世界中でリリースされたQueenの『Greatest Hits』 [いろいろと…]
Queen はバンド結成から10年目にあたる1981年に初のベスト盤『Greatest Hits』をリリースした。対象となるアルバムは1973年のデビュー盤『Queen』から1980年にリリースされた映画のサウンドトラック盤『Flash Gordon』までの9枚のアルバムで、主にシングル・ヒットした曲を中心に国によって少しずつ収録曲が異なるベスト盤だった。
現在流通している『Greatest Hits』は世界中で英国仕様の収録曲に統一されてしまったが、リリースされた1981年当時はこの微妙に異なる『Greatest Hits』を集めようと輸入盤を取り扱うレコード店や海賊盤を扱っている西新宿界隈のブート店を回ったものだった。その基本となる英国仕様の『Greatest Hits』は当時の LP でA/B面に以下の17曲が並んでいた。
【UK Edition】
このイギリス盤で一番古い曲は『Queen II』の『Seven Seas Of Rhye』で、デビュー盤からの曲は1つもなかった。デビュー当時の Queen はイギリスのメディアから酷評だったというが、初のベスト盤においてもそのデビュー当時の状況を反映した内容になっていた。
そして世界 No.1 のマーケットであるアメリカでリリースされた『Greatest Hits』は、イギリス盤から3曲少ない14曲構成だった。
【US Edition】
全米シングル・チャートで No.1 になった『Another One Bites The Dust』がトップに据えられ、Queen 初の全米 No.1シングル『Crazy Little Thing Called Love』も『Bohemian Rhapsody』に続く3曲目に置かれていた。そしてアメリカ盤では David Bowie との共作で、それまでのアルバムに未収録のシングル『Under Pressure』がA面の最後に置かれ、イギリス盤で1曲もなかったデビュー盤から『Keep Yourself Alive』が収録されていた。
では、日本盤の『Greatest Hits』にはどんな曲が入っていたのだろう? 曲数はイギリス盤と同じ17曲が収められていた。
【Japanese Edition】
A面4曲目まではイギリス盤と同じ構成。『Under Pressure』がA面最後という構成はアメリカ盤と同じ。B面は基本イギリス盤と同じ曲順だったが、日本語の歌詞が登場する『Teo Torriatte (Let Us Cling Together)』が日本盤の最大の特徴だった。しかし、日本盤で一番古い曲は3枚目のスタジオ・アルバム『Sheer Heart Attack』からの『Killer Queen』『Now I'm Here』と、Queen をいち早く応援してきた日本のファン向けの『Greatest Hits』に初期2枚のアルバムから1曲もなかったのはちょっと寂しかった。
ここまでの3か国以外の『Greatest Hits』がどうなっていたかを調べてみると、オーストラリア盤の『Greatest Hits』は15曲入りだった。
【Australia Edition】
基本はアメリカ盤に準じていたが、A面最後が『Tie Your Mother Down』で、『Under Pressure』はB面最後へと収録場所が移っていた。
ドイツ盤『Greatest Hits』はイギリス盤を基本にした18曲入りだった。
【Germany Edition】
18曲もありながら『Under Pressure』は収録されず、ドイツ盤の特徴は6枚目のスタジオ・アルバム『News Of the World』から『Spread Your Wings』が選ばれていたことだった。
そして、知る限りで最多の19曲を収めていた『Greatest Hits』がブルガリア盤だった。
【Bulgaria Edition】
1曲目からして4枚目のスタジオ・アルバム『A Night At The Opera』にある『You're My Best Friend』と意表をつく曲順だった。そして他の国では並んで配置された『We Will Rock You』と『We Are The Champions』はA/B面に別れ、ブルガリア盤最大の特徴は『A Night At The Opera』から『Death On Two Legs (Dedicated To...)』と『Sweet Lady』の2曲があることだった。この2曲がある『Greatest Hits』はブルガリア盤だけだっただろう。
南米でも人気のあった Queen だが、ブラジル盤『Greatest Hits』はイギリス盤を基本とした構成だった。
【Brazil Edition】
『Love Of My Life』のアルゼンチンでのライブ・バージョンを含む17曲構成で、他に違いはイギリス盤のB面にある『Seven Seas Of Rhye』が『Killer Queen』に変更になっている以外、大きな違いはなかった。
と、これだけでも7種類の『Greatest Hits』がリリースされていたが、まだ他にも収録曲違いがあるらしく、7枚目のスタジオ・アルバム『Jazz』のオープニングを飾った『Mustapha』を収めた『Greatest Hits』もあるらしい。
なお、Queen の『Greatest Hits』はレーベル移籍に伴い、現在はユニバーサルからリリースされているが、ジャケットにある4人の画像とタイトル文字のフォントを変えるという暴挙でオリジナル・デザインが変わってしまい、すっかり興醒めしてしまった。
一部のメディアは音質が向上していると論じているが、比較対象に CD 初期の頃にリリースされた『Greatest Hits』などを使い、1981年当時にリリースされたオリジナルの『Greatest Hits』と比較していない点も疑問に感じる。CD 初期の『Greatest Hits』はリマスターもされておらず、それと比較しても何の意味もない。メーカーの都合のいい文言ばかりが先行し、本当に Queen のメンバーが意図した音質になっているのか、とても疑問に感じる。
また今回ユニバーサルから初期5枚のアルバムがリイシューされ、その限定盤に収録される曲が一時発表になったが、その中には既存ライブ盤の収録曲をただ持ってきたものもあり、これも疑問に思う内容だった。そんな評判が影響してか、ユニバーサルのページから一時発表された収録予定曲が全て1月23日時点で未定と改められている。(1/27追記:Queenの公式サイトで初期5枚のアルバムに追加されるボーナス曲が発表になった)
Queen のレーベル移籍に伴うリイシュー盤は音質もそうだが新装になったデザインも含めて、その内容を慎重に吟味しないと、無用な出費になりそうで注意が必要だ。(しかし、デザインも新装になるアルバムは、もはやリイシューやリマスターと呼べない別モノではないだろうか…)
現在流通している『Greatest Hits』は世界中で英国仕様の収録曲に統一されてしまったが、リリースされた1981年当時はこの微妙に異なる『Greatest Hits』を集めようと輸入盤を取り扱うレコード店や海賊盤を扱っている西新宿界隈のブート店を回ったものだった。その基本となる英国仕様の『Greatest Hits』は当時の LP でA/B面に以下の17曲が並んでいた。
【UK Edition】
◆Side A Bohemian Rhapsody Another One Bites The Dust Killer Queen Fat Bottomed Girls Bicycle Race You're My Best Friend Don't Stop Me Now Save Me |
◆Side B Crazy Little Thing Called Love Somebody To Love Now I'm Here Good Old-Fashioned Lover Boy Play The Game Flash Seven Seas Of Rhye We Will Rock You We Are The Champions |
そして世界 No.1 のマーケットであるアメリカでリリースされた『Greatest Hits』は、イギリス盤から3曲少ない14曲構成だった。
【US Edition】
◆Side A Another One Bites The Dust Bohemian Rhapsody Crazy Little Thing Called Love Killer Queen Fat Bottomed Girls Bicycle Race Under Pressure |
◆Side B We Will Rock You We Are The Champions Flash Somebody To Love You're My Best Friend Keep Yourself Alive Play The Game |
では、日本盤の『Greatest Hits』にはどんな曲が入っていたのだろう? 曲数はイギリス盤と同じ17曲が収められていた。
【Japanese Edition】
◆Side A Bohemian Rhapsody Another One Bites The Dust Killer Queen Fat Bottomed Girls Good Old-Fashioned Lover Boy Don't Stop Me Now Save Me Under Pressure |
◆Side B Crazy Little Thing Called Love Somebody To Love Now I'm Here Teo Torriatte (Let Us Cling Together) You're My Best Friend Play The Game Flash's Theme A/K/A Flash We Will Rock You We Are The Champions |
ここまでの3か国以外の『Greatest Hits』がどうなっていたかを調べてみると、オーストラリア盤の『Greatest Hits』は15曲入りだった。
【Australia Edition】
◆Side A Another One Bites The Dust Bohemian Rhapsody Crazy Little Thing Called Love Killer Queen Fat Bottomed Girls Bicycle Race Tie Your Mother Down |
◆Side B We Will Rock You We Are The Champions Flash Somebody To Love You're My Best Friend Keep Yourself Alive Play The Game Under Pressure |
ドイツ盤『Greatest Hits』はイギリス盤を基本にした18曲入りだった。
【Germany Edition】
◆Side A Bohemian Rhapsody Another One Bites The Dust Killer Queen Fat Bottomed Girls Bicycle Race You're My Best Friend Spread Your Wings Don't Stop Me Now Save Me |
◆Side B Crazy Little Thing Called Love Somebody To Love Now I'm Here Good Old-Fashioned Lover Boy Play The Game Flash Seven Seas Of Rhye We Will Rock You We Are The Champions |
そして、知る限りで最多の19曲を収めていた『Greatest Hits』がブルガリア盤だった。
【Bulgaria Edition】
◆Side A You're My Best Friend Crazy Little Thing Called Love Seven Seas Of Rhye Save Me Now I'm Here Bohemian Rhapsody We Will Rock You Somebody To Love Don't Stop Me Now |
◆Side B Death On Two Legs (Dedicated To...) Play The Game Fat Bottomed Girls We Are The Champions Good Old-Fashioned Lover Boy Another One Bites The Dust Bicycle Race Sweet Lady Killer Queen Flash |
南米でも人気のあった Queen だが、ブラジル盤『Greatest Hits』はイギリス盤を基本とした構成だった。
【Brazil Edition】
◆Side A Bohemian Rhapsody Another One Bites The Dust Love Of My Life Fat Bottomed Girls Bicycle Race You're My Best Friend Don't Stop Me Now Save Me |
◆Side B Crazy Little Thing Called Love Somebody To Love Now I'm Here Good Old-Fashioned Lover Boy Play The Game Killer Queen Flash We Will Rock You We Are The Champions |
と、これだけでも7種類の『Greatest Hits』がリリースされていたが、まだ他にも収録曲違いがあるらしく、7枚目のスタジオ・アルバム『Jazz』のオープニングを飾った『Mustapha』を収めた『Greatest Hits』もあるらしい。
なお、Queen の『Greatest Hits』はレーベル移籍に伴い、現在はユニバーサルからリリースされているが、ジャケットにある4人の画像とタイトル文字のフォントを変えるという暴挙でオリジナル・デザインが変わってしまい、すっかり興醒めしてしまった。
一部のメディアは音質が向上していると論じているが、比較対象に CD 初期の頃にリリースされた『Greatest Hits』などを使い、1981年当時にリリースされたオリジナルの『Greatest Hits』と比較していない点も疑問に感じる。CD 初期の『Greatest Hits』はリマスターもされておらず、それと比較しても何の意味もない。メーカーの都合のいい文言ばかりが先行し、本当に Queen のメンバーが意図した音質になっているのか、とても疑問に感じる。
また今回ユニバーサルから初期5枚のアルバムがリイシューされ、その限定盤に収録される曲が一時発表になったが、その中には既存ライブ盤の収録曲をただ持ってきたものもあり、これも疑問に思う内容だった。そんな評判が影響してか、ユニバーサルのページから一時発表された収録予定曲が全て1月23日時点で未定と改められている。(1/27追記:Queenの公式サイトで初期5枚のアルバムに追加されるボーナス曲が発表になった)
Queen のレーベル移籍に伴うリイシュー盤は音質もそうだが新装になったデザインも含めて、その内容を慎重に吟味しないと、無用な出費になりそうで注意が必要だ。(しかし、デザインも新装になるアルバムは、もはやリイシューやリマスターと呼べない別モノではないだろうか…)
2011-01-24 20:34
nice!(2)
コメント(4)
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こんなにも国によってバリエーションが異なるとは、びっくりです!
きめ細かく国別のマーケティングをやっていたのでしょうか?
得てして、Best盤はレコード会社の都合で作られることが多いですからね・・・・(^_^;)
by seawind335 (2011-01-24 22:56)
1981年当時、ここまで微妙に違う内容を作っていたのには驚きですよね。その国向けにしかない曲があるってことは、スタッフがマメにチェックしていた証拠でもありますし、なかなかできないことだと思います。
Queenだけが地域や国によってヒット曲が違うわけではないでしょうし、全世界で共通のベスト盤というのは存在しないってことを、この『Greatest Hits』は証明していましたね。
by MCMLXV_65 (2011-01-24 23:09)
驚きました^^)クイーン大好きです。
by rtfk (2011-01-25 10:44)
rtfkさん、でもまだ種類はあるかもしれないんですよ。また見つかったら補足していこうかと思っています。いっぱいありますが、日本盤の曲順はやっぱり懐かしいですね。^^
by MCMLXV_65 (2011-01-25 12:07)