Pat Benatar／『Crimes Of Passion』

Pat Benatar も洋楽を聴き始めた頃から知っているアーティストのひとりで、以前、このブログでベスト盤やライブ盤を紹介してきた。しかし、CD として Pat の過去のアルバムは、これもまた手に入りづらい CD のひとつになっていて、初期の Grammy 賞を連続受賞した頃の最盛期のアルバムは今、手軽に聴くことができない。

Pat は今回紹介する『Crimes Of Passion』から Grammy 賞の Best Female Rock Vocal Performance を4年連続受賞し、この部門では実に8回もノミネートされている。Top40 入りしたシングルは15枚。アルバムもゴールド・ディスクやプラチナ・ディスクを獲得と、1980年代を代表する女性ロッカーが Pat Benatar だった。

ニューヨークで生まれ育った Pat は地元の Catch a Rising Star というクラブと契約し、そこで歌っていた。その後、クリサリス・レコードとメジャー契約を交わし、アルバム・デビュー。生涯の伴侶となるギタリスト Neil Giraldo との長いキャリアをスタートさせた。

1980年にリリースしたこの『Crimes Of Passion』には Pat の代表曲がたくさんある。1stシングル『Hit Me with Your Best Shot』はアメリカで初めて Top10 入りを果たしたシングルで最高9位をマーク、アメリカだけで100万枚のセールスも記録した。

シングルは他にも『Treat Me Right』が最高18位を、『You Better Run』が最高42位を記録。『You Better Run』はこの頃、開局した MTV で The Buggles の『Video Killed the Radio Star』に続いて流された2番目の曲でもあった。

『Crimes Of Passion』には他にも、当時アメリカで問題になっていた児童虐待をテーマにした『Hell Is For Children』や、Kate Bush のカバー『Wuthering Heights(邦題:嵐が丘)』なども収録されていて、話題も豊富だった。

アルバム・チャートで『Crimes Of Passion』は6週連続で2位を記録。同じ時期にチャートのトップに長期間居座っていたのが John Lennon の『Double Fantasy』で、もしかしたら『Crimes Of Passion』も長期間アルバム・チャートのトップに君臨していたかもしれないアルバムだった。

アメリカのアルバム・チャートで『Crimes Of Passion』は93週間にわたってランクイン、6か月以上も Top10 に入っていた。デビュー盤に続きプラチナ・レコードを獲得し、500万枚以上のセールスも記録した。

そんな輝かしい記録の数々を持つ『Crimes Of Passion』が、デビュー盤や3作目と併せて2006年にデジタル・リマスターが行われていた。その3枚を先日、HMV で行われている輸入盤均一セールでそれぞれ1000円で購入、メゾ・ソプラノの帯域まで出るという Pat の声を久々に聴いている。

今も夫の Neil と共にライブ活動を続けている Pat だが、昨年は Blondei と、そして今年は REO Speedwagon とツアーを行っているらしい。この組み合わせも実に興味深いカップリングで、ぜひ見てみたいツアーなのだが、どこか招聘してくれないだろうか…? そして、初期の3作品に続く他のアルバムも、ぜひリマスターをしてリイシューして欲しいものだ。

『Crimes Of Passion』
Treat Me Right
You Better Run
Never Wanna Leave You
Hit Me with Your Best Shot
Hell Is For Children
Little Paradise
I'm Gonna Follow You
Wuthering Heights
Prisoner Of Love
Out-A-Touch

タグ：Pat Benatar 1980