TOTO／『XX 1977-1997』

TOTO の編集盤は数多くリリースされているが、この1998年にリリースされた『XX 1977-1997』は少し趣きが異なる編集盤だった。ここに収められた13曲は9曲がスタジオ・テイクで、終盤に収められた4曲がライブ・テイク。スタジオ・テイクは過去にレコーディングしながらもアルバムには採用されなかった没テイクが厳選されていた。

「没テイクを厳選」という表現もおかしな感じだが、1980年前後に活躍したいわゆる『産業ロック』というカテゴリーに当て嵌められる TOTO の初期のアルバムは、それぞれ独特のコンセプトを持ったアルバムが多かったので、それに合わない曲は自ずと収録から漏れることになったのだろう。

『XX 1977-1997』のスタジオ・テイク9曲をレコーディングされた年別に分けると、1977年が3曲、1979年と1984年が1曲、1986年が2曲、そして1987年と1989年がまた1曲ずつとなっている。

それぞれがどのスタジオ・アルバムの時期だったかをみると、1977年の『Mrs. Johnson』を含む3曲はおそらくデビュー盤『TOTO』の頃。1979年の『Tale Of A Man』は『Hydra』の頃。ここまでの4曲はデビュー当時のオリジナル・ラインアップで作られた曲と思われる。

1984年の『Right Part Of Me』はボーカルが Fergie Frederiksen に変わった『Isolation』の頃だと思われるが、ここに収録されたバージョンではボーカルは初代ボーカルの Bobby Kimball だった。

1986年の『In A Word』と『Modern Eyes』はボーカルが3代目の Joseph Williams に変わった『Fahrenheit』の頃。1987年の『Last Night』は『The Seventh One』、1989年の『Goin' Home』は1992年リリースの『Kingdom of Desire』用の曲だったと思われる。

スタジオ・テイクの9曲はオリジナル・メンバーで TOTO の実質のリーダーでもあった Jeff Porcaro が存命中の曲(と思われる)。Jeff が1992年8月に急死し、その後任に Simon Phillips が入ったが、その Simon がドラムを叩いているライブ・テイクが『Dave's Gone Skiing』以降の3曲で、これは南アフリカのヨハネスブルグでのライブ・テイクになる。

ライブ・テイクの残るもう1曲、『On The Run』は1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルで収録された曲で、1991年ということから Jeff がドラムを叩いている貴重なバージョンだと思われる。Jeff がいた頃の TOTO はスタジオ・アルバムを8枚リリースしているが、ライブ盤は1枚もリリースしていない。

終盤3曲のライブ・テイクは収録地が南アフリカということもあり、民族音楽のような『Baba Mnumzane』に続いて約10分にも及ぶ『Africa』が収録されている。

と、いろいろな時代の曲を寄せ集めた『XX 1977-1997』にアルバムとしての統一感は薄いが、Jeff が亡くなってから6年後に再び Jeff がドラムを叩く TOTO の曲が聴けるとは思わなかったので、これは嬉しい驚きだった。

TOTO は Simon を正式メンバーとして招いて以降『Tambu』など4枚のアルバムを作っているが、やはり Jeff とはスタイルの違うドラマーで、この4枚のアルバムで聴けるドラムの音は Jeff 時代の TOTO の曲とは全く雰囲気が違う。ライブでは高い技術で Jeff のようなドラムを再現する Simon だが、やはり Jeff の叩くドラムは唯一無二だったことを改めて感じさせられる。

XX 1977-1997
Goin' Home (1989)
Tale Of A Man (1979)
Last Night (1987)
In A Word (1986)
Modern Eyes (1986)
Right Part Of Me (1984)
Mrs. Johnson (1977)
Miss Sun (1977)
Love Is A Man's World (1977)
On The Run ※
Dave's Gone ※
Baba Mnumzane ※
Africa ※
※:ライブ・バージョン
(　)内はレコーディングされた年

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