Boz Scaggs／『Greatest Hits Live』：洋楽 ga 好き！

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Boz Scaggs／『Greatest Hits Live』 [CD] [編集]

このアルバムはリリースのちょうど1年前になる2003年の8月、サンフランシスコにある Great American Music Hall で行われたライブを収めた2枚組で、アルバムのプロデュースは Boz の1976年の『Silk Degrees』でバックを務め、後に TOTO を結成する David Paich が担当している。

会場となった Great American Music Hall は1907年に創設された会場で、Boz のようなポピュラー・ミュージックの他に過去に Duke Ellington や Count Basie もここではプレイをしていて、Grateful Dead のアルバム『One From The Vault』がレコーディングされた会場としても知られている。

Boz のライブは『Silk Degrees』からシングル・カットされ、全米チャートで最高3位を記録した『Lowdown』から始まる。このライブの序盤にプレイされた3曲は Boz のキャリアを代表する誰でも聴いたことのある曲が並び、この3曲で Boz の世界にあっという間に引き込まれてしまう。

ここまでの3曲で Boz のボーカルがたっぷり披露された後に続く『It All Went Down The Drain』と『Harbor Lights』では、この日のライブでバックを務めるメンバーがそれぞれのギター・ソロやサックスとキーボード・ソロを披露し、バックも充実したメンバーであることがしっかりと印象づけられる。

1980年のアルバム『Middle Man』からの2ndシングルで全米17位を記録した『Jojo』で盛り上がった後は、1969年に Bobby Bland がシングル・カットした渋いブルースの『Ask Me 'Bout Nothin' (But The Blues)』をカバー。

そして前半の最後を締め括るのは再び『Middle Man』からの曲で、1stシングルとして全米15位をマークした『Breakdown Dead Ahead』。この曲では Boz のロックなボーカルに負けじと Drew Zingg のギター・ソロがさらに光っている。

このライブでギターを弾いている Drew Zingg は以前、このブログで紹介した『The New York Rock and Soul Revue: Live at the Beacon』で Boz の曲以外に Donald Fagen の『Chain Lightning』や Michael McDonald の『Minute By Minute』でもギターを弾いているギタリストだ。

ディスクが代わって後半のトップは1980年公開の John Travolta が主演した『Urban Cowboy』の挿入歌で全米チャートで最高14位を記録した『Look What You've Done To Me』でスタート。Boz のアルバムでは1980年のベスト盤『Hits!』に収録され、このライブでは Barbara Wilson と Ms. Mone't の二人の女性バック・コーラスがとても綺麗だ。

2001年リリースの『Dig』からの『I Just Go』を挟んで、ライブは終盤に突入。『Georgia』から Boz のヒット・メドレーが始まり、『Hits!』に収録の『Miss Sun』では Boz と Ms. Mone't のボーカルの掛け合いも聴きどころ。そしてライブ本編の最後は Matt Bissonette のベースが特徴あるイントロを刻む『Lido Shuffle』でハイライトを迎える。

Boz のヒット曲が続いた後のアンコールは、1971年の『Boz Scaggs & Band』に収録された『Runnin' Blue』で始まる。12分に及ぶこの曲ではバックを務めたメンバーのオルガンやキーボードのソロ、トランペットやサックスのソロがたっぷり堪能できる。

Boz がそのメンバーを一人ずつ紹介した後に続くのは、1967年に Fenton Robinson が発表した『Somebody Loan Me a Dime』のカバーで、Boz のアルバムでは1969年の『Boz Scaggs』に収められていた『Loan Me A Dime』。この曲も15分以上にわたりプレイされる長い曲で、この日のバックを務めたミュージシャンの熱いプレイに会場から随所で歓声が沸く。

そしてライブは静かなピアノのイントロで始まる『Silk Degrees』からの『We're All Alone』で終りとなる。『Lido Shuffle』のB面としてシングル・カットされた Boz の代名詞とも言えるこの曲では中盤のキーボード・ソロでファンが沸く瞬間もしっかり収められている。

このライブが収録された頃の Boz は60歳を目前に控えていたが、ロックな曲でもブルースな曲でも Boz のボーカルは健在で、バックを務めたミュージシャンもそれぞれが素晴らしいメンバーだった。このラインアップでのライブが日本で見られなかったのがとても残念に思えるほどのライブ盤になっている。このライブは映像としても残されているので機会があればぜひ映像版も見てみたいと思わせる充実した内容のライブだ。

Greatest Hits Live

Lowdown
Slow Dancer
Heart Of Mine
It All Went Down The Drain
Harbor Lights
Jojo
Ask Me 'Bout Nothin' (But The Blues)
Breakdown Dead Ahead
Look What You've Done To Me
I Just Go
Georgia
Miss Sun
Lido Shuffle
Runnin' Blue
Loan Me A Dime
We're All Alone