Carl Palmer の4人が在籍。この豪華なキャリアを持つ4人に加えて、デビュー盤のジャケットには Yes のアートワークで有名な Roger Dean が担当と、錚々たる顔ぶれがこのデビュー盤には揃っていた。

プログレッシブ・ロック界を代表するバンドのメンバーが集ったことで、その流れを汲むサウンドがデビュー盤に詰まっていると当初は思われたが、1stシングルの『Heat Of The Moment』に代表されるような聴きやすいポップな曲が多く、アルバム前半の曲はその豪華なメンバーによるソロも比較的少なめで、バンドとしてのサウンドに徹した感があった。

Carl Palmer のドラムは当時の Asia のサウンドの屋台骨として大きく貢献していたし、何より The Buggles でポップな曲を書き、その後、Yes に加入した Geoff Downes はデビュー盤で9曲中7曲の作曲に関わり、プログレッシブ・ロックの世界で名を馳せた強者たちのプレイをポップな曲の中に見事配していた。

また Asia のサウンドの魅力に John Wetton のボーカルも挙げられるが、他のメンバーとのコーラス・ワークも聴き所のひとつで、それぞれの楽器のプレイと並び Asia サウンドの中核を成していた。

この4人によるアルバムは次の『Alpha』までしか作られず、3作目の『Astra』では Steve Howe に代わり、スイスで活躍していた Krokus のメンバー、Mandy Meyer が後任のギタリストに就任。しかし、この Mandy Meyer もまた『Astra』のみに参加と、他のプログレッシブ・バンドと同じく Asia も多くのメンバーの変遷を辿ることになっていく。

初期 Asia に貢献した人材として Geoff Downes と John Wetton はよく取り上げられるが、『Astra』に続く『Aqua』までドラムを務めていた Carl Palmer の貢献度も大きかったと思う。『Aqua』では TOTO のメンバー、Simon Phillips もゲストとしてドラムを叩いているが、Asia の曲で基礎となる土台をしっかり支えていたのは Carl Palmer だと今でも思っている。

『Asia』
Heat Of The Moment
Only Time Will Tell
Sole Survivor
One Step Closer
Time Again
Wildest Dreams
Without You
Cutting It Fine
Here Comes The Feeling

タグ：ASIA 1982