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Heart/『Red Velvet Car』 [CD]

Red-Velvet-Car.jpgHeart がこの夏にリリースした2004年以来の新作『Red Velvet Car』は、Phil Collins の新作同様に気にはなっていたが、何かの機会に手に入れようと考えていたアルバムだった。

2004年の前作『Jupiters Darling』は、それまで在籍していた Capitol からではなく、マイナー・レーベル Sovereign からのリリースで全米チャートでは最高94位止まりだったが、『Red Velvet Car』はなんと全米アルバム・チャートに10位で初登場と、これまでの Heart のどのアルバムより最上位での全米チャート・デビューを飾り、これには驚いてしまった。

そしてこの『Red Velvet Car』は Sony 系のレーベル、Legacy Recordings からのリリースでもあった。

『Red Velvet Car』のレコーディングには Ann と Nancy の Wilson 姉妹に加えて、前作『Jupiters Darling』に関わったメンバーから、ギターの Craig Bartock とドラム/パーカッションの Ben Smith が参加。そして2007年にリリースされた Ann の初めてのソロ・アルバム『Hope & Glory』のレコーディングに参加した Ric Markmann がベースを弾き、このソロ・アルバムでギターやキーボードを担当し、アルバムのプロデュースも務めた Ben Mink が『Red Velvet Car』でも同様の役割を果たした。

Ben Mink はカナダ圏で活躍するソングライターで、いろいろな楽器を弾き、過去には『Constant Craving』のヒットで知られる同郷の k.d. lang のアルバムのプロデューサーも務めた経験を持っている。

スローな『There You Go』で始まる『Red Velvet Car』は1980年代の華々しい Heart とは別のグループのようにも感じたが、1970年代終盤の Heart を知る方には、この『Red Velvet Car』のようなアルバムこそ Heart に待ち望んでいたものかもしれない。

2曲目の『WTF』はこのアルバムで珍しく1980年代的なつくりの曲だが、Ann の枯れ気味(ハスキーとは違う…)なボーカルには月日の経つのを思わず感じてしまった。

そして続くタイトル曲『Red Velvet Car』はその Ann のボーカルの衰えを、よりはっきり確認できてしまう曲で、ある意味残酷な曲だとも感じた。この曲にはカナダ出身の Alannah Myles のスタイルもダブった。

途中に鐘の音が聞こえるややスローな『Queen City』を挟んで、『Hey You』では Nancy のボーカルが聴ける。Nancy のボーカルには Ann ほどの変化は感じず、「Na,na,na,na,na…」というコーラスとアコーステック・ギターをフューチャーしたこの曲は Nancy のボーカルにとても合っていた。

『Wheels』はアナログ時代でいえばB面のトップを飾る曲だろうか。イントロから徐々に曲を盛り上げていく構成が心地良く、この曲のクレジットには『Dog & Butterfly』の頃から Heart の曲作りに関わっている Sue Ennis の名前もあった。

続く『Safronia's Mark』は Led Zepplin のアコースティックなある曲のイントロを一瞬連想させられた。この曲はアンプラグドなライブでも映えるだろう。

『Death Valley』はタイトル曲の『Red Velvet Car』と同じく、Wilson 姉妹とプロデューサーの Ben Mink の3人で作られた曲。この2曲はまるで Ann のソロ・アルバム用にとっておかれた曲のようにも感じた。

Nancy のボーカルが聴けるもう1つの曲『Sunflower』はリラックスした感じがあり、Nancy のボーカルがとる2曲はどちらもホッと一息をつけるような曲だ。

アルバムの最後を飾る『Sand』は Sue Ennis と1990年代中盤に Heart に参加していた Frank Cox と Wilson 姉妹の4人で作られた曲。アルバムの最後を飾る曲としては、ややインパクトが弱いと感じる曲だった。

この『Red Velvet Car』は1980年代後半の Heart を想像するとガッカリしてしまうかもしれないが、それ以前の Heart を知るファンには及第点が付けられる内容のアルバムではないだろうか。

不満な点を敢えて上げれば、ジャケットの裏と挿入された折り込みポスターを広げたところにある Wilson 姉妹の今の写真で、これを見ないでアルバムを楽しみたかったと言ってしまうと Wilson 姉妹に失礼にあたるかな…。

Red Velvet Car
There You Go
WTF
Red Velvet Car
Queen City
Hey You
Wheels
Saffronia's Mark
Death Valley
Sunflower
Sand

タグ:2010 heart


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