Avril Lavigne／『Let Go』

先頃新作のプロモーションで来日した Avril Lavigne がデビュー盤の『Let Go』をリリースしたのは2002年と、ほぼ10年前のことになるが、もうそんなに経つのかと思ってしまう。この頃 Avril はまだ17歳。ジャケットに写る表情はちょっと険しいが、17歳のあどけなさがまだ残っていた。

このデビュー盤からは『Complicated』が1stシングルとして先行リリースされた。プロデュースは The Matrix が手掛け、このチームは以降、Hilary Duff、Lillix、Britney Spears、Shakira など女性アーティストのプロデュースに引っ張りだこの存在になっていった。

『Complicated』は全米チャートで最高2位を記録し、Avril の母国カナダでは No.1 に輝いた。オーストラリアや欧州チャートでも『Complicated』は No.1 になり、2002年の MTV Video Music Awards では Best New Artist in a Video に選出。カナダの Juno Awards では Single Of The Year に選ばれた。

『Complicated』から5か月後には『Sk8er Boi』が2ndシングルとしてカットされた。『Complicated』から一転、ロックな『Sk8er Boi』はその曲調を活かしたスピーディな PV の出来も見事だった。全米ロック系チャートで No.1 になった『Sk8er Boi』は100万枚のセールスも達成。『Complicated』に続いて世界中のチャートでヒットを記録した。

Avril の名前に興味を持ったのはこの『Sk8er Boi』がきっかけで、当時スカパー! の GAORA で放送されていた NFL 中継のエンディングで『Sk8er Boi』が使われ、NFL の持つスピード感に『Sk8er Boi』はピタリとハマっていた。

その後もデビュー盤の『Let Go』からは『I'm With You』や『Losing Grip』がシングル・カットされ、『I'm With You』は再び全米ロック系チャートで No.1 を記録。先にリリースされた2枚のシングル同様、様々な賞レースで各賞の候補に挙げられた。

17歳の Avril が曲作りに全面的に参加したデビュー盤の『Let Go』は Avril が書いた歌詞も同年代に大きな共感を呼んだ。アメリカだけで『Let Go』は600万枚を売上げ、その他の地域でもプラティナ・ディスクに値するセールスを記録。イギリスでも No.1 を記録して女性アーティストの最年少記録を更新した。

『Let Go』は2008年に世界中で1600万枚のセールスを記録し、Billboard 誌が掲載した2000年代のアルバム歴代セールスで第7位にランクされた。また Rolling Stone 誌では読者が選ぶ2000年代のアルバムで第4位にランクされた。

『Let Go』は母国カナダの2003年の Juno Awards で Best Pop Album と Best Album of The Year の2冠に輝き、このデビュー盤で Avril はカナダを代表するアーティストになった。2010年に行われた冬季五輪で多くのカナダ系アーティストに混じり、Avril の姿があったのは記憶に新しい。

Avril がこの『Let Go』でみせたスタイルは1990年代にアイルランドから登場した The Cranberries のボーカル Dolores O'Riordan の雰囲気があり、また 1990年代後半に Avril と同じカナダから登場した Alanis Morissette にも通じた雰囲気があった。この2組が好きだったので Avril の曲はデビュー・シングルの『Complicated』から何の違和感もなく耳に馴染んだ。

そして『Sk8er Boi』で The Cranberries や Alanis Morissette と違う魅力を見つけ、この『Let Go』というアルバムが気になる存在になった。

2007年の3rdアルバム『The Best Damn Thing』はそれまでの2枚のアルバムに比べて明るすぎるサウンドに『Let Go』以来のファンは少し残念な思いを感じたが、いつまでも17歳のままではいられないし、結婚を経験した Avril Lavigne という アーティストとどう付き合うかを難しくも感じるアルバムだった。

そして3月にリリースされる新作『Goodbye Lullaby』で Avril は離婚も経験した。意味深にも受け取れるタイトルや、ピアノの上に白いドレスを着てこちらを見据える Avril がどんな曲をこの『Goodbye Lullaby』に詰め込んでいるのか、また新たな興味をひかれる。

Let Go
Losing Grip
Complicated
Sk8er Boi
I'm With You
Mobile
Unwanted
Tomorrow
Anything But Ordinary
Things I'll Never Say
My World
Nobody's Fool
Too Much To Ask
Naked

タグ：Avril Lavigne 2002