Electric Light Orchestra／『Out Of The Blue Tour - Live At Wembley』

この DVD は1977年にリリースされた2枚組のアルバム『Out Of The Blue』をリリース後にロンドンの Wembley Arena で行われたライブの模様を収めたもので、幾つかのバージョンがこれまでにもリリースされている。

このコンサートは恵まれない子供たちへのチャリティを目的とし、英国王室の公爵を招いて行われた。オープニングの挨拶では俳優の Tony Curtis が登場して ELO を紹介している。

この当時の ELO のステージは『Out Of The Blue』のジャケットに登場した宇宙船を模した巨大なセットがステージ上に組まれ、その宇宙船が上下に分かれるシーンでコンサートは幕を開ける。

この当時には珍しいレーザーやスモークの効果でファンを煽った後に ELO のメンバーが登場。ステージ上にはふたりのチェロ奏者とバイオリン奏者も含めた7人編成で、Jeff Lynn と Kelly Groucutt のふたりがフロントに並んでボーカル・ワークを披露する。

オープニングの1曲目には『Out Of The Blue』の2枚目、Concerto For A Rainy Day と題された組曲のトップを飾る『Standin' In The Rain』が選ばれ、『Out Of The Blue』からの曲、『Night In The City』と『Turn To Stone』が続く。

前作『A New World Record』のトップに配された3曲を挟んで再び『Out Of The Blue』からの『Wild West Hero』がプレイされ、Roy Wood が ELO から抜けてから初のアルバム『On The Third Day』に収録の『Showdown』へとコンサートは進んでいく。

中盤にドラムの Bev Bevan からコンサートを見に来たファンへのメッセージが入り、コンサートは終盤へと突入。再び『Out Of The Blue』に収録された曲、『Sweet Talkin' Woman』と『Mr. Blue Sky』がプレイされる。

ELO の前身 The Move 時代の曲で、ELO としても『A New World Record』で取り上げた『Do Ya』と、同じく『A New World Record』からの『Livin' Thing』でコンサートの本編は一旦終了。

アンコールには Chuck Berry のカバー曲で、ELO の2枚目のアルバム『ELO 2』に収録された『Roll Over Beethoven』が登場。この曲では Jeff Lynne のギター・ソロも披露され、3人のバイオリンとチェロ奏者もステージ上を所狭しと動きまわる。チェロ奏者の Melvyn Gale は曲の途中で Richard Tandy と背中合わせに座り、流暢なピアノ・プレイも披露する。

こうして約1時間のライブはあっという間にエンディングを迎え、オープニングで開いた宇宙船が再び閉じることでコンサートは終了となる。

今となっては映像の処理に時代を感じる内容で、ステージ上の ELO のメンバーの衣装もロック・スターという雰囲気。スタジオ・アルバムで聴く ELO の曲は今も新鮮な印象を与えてくれるが、この DVD で見られる ELO には1970年代終盤という時代の雰囲気が強く感じられる。

ELO のライブ盤には決定版と呼べるモノが少なく、この『Out Of The Blue』リリース後のライブを収めた DVD は選曲が当時の最新アルバムに偏っているが、その規模の大きさも含めて充実した内容になっている。

実際に行われたコンサートでは DVD の収録から漏れた曲がかなりある。そのカットされた曲には『Eldorado』や『Face The Music』からの曲もあるので、いつの日かこのコンサートの完全版を公式にリリースして欲しいところだ。

Out Of The Blue Tour - Live At Wembley
Standin' In The Rain
Night In The City
Turn To Stone
Tightrope
Telephone Line
Rockaria!
Wild West Hero
Showdown
1 Minute Talk by Bev Bevan
Sweet Talkin' Woman
Mr. Blue Sky
Do Ya
Livin' Thing
Roll Over Beethoven

タグ：Electric Light Orchestra 2006 ライブ盤