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Steely Dan/『Alive In America』 [CD]

Alive-in-America.jpgここ数日で取り上げてきた CD の流れから、Steely Dan が唯一公式にリリースしたライブ盤の『Alive In America』を引っ張り出してきた。全部で11曲が収められたこのライブ盤は、ジャケットに描かれたミイラ男に抱かれる女性のイラストだけが今も理解に苦しむが、素晴らしい内容のライブ盤に仕上がっていた。

このライブ盤がリリースされたのは1995年の10月。ここから約1年半前の1994年4月に Steely Dan は初来日公演を行い、当時、代々木オリンピックプールで行われたライブを幸運にも見に行った。

『Alive In America』と題されたライブ盤には1993年と1994年のツアーから11曲が選ばれ、『Green Earrings』と『Book of Lairs』、『Third World Man』の3曲以外は1994年のツアーから音源が選ばれているようだ。

このライブのメンバーは Walter Becker と Donald Fagen のふたりを中心に、ベース、ドラム、ピアノ、ギター、パーカッションに加え、サックスとバックコーラスがそれぞれ3人ずつという構成で行われた。

1曲目の『Babylon Sisters』はオリジナルからペースを落としてプレイされ、久々のライブにあたって肩慣らしのための準備段階のようにも感じられた。

続く『Green Earrings』でようやく体がほぐれてきたかのようなプレイとなり、間奏部分ではキーボード、サックス、ギターのソロが立て続けにフューチャーされている。『Green Earrings』から間髪入れずにプレイされる『Bodhisattva』は近年 TOTO がライブでカバーをしている曲だが、やはり Steely Dan としてこの曲を聴くのはとても感慨深い。

時代はさらに遡り、デビュー盤の『Can't Buy a Thrill』から『Reelin' In The Years』が続いてプレイされる。『Bodhisattva』の激しいムードから一転、ペースを落として始められるこの曲でも間奏部分のギター・ソロが見せ場のひとつだ。

次の曲は一気に時代が進み『Aja』から『Josie』をプレイ。比較的オリジナルに忠実にプレイされる『Josie』ではギターの音がやや大きめ。唸るようなベースの音もライブならではの音作りで、この曲ではドラム・ソロも披露される。

ここで Steely Dan の曲をひと休みして Walter Becker の作った『Book Of Liars』がプレイされる。当時の来日公演でも初めて Walter Becker の歌うシーンを見て、こんな声だったのかと驚いた思いがある曲だが、ピアノ・ソロ以外は淡々と進み、あまり起伏のない曲だった。

再び Steely Dan の曲に戻り、ライブの後半はアルバム『Aja』から『Peg』がプレイされ、特徴あるイントロが始まるとファンもそれをすぐに理解して盛り上がる。オリジナルに忠実なギター・ソロで、ラストの部分以外はほぼオリジナルどおりのアレンジでプレイされている。

当時の Steely Dan の最新作である『Gaucho』から『Third World Man』が選ばれるが、この曲もオリジナルよりスピードを落とし、Donald Fagen のボーカルがより深く染み入るような曲へと生まれ変わっている。

『Aja』と同じくこのライブ盤に3曲が収められた『The Royal Scam』から『Kid Charlemagne』がプレイされるが、この曲にはとても懐かしい感じがする。ライブで映えるように間奏部分や後半部分でギター・ソロが多くフューチャーされている。

『The Royal Scam』から続いて意外な曲『Sign In Stranger』が選ばれ、この曲では Donald Fagen のボーカルと同じくらいキーボードの音も大きくフューチャーされている。キーボード・ソロの終わりがとても凝っている曲だ。

そしてこのライブ盤は9分に及ぶ『Aja』でピークに達する。この曲のイントロで起こるファンの歓声からもその様子がわかる。間奏部分もオリジナルを踏襲したアレンジでサックスのソロも入り方は同じ。サックスとドラムの競演は文字通りライブでもハイライトで、終わるとファンから歓声が沸き起こる。フィナーレとして、これ以上のプレイはないという曲でこのライブ盤は終わる。

初期の曲が少なく後期3枚のアルバムからの曲が中心のライブは、ジャケットのイラスト以上に選曲にも注文をつけたいところだが、聴けることがないと思っていた Steely Dan のライブ盤がこうして公式に聴けることはとても嬉しかった。しかも来日公演後のリリースということで、見に行った代々木オリンピックプールでのライブの余韻が蘇ってくるようなライブ盤だった。

Alive In America Alive In America - Steely Dan
Babylon Sisters ※VII
Green Earrings ※V
Bodhisattva ※II
Reelin' In The Years ※I
Josie ※VI
Book Of Liars
Peg ※VI
Third World Man ※VII
Kid Charlemagne ※V
Sign In Stranger ※V
Aja ※VI
※I:『Can't Buy a Thrill』収録
※II:『Countdown To Ecstasy』収録
※V:『The Royal Scam』収録
※VI:『Aja』収録
※VII:『Gaucho』収録




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コメント 2

seawind335

これは、ノーマークでした・・・・
しかし、あの楽曲群をLiveでやるには、相当の技量が要りますよね!
by seawind335 (2010-12-02 22:55) 

MCMLXV_65

この頃、Steely Danとしてライブをやるきっかけになったのも、先日紹介したニューヨークでの一連のプロジェクトで自信を深めたからだと思います。オリジナルのアレンジに忠実な曲もあれば、ソロ・プレイなどで聴かせどころのあるライブ盤なのでお勧めの一枚です。

このアルバムもリリースから15年が経つので、そろそろ完全盤とか出ないかなぁと密かに願ってます!
by MCMLXV_65 (2010-12-03 00:02) 

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