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The Power Station/『Living in Fear』 [CD]

Living-In-Fear.jpgRobert Palmer に Duran Duran の John Taylor と Andy Taylor。そして Chic の Tony Thompson を加えた4人で結成された The Power Station がセルフ・タイトルのアルバム『The Power Station』をリリースしたのが1985年。そこから11年が経った1996年、The Power Station の2ndアルバム『Living in Fear』が突如リリースされた。

この頃、Duran Duran は『Thank You』というカバー・アルバムをリリース。Robert Palmer は1993年の『Rhythm & Blues』以来、新作のリリースはなく、Tony Thompson は Duran Duran の『Thank You』で Steve Ferrone や Terry Bozzio に混じりドラムを叩いていた。

この2ndアルバム『Living in Fear』に収められた曲は2つのカバー曲を除き、全曲を1stアルバムに参加した4人が作っていたが、John Taylor は元 Sex Pistols の Steve Jones らとの Neurotic Outsiders に参加していた為、『Living in Fear』のレコーディングでは Chic の Bernard Edwards がベースを弾いていた。(ちなみに Neurotic Outsiders には元 Guns N' Roses の Matt Sorum と Duff McKagan が参加)

Bernard Edwards が前作に引続きアルバムのプロデュースも手がけた『Living in Fear』は、良く捉えると前作よりサウンドの幅が広がったが、悪く言えば前作にあった緊張感が薄れ散漫な印象もあった。

とは言うものの Robert Palmer のボーカルはやはり The Power Station の看板であり、Marvin Gaye の1973年の No.1 シングル『Let's Get It On』でのゆったりとしたボーカルは見事の一言。アルバムのトップを飾る『Notoriety』では他の3人のプレイと共に The Power Station として11年ぶりというブランクを感じさせない見事なボーカルを披露している。この曲で聴ける Andy Taylor のギターもとてもかっこいい!

3曲目の『She Can Rock It』も Andy Taylor のギターを大きくフューチャーされ、この曲ではタイトル部分のフレーズを抑え気味に、そしてシャウトも披露する Robert Palmer のボーカル・ワークは1980年代の頃と全く遜色ないと感じる。

『Life Forces』は The Power Station としては新機軸な少しスローな曲で、こういう曲を選んだことも11年前と違う点だろうか。メンバーが年を重ねたことで生まれた曲のようにも思う。続く『Fancy That』も女性コーラスとホーンをアレンジした11年前にはなかったタイプの曲だが The Power Station というユニットには「?」が付くタイプの曲かもしれない。

そしてタイトル曲の『Living in Fear』は一転して Andy Taylor のギターがまた活躍するハードな曲で Robert Palmer のボーカルとバトルのような展開が聴きモノ。この曲では Tony Thompson のドラムもふたりに負けじと存在感を放っている。

またホーンがアレンジされた『Shut Up』では無線のような効果音も入っているが、ちょっと弱い存在の感じだろうか? 『Dope』はまた混沌とした曲で、これも2ndアルバムの中で異質な存在の感じがする曲だ。

ここまでハードな展開の曲が続いた後は、ちょっとテンポを落とした『Love Conquers All』と The Beatles のアルバム『Revolver』のトップを飾る『Taxman』のカバーで『Living in Fear』は終わる。この『Taxman』はかなりオリジナルと雰囲気が異なり、イントロだけでは『Taxman』が始まるとは思えない。Robert Palmer のボーカルが入ると『Taxman』だと分かるようなアレンジの曲だ。

と、『Living in Fear』には11年前の前作を思わせるタイプの曲もある一方、新しい試みの曲もあり、この試みがすんなりと受け入れることができれば、お勧めの一枚になるかもしれないアルバムだ。

『Living in Fear』でプロデューサーを務め、ベースも弾いた Bernard Edwards はこのアルバムのリリースを見届けることなく、1996年4月18日に急性肺炎で亡くなってしまった。そして Robert Palmer が亡くなった2003年には強烈なドラム・プレイを披露した Tony Thompson が11月12日に腎臓癌で他界。Robert Palmer に続き The Power Station のサウンドの要であった Tony Thompson も失ったことで The Power Station は本当に終わりとなってしまった。

なお、この『Living in Fear』のジャケットはここで紹介したピンクの他にブラウン系のトーンのジャケットもあり、ボーナス・トラックが異なり、収録曲の順番も異なる盤が存在する。

Living in Fear
Notoriety
Scared
She Can Rock It
Let's Get It On
Life Forces
Fancy That
Living in Fear
Shut Up
Dope
Love Conquers All
Taxman
bonus track
Charanga (previously released)
Power Trippin' (previously released)



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コメント 2

seawind335

早速、リクエストにお応えいただき有難うございます。
m(_)m

しかし、Robert Palmer のボーカルは変幻自在ですね!
私は、Taxmanが妙に気に入ってしまいました。
by seawind335 (2010-12-09 23:19) 

MCMLXV_65

Robert Palmerのボーカルはバラードやレゲエみたいなスタイルにも合っていたので、年を経てからのボーカルも聴いてみたかったところです。それにしても、このバンドに関わった3人が鬼籍に入ってしまい、もう再び新作が聴けないのが残念です…。
by MCMLXV_65 (2010-12-09 23:57) 

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