The Cars／『Heartbeat City』：洋楽 ga 好き！

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The Cars／『Heartbeat City』 [CD] [編集]

ポップ・アートの Peter Phillips が描いたイラストを見開きジャケットの表に使った The Cars の通算5枚目のスタジオ・アルバム『Heartbeat City』は、2枚目のスタジオ・アルバム『Candy-O』以来となるヒットをチャートとセールスの両面で記録した。

全米チャートでは最高3位を記録し、アメリカだけで400万枚のセールスを記録。これは『Candy-O』と並ぶものだった。そして前2作がチャートインを果たせなかった全英チャートでは『Candy-O』の最高30位を上回る最高25位を記録して、イギリスでは初のゴールド・ディスクも獲得した。

メンバーは全10曲の作詞に関わった Ric Ocasek を含めたデビュー盤以来不動の5人。そして前作『Shake It Up』まで全てのアルバムでプロデューサーを務めた Roy Thomas Baker のもとを離れ、Def Leppard や AC/DC のアルバムのプロデューサーで有名な Robert John "Mutt" Lange と The Cars の共同でアルバムのプロデュースを行った。

The Cars らしいちょっと捻りのあるポップな感じを残しつつ、ドラムの音などに Robert John "Mutt" Lange の影響が感じられる『Heartbeat City』は、1stシングルの『You Might Think』が The Cars として初の全米チャートで Top10 入りを果たす最高7位を記録。Ric Ocasek が蝿になって飛びまわる内容の PV は MTV Video Music Award で5部門の候補に挙がり、Video of the Year を獲得。その他にも多くの映像に関する賞を獲得した。

『Heartbeat City』からは『Magic』が2ndシングルに選ばれ、この曲も『You Might Think』に続いて全米ロック専門チャートで No.1 を記録。そして3rdシングルとして Benjamin Orr がボーカルの『Drive』がカットされた。

10cc の『I'm Not In Love』にも似た『Drive』は The Cars のシングルとして最大のヒットを記録して全米チャートで最高3位、全英チャートで最高5位を記録した。『Drive』は1985年の Live Aid が開催されたときに再びシングル・カットされて全英チャートに再登場、この時には最高4位まで上昇した。

『Drive』の PV に登場したスーパーモデルの Paulina Porizkova はこれがきっかけで Ric Ocasek とつきあうようになり、後にふたりは結婚した。

『Heartbeat City』からはこの後も4枚目のシングルに Andy Warhol が監督を務めた『Hello Again』が、5枚目のシングルとして『Why Can't I Have You』がカットされ、イギリスではタイトル曲の『Heartbeat City』もシングル・カットされた。

『Heartbeat City』は間違いなく The Cars のアルバムで最も人気があり、そして売れたアルバムで、この時期が The Cars の活動のピークだった。これ以降の The Cars は1987年に『Door To Door』を最後にオリジナルのスタジオ・アルバムをリリースしていない。そしてデビュー盤以来の不動のメンバーも『Drive』でボーカルを務めた Benjamin Orr がガンを患い、2000年の10月3日にアトランタの自宅でフィアンセらが見守られるなか、53歳で他界している。

Heartbeat City　