T.D.F./『Retail Therapy』 [CD]
1997年に T.D.F. 名義でリリースされたアルバム『Retail Therapy』の紹介にはドラムン・ベースという言葉が使われることがある。T.D.F. は Totally Dysfunctional Family の略で、タイトルを「ショッピング療法」とも訳せるこのアルバムの制作に関わっていたのは Simon Climie と x-sample という人物だった。
Simon Climie はかつて Climie Fisher というユニットで1980年代に活躍し、1990年のユニット解散後はプロデューサーに転向。そして x-sample という仮名を使っていたのは Eric Clapton だった。
この頃の Eric Clapton は念願だったブルースのカバー集『From The Cradle』を1994年にリリース。この T.D.F. での活動後、1998年には Simon Climie を共同プロデューサーに迎えて1989年の『Journeyman』以来となるスタジオ・アルバム『Pilgrim』をリリースした。
Simon Climie とはこの後も B.B. King との連名で2000年に『Riding With The King』を作り、2001年のソロ・アルバム『Reptile』では再び Simon Climie を共同プロデューサーに迎えている。
2000年前後の一連の共同作業の発端となったこの『Retail Therapy』は、Giorgio Armani のファッション・ショーで使われる曲を想定して作られとあり、この頃の Eric Clapton が有名ブランドの服を買い漁っていたことから『Retail Therapy』という皮肉めいたタイトルが付けられたともある。
このアルバムがリリースされた当時、ショップにある CD 紹介のポップには「Eric Clapton がドラムン・ベースに挑戦!」などと書かれていた。ジャケットに Eric Clapton の写真はなく、ジャケットからはドラムン・ベースな雰囲気も感じられたが、実際にドラムン・ベースな曲は『Sno-god』『Seven』『Rip Stop』の3曲程度で、強いてあげれば『Blue Rock』もドラムン・ベースな要素があると思える程度だった。
他の曲は Eric Clapton の弾くアコースティック・ギターが特徴の『Angelica』など、ドラムン・ベースと対極にある AOR な装いで、他にも『Sienna』『Angelica's Dream』『Donna』と女性の名前がタイトルにある曲も AOR な感じの曲だった。
アルバムの最後にある『What Else』にもドラムン・ベースな要素はなく、ストリングスとアコースティック・ギターで構成された美しい曲だった。
Eric Clapton の叫ぶような声がサンプリングされた『Sno-god』はエレキトリック・ギターがフューチャーされ、『Seven』では B.B. King の『How Blue Can You Get』がサンプリングされていた。
話がちょっと逸れるが、1997年に B.B. King が多くのゲストを招いて作ったアルバム『Deuces Wild』に収録されている『Rock Me Baby』では Eric Clapton がギターで参加し、Simon Climie がドラム・プログラミングで関わっていた。この時期の活動が後の『Riding With The King』という3者が協力したアルバムに繋がったのかもしれない。
『Retail Therapy』に戻り『What She Wants』という曲では女性のサンプリングされた声が含まれている。アルバムにはこの女性の声が誰であるかどこにもクレジットされてないが、この女性は Sheryl Crow だそうで、ちょっと荒々しい Eric Clapton のボーカルと絶妙な感じに仕上げられている。そしてこの意外な組み合わせの『What She Wants』も AOR な感じの曲だ。
今ではなかなか見つけにくい『Retail Therapy』だが、AOR が好きな方には機会があれば是非お勧めしたいアルバムだ。
Retail Therapy
Blue Rock
Angelica
Pnom-Sen
Sno-god
Sienna
Seven
Angelica's Dream
What She Wants
Donna
Rip Stop
What Else
Simon Climie はかつて Climie Fisher というユニットで1980年代に活躍し、1990年のユニット解散後はプロデューサーに転向。そして x-sample という仮名を使っていたのは Eric Clapton だった。
この頃の Eric Clapton は念願だったブルースのカバー集『From The Cradle』を1994年にリリース。この T.D.F. での活動後、1998年には Simon Climie を共同プロデューサーに迎えて1989年の『Journeyman』以来となるスタジオ・アルバム『Pilgrim』をリリースした。
Simon Climie とはこの後も B.B. King との連名で2000年に『Riding With The King』を作り、2001年のソロ・アルバム『Reptile』では再び Simon Climie を共同プロデューサーに迎えている。
2000年前後の一連の共同作業の発端となったこの『Retail Therapy』は、Giorgio Armani のファッション・ショーで使われる曲を想定して作られとあり、この頃の Eric Clapton が有名ブランドの服を買い漁っていたことから『Retail Therapy』という皮肉めいたタイトルが付けられたともある。
このアルバムがリリースされた当時、ショップにある CD 紹介のポップには「Eric Clapton がドラムン・ベースに挑戦!」などと書かれていた。ジャケットに Eric Clapton の写真はなく、ジャケットからはドラムン・ベースな雰囲気も感じられたが、実際にドラムン・ベースな曲は『Sno-god』『Seven』『Rip Stop』の3曲程度で、強いてあげれば『Blue Rock』もドラムン・ベースな要素があると思える程度だった。
他の曲は Eric Clapton の弾くアコースティック・ギターが特徴の『Angelica』など、ドラムン・ベースと対極にある AOR な装いで、他にも『Sienna』『Angelica's Dream』『Donna』と女性の名前がタイトルにある曲も AOR な感じの曲だった。
アルバムの最後にある『What Else』にもドラムン・ベースな要素はなく、ストリングスとアコースティック・ギターで構成された美しい曲だった。
Eric Clapton の叫ぶような声がサンプリングされた『Sno-god』はエレキトリック・ギターがフューチャーされ、『Seven』では B.B. King の『How Blue Can You Get』がサンプリングされていた。
話がちょっと逸れるが、1997年に B.B. King が多くのゲストを招いて作ったアルバム『Deuces Wild』に収録されている『Rock Me Baby』では Eric Clapton がギターで参加し、Simon Climie がドラム・プログラミングで関わっていた。この時期の活動が後の『Riding With The King』という3者が協力したアルバムに繋がったのかもしれない。
『Retail Therapy』に戻り『What She Wants』という曲では女性のサンプリングされた声が含まれている。アルバムにはこの女性の声が誰であるかどこにもクレジットされてないが、この女性は Sheryl Crow だそうで、ちょっと荒々しい Eric Clapton のボーカルと絶妙な感じに仕上げられている。そしてこの意外な組み合わせの『What She Wants』も AOR な感じの曲だ。
今ではなかなか見つけにくい『Retail Therapy』だが、AOR が好きな方には機会があれば是非お勧めしたいアルバムだ。
Retail Therapy
Blue Rock
Angelica
Pnom-Sen
Sno-god
Sienna
Seven
Angelica's Dream
What She Wants
Donna
Rip Stop
What Else
タグ:1997 Eric Clapton
2011-01-06 00:14
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