The Rolling Stones／『12x5』

いつまでも洋楽ネタと関係ない記事をブログのトップに置いておくのもヘンなので、The Rolling Stones のアメリカでの2ndアルバム『12x5』を紹介!

1964年の10月にアメリカでリリースされた『12x5』は12曲を5人のメンバーがプレイしていることから付与されたタイトルだが、イギリスでは1964年の8月に『5x5』という EP 盤がリリースされた。アメリカでは EP 盤というフォーマットが一般的ではなかったため、『5x5』の5曲に7曲を追加し、イギリスでのリリースから約2か月遅れでこの『12x5』がリリースされた。

『5x5』には『Empty Heart』と『2120 South Michigan Avenue』の2曲のオリジナル曲と、3曲の R&B 曲のカバーが収録されていた。この5曲は当時メンバーが聴いていた R&B 曲がレコーディングされたアメリカのシカゴにある Chess Studio に赴いて収録した曲だった。

『12x5』は The Rolling Stones の第6のメンバー Ian Stewart の軽快なピアノが特徴の『Around and Around』で始まる。『12x5』は1964年のリリース時はモノラル盤だったが、2002年にリマスターされた際に一部の曲がステレオ・バージョンに差し替えられ、この『Around and Around 』もステレオ・バージョンになった。

他にステレオ・バージョンになった曲は『5x5』に収録された『If You Need Me』、『Empty Heart』、『2120 South Michigan Avenue』、『Confessin' the Blues』の4曲と、全英チャートで初めて No.1 を記録したシングル『It's All Over Now』の合計6曲だった。

Chess Studio の住所がタイトルにつけられた『2120 South Michigan Avenue』は The Rolling Stones には珍しいインストルメンタル曲だが、ステレオ・バージョンになったことで広がり感も出て、各メンバーのソロ・プレイがたっぷり楽しめる。なお『12x5』には『5x5』より長いバージョンが収録された。

デビュー盤と同じくこの『12x5』にも多くのカバー曲が収録され、Mick Jagger と Keith Richards によるオリジナル曲は『Good Times, Bad Times』、『Congratulations』、『Grown Up Wrong』の3曲だけ。他のメンバーとの共作で使われる Nanker Phelge 名義の『Empty Heart』と『2120 South Michigan Avenue』を合わせてもオリジナル曲はアルバム収録曲の半分に満たない5曲だけだった。

だが、2002年にリリースされたリマスター盤ではステレオ・バージョンに差し替えられたこともあり、多くのカバー曲も若々しい The Rolling Stones のエレルギーに溢れていて、カバー曲が多い散漫なアルバムという印象はない。カバー曲は Mick Jagger の特徴あるボーカルもあって、どの曲も The Rolling Stones らしいサウンドに変わり、新たな息吹が吹き込まれたようだった。

『Under The Boardwalk』のような曲を The Rolling Stones がカバーしたことに驚き、2分にも満たない『Susie Q』をまだ聴きたいと思っているうちにあっさりフェードアウトされてしまい、The Rolling Stones の2ndアルバム『12x5』は終わってしまう。

以前『It's All Over Now』は The Rolling Stones のオリジナル曲だと思っていたが、これは Bobby Womack と Shirley Womack による曲で、The Rolling Stones バージョンより1か月早くリリースされたが全米チャートでは最高94位止まりだった。この曲を素早く取り上げた The Rolling Stones のバージョンは全英チャートでバンド初の No.1 シングルになった。

そして『Time Is On My Side』も以前は The Rolling Stones のオリジナル曲だと思っていたが、Norman Meade が書いた曲で、『12x5』にはイントロがオルガンで始まるバージョンが収録されている。

初の全英 No.1 シングル『It's All Over Now』を含む『12x5』は全米アルバム・チャートでデビュー盤の最高11位を上回る最高3位を記録している。

12x5
Around and Around (Chuck Berry)
Confessin' The Blues (Jay McShann/Walter Brown)
Empty Heart (Nanker Phelge)
Time Is On My Side (Norman Meade)
Good Times, Bad Times
It's All Over Now (Bobby Womack/Shirley Womack)
2120 South Michigan Avenue (Nanker Phelge)
Under The Boardwalk (Arthur Resnick/Kenny Young)
Congratulations
Grown Up Wrong
If You Need Me (Wilson Pickett/Robert Bateman)
Susie Q (Dale Hawkins/Stan Lewis/Eleanor Broadwater)

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