Original Soundtrack／『Blade Runner Trilogy』

Vangelis が音楽を担当した映画『Blade Runner』は1982年の公開時、エンドロールにサウンドトラック盤が Polydor Records からリリースとあったが、当時は結局オリジナルのサウンドトラック盤はリリースされず、New American Orchestra による8曲が収められた非公式なアルバムがリリースされただけだった。

当時、Vangelis は公式なサウンドトラック盤がリリースされない理由として、1981年のアカデミー賞で『Chariots Of Fire』のサウンドトラック盤が Original Music Score を獲得したことから自身が映画音楽家と呼ばれることを嫌ったためとか、『Blade Runner』という映画にサウンドトラック盤という存在は意味を成さないとか、いろいろな理由が飛び交った。

その後、1994年になってようやく Vangelis の手掛けた公式なサウンドトラック盤が全12曲入りで発表され、オリジナルの映画公開から12年を経て映画『Blade Runner』の世界がサウンドトラック盤としても楽しめるようになった。

さらにオリジナルの公開から25年が経った2007年には、1994年版のサウンドトラック盤にあった12曲に加えてサウンドトラックとして未発表だった12曲と、新たに Vangelis が映画『Blade Runner』をイメージして作った12曲が2枚のディスクに収められ、合計3枚組の『Blade Runner Trilogy』がリリースされた。

2007年には映画自体も Ridley Scott による Final Cut 版が公開され、5枚組の DVD や Blu-ray のセットにはオリジナルの劇場公開版や、ファンの反応を見るために作られたワークプリント版などが見られるようになっていた。

『Blade Runner Trilogy』には未発表曲だった12曲を加えて全部で24曲のサウンドトラックが収められていたが、これでも全てのサウンドトラックが収録されてはいなかった。

『Main Titles』や『End Titles』にはさらに長いバージョンが存在し、主人公の Deckard が夢を見ているシーンに流れている曲も『Blade Runner Trilogy』には未収録だった。

『Main Titles』や『End Titles』の長いバージョンはこれ以前にブートレグ(海賊盤)としても出回っていたので、公式な決定版とも捉えられていた『Blade Runner Trilogy』にそれらが収められなかったのは残念だった。

3枚目のディスクに収められた Vangelis による新たな12曲には意見が分かれるところだ。俳優によるダイアログも使って映画『Blade Runner』を思わせる雰囲気に仕上げているが、これが中途半端な印象も与えている。25周年を謳った記念盤なら素直に全てのサウンドトラックを出し惜しみせずにリリースして欲しかったところだ。

だが、この25周年記念盤が不完全だったことで、今から2年後の公開から30年後が経つ2012年にはまた新たなモノがリリースされる可能性もあるだろう。もしかしたら、映画の設定でもあった2019年に全ての音源が公開されるのか? でも、その時にはどんな媒体で音楽を聴くことになっているだろう…?

Blade Runner Trilogy
【Disc1】
Main Titles
Blush Response
Wait For Me
Rachel's Song
Love Theme
One More Kiss, Dear
Blade Runner Blues
Memories Of Green
Tales Of The Future
Damask Rose
Blade Runner (End Titles)
Tears In Rain
【Disc2】
Longing
Unveiled Twinkling Space
Dr. Tyrell's Owl
At Mr. Chew's
Leo's Room
One Alone
Deckard And Roy's Duel
Dr. Tyrell's Death
Desolation Path
Empty Streets
Mechanical Dolls
Fading Away
【Disc3】
Launch Approval
Up And Running
Mail From India
BR Downtown
Dimitri's Bar
Sweet Solitude
No Expectation Boulevard
Vadavarot
Perfume Exotico
Spotkanie Z Matka
Piano In An Empty Room
Keep Asking

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