The Rolling Stones／『The Rolling Stones, Now!』

The Rolling Stones が1960年代にリリースしたアルバムは、2002年にデジパックで SACD と CD のハイブリッド仕様がリリースされた際に苦労して集めた。1960年代の音源は CD 時代になってから何度かリマスターされたが、この2002年のリイシュー盤が一番納得できる音質だったと思う。

メンバーのモノトーンの画像がコラージュされ、わずかにゴールドが混じったタイトル文字があるアメリカでの3rdアルバムは、ジャケット同様、ブラック・ミュージックへの香りが強く漂うアルバムだった。

The Rolling Stones のイメージは『ロックンロール』だが、このアメリカでの3rdアルバムでは、アメリカの黒人音楽にかなり傾倒したというイメージだった。

『The Rolling Stones, Now!』に収められた全12曲のうち7曲は、このアルバムがリリースされる直前の1965年1月にイギリスでリリースされた2ndアルバムの『The Rolling Stones No. 2』に収録されていた曲だった。

Mick Jagger と Keith Richards による曲は『The Rolling Stones, Now!』に4曲収録されたが、その内訳は、1964年の暮れにアメリカでシングル・カットされ、全米チャートで最高19位を記録した『Heart Of Stone』と、そのB面曲の『What A Shame』。『Off The Hook』は全英チャートで2枚目の No.1 曲になった『Little Red Rooster』のB面に収められた曲。

そしてアルバム最後を飾る『Surprise, Surprise』は、このアルバム・リリース時点で Jagger & Richards の新曲だが、イギリスではなぜか1970年代に入るまで長らく紹介されなかった曲だった。

過去のアルバム同様、この『The Rolling Stones, Now!』もオリジナルはモノラル音源でリリースされたが、2002年のリイシューでは一部がステレオ音源に差し替えられた。その曲は『Heart Of Stone』と『What A Shame』、『Down The Road Apiece』の3曲。『Down The Road Apiece』では左側から聴こえる(たぶん…) Ian Stewart が弾くピアノと、右側から聴こえるギターの掛け合いがとても楽しい曲だ。

これで The Rolling Stones の1960年代のアルバムは、このブログでアメリカでのデビュー盤『England's Newest Hit Makers』から1966年の『Aftermath』まで紹介してきたが、この頃の曲は1970年代やそれ以降の曲に比べて、アメリカで当時流行していた黒人音楽の影響が強く出ている。

その中に、まだまだ発展途上の Mick Jagger と Keith Richards によるオリジナル曲が混じっていて、それが今から振り返ると当然ながら、とても若々しい(青い…?)感じがする。これは1960年代をともに駆け抜けていった The Beatles と違う進化の方法で、The Beatles のアルバムと比べて聴くのも面白かったりする。

The Rolling Stones, Now!
Everybody Needs Somebody To Love (Solomon Burke/Bert Berns/Jerry Wexler)
Down Home Girl (Jerry Leiber/Arthur Butler)
You Can't Catch Me (Chuck Berry)
Heart Of Stone
What A Shame
Mona (I Need You Baby) (Ellas McDaniel)
Down The Road Apiece (Don Raye)
Off The Hook
Pain In My Heart (Allen Toussaint)
Oh Baby (We Got A Good Thing Goin') (Barbara Lynn Ozen)
Little Red Rooster (Willie Dixon)
Surprise, Surprise

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