Liz Phair／『Exile In Guyville』

今、巷で評判になっている『Exile』といえば、The Rolling Stones が1972年にリリースした『Exile on Main St.』のリイシュー盤で、入手された方の評判がいろいろなところで見られる。

1972年のオリジナル盤の『Exile on Main St.』も好きなアルバムだし、今回のリイシュー盤も大いに気になるが、今回はあえてそのアルバムの話題ではなく、Liz Phair がインディ・レーベルから1993年にリリースしたデビュー盤の『Exile In Guyville』を紹介したい。

この『Exile In Guyville』はリリース当時、アメリカの音楽誌などでちょっとした話題になった一枚で、当時26歳だった Liz Phair というアーティストにもスポットがあてられた。

生まれはアメリカのコネチカット州のニューヘブン。その後、音楽活動の拠点をイリノイ州のシカゴに移した Liz Phair が作った『Exile In Guyville』に含まれた18曲は『Exile on Main St.』の1曲1曲に呼応したアルバムとも当時は解説された。

この話だけでも『Exile In Guyville』が注目を集めるに十分だったが、『Exile In Guyville』の曲で謳われている歌詞の内容もさらに注目を集めた。その例として『Flower』の歌詞がメディアで度々紹介され、Liz Phair による女性の立場からの赤裸々な言葉の数々は大きなインパクトを与えた。

過激な歌詞を Lo-Fi なサウンドをバックに歌う Liz Phair の容姿にも注目が集まり、「えっ、こんな女性があんな過激な歌詞を歌っていたの?」という驚きも当時はあった。

『Exile In Guyville』のジャケットにも Liz Phair の姿は写っていたが、当時の音楽誌にはより露出が多い写真があり、それらについてもアルバムと同じくらい注目を集めた。

『Exile In Guyville』に収録された18曲はどれも Lo-Fi な曲ばかりで、チャートを賑わすような曲は1つもなかった。しかし、この『Exile In Guyville』は後に多くの音楽誌などで過去の偉大なアルバムの1つに挙げられるようになっていった。Lo-Fi なサウンドにしたおかげで、Liz Phair の歌詞がよりくっきりと浮かび上がったからなのかもしれない。

1985年創刊の『SPIN』誌が選ぶ1985年から2005年までの偉大な100枚の中で『Exile In Guyville』は15位にランクされ、同じく1985年に設立されたケーブルTVネットワークの『VH1』は過去の優れた歴代アルバムの中で『Exile In Guyville』を96位にランクした。2003年に『Rolling Stone』誌が発表した500枚の過去の偉大なアルバムで『Exile In Guyville』は328位にランクされた。

オリジナルから15年が経過した2008年には3曲のボーナス曲を追加し、レコーディング当時の模様を Liz Phair らが語る DVD をセットにした15周年記念盤もリリースされた。

後にメジャー・レーベルに移り、ヒット・チャート寄りの曲をリリースして、デビュー当時からのファンにソッポを向かれることにもなった Liz Phair が作ったデビュー盤の『Exile In Guyville』。歌詞と共にじっくり聴いてみることをお勧めする一枚だ。

Exile In Guyville
6'1"
Help Me Mary
Glory
Dance Of The Seven Veils
Never Said
Soap Star Joe
Explain It To Me
Canary
Mesmerizing
Fuck And Run
Girls! Girls! Girls!
Divorce Song
Shatter
Flower
Johnny Sunshine
Gunshy
Stratford-on-Guy
Strange Loop
【Bonus Tracks】
Ant In Alaska
Say You
Instrumental

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