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Eric Clapton/『Money and Cigarettes』 [CD]

money-and-cigarettes.jpgこの『Money and Cigarettes』は Eric Clapton が1970年にリリースしたソロ1作目の『Eric Clapton』から数えて通算8枚目のスタジオ・アルバムで、全米チャートで最高13位、全英チャートで最高16位を記録した。

チャート上の結果はさほど目立ったものではなく、セールス面でもそれまでのソロ時代のスタジオ・アルバムが英米どちらかでゴールド・ディスクなどを獲得したのに対して『Money and Cigarettes』は、英米双方でそのような区切りとなる売上げをマークしていないアルバムだ。

この『Money and Cigarettes』は前作まで属していた Polydor を離れて Warner Bros へ移籍してからの最初のスタジオ・アルバムで、レーベルも新たに Duck Records を作り、そこからリリースされた最初のアルバムだった。

前作のプロデューサーである Tom Dowd と共に作り始めた『Money and Cigarettes』のレコーディング・メンバーには前作までの英国陣スタッフからギターの Albert Lee 以外を全て一新。ギターに Ry Cooder を迎え、ベースには Booker T & The MG's の Donald "Duck" Dunn を、ドラムには The Muscle Shoals Rhythm Section の Roger Hawkins というアメリカ南部の音楽に通じたメンバーを起用して制作された。

アルバムの1曲目はテネシー州出身のブルース奏者 Sleepy John Estes のカバー『Everybody Oughta Make A Change』で始まる。とてもリラックスした感じの Eric Clapton のボーカルが聴けるこの曲では Ry Cooder とのギター共演もさっそく披露される。

2曲目の『The Shape You're In』はこのアルバムで初めて披露される Eric Clapton による曲で、とても軽快なノリの曲。この曲も間奏部分で Eric Clapton と、Ry Cooder か Albert Lee のどちらかとのギターの共演が聞ける。コンサートではこの共演のパートはとても盛り上がるのではないだろうか。

そして3曲目の『Ain't Going Down』がまた素晴らしい曲で、このアルバムに含まれた10曲の中で1、2を争うお気に入りの曲だ。タイトルがコールされる部分に続くギター・ソロの速弾きはおそらく Eric Clapton だろうが、こんな曲をナマで見ることができたら、どんなに楽しいだろうと思わずにいられない曲だ。

4曲目の『I've Got A Rock 'N' Roll Heart』は『Money and Cigarettes』で2曲目の Eric Clapton 以外の手による曲で、どこかで聴いた覚えのある曲。『Ain't Going Down』のひたすら走る展開から一転してスローな曲だが、とても心地良い曲。このアルバムからシングル・カットされ、全米チャートでは最高18位のヒットを記録した。

LP 時代のA面最後を飾る5曲目の『Man Overboard』では Roger Hawkins の叩くドラムがまた心地良い。ここでも Eric Clapton のほどよく力の抜けたボーカルが楽しめる。そしてハッキリとしないが、このアルバムに参加した Ry Cooder か Albert Lee のギターも軽やかで曲に彩りを添えている。

『Pretty Girl』はこのアルバムで初めて披露されるバラードな曲。しっとりと歌いあげる Eric Clapton のボーカルは最新作『Clapton』のブルースやスタンダードで披露されるボーカルより、ずっと艶やか。またこの曲では Albert Lee の弾くキーボードの音色がまたいい感じだ。

『Pretty Girl』からややテンポを上げた『Man In Love』では、このアルバムに参加したメンバーのプレイがいろいろと楽しめる。Albert Lee のキーボードはここでも活躍し、そこに Ry Cooder のギターが絡む。3分にも満たない短い曲だが、この曲もライブでは個々のメンバーのソロが聴きどころになっていただろう。

続く『Crosscut Saw』はこのアルバムで3曲目の Eric Clapton 以外による曲で、オリジナルは1941年にリリースされたブルースで、Albert King もカバーしている。Eric Clapton の弾くギター・ソロのパートに、Ry Cooder か Albert Lee のどちらかがカッティングしたギターがまとわりつくように絡む。この曲も3分半の長さで最後はフェードアウトしてしまうが、延々とジャム・セッションが続くような曲だ。

『Slow Down Linda』はこのアルバムで聴ける Eric Clapton が書いた最後の曲。こういうミッドテンポの曲は本当にうまいなぁと感心させられ、タイトルをコーラス隊と掛け合う部分や、裏方で軽やかに跳ねるキーボード、中間で聴けるギター・ソロと、ロックの楽しい部分がたくさん詰まっている曲だ。

そして『Money and Cigarettes』の最後は Johnny Otis の1950年代にリリースされたシングルの『Crazy Country Hop』のカバーで締め括られる。この曲では誰がサイド・ギターを務めているのだろう。ステージ上で Eric Clapton の横で Ry Cooder がギターを弾いているシーンを想像してしまうような楽しい曲だ。

全部で40分にも満たない Warner Bros から最初のアルバム『Money and Cigarettes』は一般的にはあまり評価が高くないが、久しぶりに改めて聴くと、いろいろと楽しめる内容がたくさん詰まっていて、聴きどころの多いとてもいいアルバムだった。

Money and Cigarettes
Everybody Oughta Make A Change (Sleepy John Estes)
The Shape You're In
Ain't Going Down
I've Got A Rock 'N' Roll Heart (Steve Diamond, Troy Seals, Tony Seals, Eddie Setzer)
Man Overboard
Pretty Girl
Man In Love
Crosscut Saw (R.G. Ford)
Slow Down Linda
Crazy Country Hop (Johnny Otis)

タグ:Eric Clapton 1983


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