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Phil Collins/『Going Back』 [CD]

Going-Back.jpgPhil Collins の通算8枚目のスタジオ・アルバム『Going Back』は、1960~70年代にかけて Motown レーベルからリリースされた曲をカバーするという内容で、当初は購入の予定になかったアルバムだった。

2000年代の Phil は右耳の聴力低下に始まり、2009年には手術でドラムがもう叩けないとも報じられ、1980年代の頃のような活動は期待できず、自らも一時音楽業界からの引退を発表していた。

そんなところに突然届けられたこの新作は驚くことに全英アルバム・チャートで No.1 を獲得。これは1993年の『Both Sides』以来のことで、俄然、この新作『Going Back』がどのような内容なのか、興味がフツフツとわいてきた。

この『Going Back』で Phil はドラムも自ら叩いているとクレジットにある。まだ握力が弱くスティックが満足に握れない状態だが、腕にスティックをテープで固定して叩いたらしい。

全部で18曲が収められたこの『Going Back』で聴いたことのあるタイトルは『Jimmy Mack』や、1stシングルに選ばれた『(Love Is Like A) Heatwave』など数曲だけだったが、聴いていくうちにどこかで聴いた覚えのあるメロディが次から次へと流れてきた。

Martha And The Vandellas のカバー『In My Lonely Room』では軽やかなピアノの音や女性コーラス、ハンド・クラッピングが印象的に響く曲で、The Doobie Brothers のヒットでも有名な『Take Me In Your Arms』は Phil とバックの掛け合いも楽しそうだった。

Stevie Wonder のバラード『Blame It On The Sun』と『Never Dreamed You'd Leave In Summer』の2曲では、オリジナルの Stevie Wonder の声とはまた一味違う Phil のハスキーなボーカルが曲の持つイメージをより情感たっぷりに仕上げていた。

The Temptations の『Papa Was A Rolling Stone』ではイントロが約2分に及ぶが、その長さがほとんど気にならず、むしろ徐々に盛り上がっていくその構成が見事で長いイントロにも聴き入ってしまった。

『Standing In The Shadows Of Love』など3曲の The Four Tops のカバーでは Phil のバックを務める女性コーラスも曲の雰囲気をより高めているのに貢献している。

そして、このアルバムで1、2を競う素晴らしいカバーに仕上がっている The Ronettes のカバー『Do I Love You』は、聴いているうちになんとも切ない気持ちになってくる。この曲はできれば次のシングルとしてカットして欲しい曲だ。

pc_13.jpgこのアルバムは当初『18 Good Reasons』というタイトルだったらしいが、写真のアーカイブを有する Getty Images に13歳当時の Phil がドラムを叩く写真が見つかったことから、タイトルを『Going Back』に変更したと、雑誌のインタビューで Phil は答えている。

来年1月には60歳を迎える Phil が今できること、やれることを注ぎ込んだ『Going Back』は、全ての曲がカバーという今までにない構成のアルバムだが、以前と同じようにピアノも弾けないことを考えると、ソロとしての八面六臂の活躍を知っているだけに切ない想いになってしまう。

作曲活動にも支障があるかもしれないと思いながら『Never Dreamed You'd Leave In Summer』のような曲を聴いていると涙も出てしまう。余談になるが、この曲は Michael Jackson の追悼式で Stevie Wonder が歌った曲だった。

Going Back Going Back (Deluxe Version) - Phil Collins
Girl (Why You Wanna Make Me Blue) (Norman Whitfield/Edward Holland, Jr.) ※
 by The Temptations (1964)
(Love Is Like A) Heatwave (Holland-Dozier-Holland) ※
 by Martha And The Vandellas (1963)
Uptight (Everything's Alright) (Clarence Paul) ※
 by Stevie Wonder (1966)
Some Of Your Lovin' (Gerry Goffin/Carole King)
 by Dusty Springfield (1965)
In My Lonely Room (Holland-Dozier-Holland) ※
 by Martha And The Vandellas (1964)
Take Me In Your Arms (Rock Me A Little While) (Holland-Dozier-Holland) ※
 by Kim Weston (1965)
Blame It On The Sun (Stevie Wonder/Syreeta Wright) △
 by Stevie Wonder (1972)
Papa Was A Rolling Stone (Whitfield/Barrett Strong) ※
 by The Temptations (1972)
Never Dreamed You'd Leave In Summer (Wonder/Wright) △
 by Stevie Wonder (1971)
Standing In The Shadows Of Love (Holland-Dozier-Holland) ※
 by The Four Tops (1966)
Do I Love You (Peter Anders/Phil Spector/Vincent Poncia Jr.) ※
 by The Ronettes (1964)
Jimmy Mack (Holland-Dozier-Holland) ※
 by Martha And The Vandellas (1967)
Something About You (Holland-Dozier-Holland) ※
 by The Four Tops (1965)
Love Is Here And Now You're Gone (Holland-Dozier-Holland)
 by The Supremes (1967)
Loving You Is Sweeter Than Ever (Ivy Jo Hunter/Wonder)
 by The Four Tops (1966)
Going To A Go-Go (Warren Moore/William Robinson, Jr./Robert Rogers/Marvin Tarplin) ※
 by The Miracles (1965)
Talking About My Baby (Curtis Mayfield)
 by The Impressions (1964)
Going Back (Goffin/King) △
 by Dusty Springfield (1966)
※:ポップなお勧め曲
△:バラードなお勧め曲


タグ:Phil Collins 2010


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