NENA／『?』

昨日に続いてドイツで結成された NENA のアルバムをもう1枚引っ張り出してきた。今回は1984年にリリースされた2ndアルバムの『?』で、このアルバムはデビュー盤の『NENA』に続きドイツのアルバム・チャートで No.1 を記録し、シングルが3枚カットされた。

1stシングルでアルバムのタイトルでもある『? (Fragezeichen)』はドイツのシングル・チャートで最高3位を記録。2ndシングルはアルバムのトップを飾るポップな『Rette Mich』が選ばれ、こちらは最高11位をマーク。そして3枚目のシングルにはバラードの『Lass Mich Dein Pirat Sein』が選ばれ最高53位を記録した。

デビュー盤の『NENA』と2ndアルバムの『?』はともにドイツで20万枚以上のセールスを記録してプラティナ・アルバムにも認定された。

NENA はどうしても大ヒットした『99 Luftballons』のイメージが強く一発屋の代表として見られがちだが、デビュー盤の『NENA』もこの2ndの『?』も収録された曲のクオリティは高くて、全編ドイツ語で歌われた曲だがポップ、ロック、バラードとどんなスタイルの曲も起用にこなしていた。

1stシングルの『?』では終盤にサックスが大きくフューチャーされているが、サックスを吹いているのが David Sanborn で、このアルバムでは他に3枚目のシングルに選ばれた『Lass Mich Dein Pirat Sein』でもサックスを吹いている。

デビュー盤にも中近東なイメージを持つ曲があったが、『?』でも『Das Land Der Elefanten』がそのイメージに近く、パーカッションの音がとても独特だ。『Küss Mich Wach』では街中を走りまわるパトカーのサイレンが使われたりと、前作のヒットを受けていろいろなことを試すような余裕もこの『?』にはあった。

『Lass Mich Dein Pirat Sein』などのバラードでは Nena Kerner のボーカルがとても艶やかで、この曲では David Sanborn のサックスがとてもいい雰囲気を出しているが、どのような経緯で NENA というドイツのバンドに David Sanborn がゲスト参加したのか、とても気になった。

続く『Ich Häng' An Dir』もバラードな曲で、ここでも Nena Kerner のボーカルはドイツ語ながらも妖しげで、バックの4人のプレイも決して貧弱な感じはなく、バンドとしてもまとまっていた。

NENA はキーボードが中心のバンドと思われているが、その効果に頼り切っているわけではなく、ドラムやベースというサウンドの要もしっかりし、ときにギターはハードなリフも刻んでいる。『Sois Bienvenu』ではキーボードがやや前面にあるが、効果は最小限で彩りを与える程度に留められている。

わずか17秒の『Der Bus is' Schon Weg』もデビュー盤のヒットした余裕から生まれたちょっとしたお遊びなのかもしれないが、雨音で始まる『Es Regnet』の繋ぎとして十分な役目を果たしていた。アッと言う間に駆け抜けていく『Der Bus is' Schon Weg』があるおかげでバラードの『Es Regnet』との対比がより鮮明だった。

アメリカでのデビュー盤『99 Luftballons』はこのドイツでの2ndアルバム『?』の後にリリースされ、そのタイトル曲と『Das Land Der Elefanten』、『Rette Mich』、そして『Lass Mich Dein Pirat Sein』の英語版『Let Me Be Your Pirate』が収められていた。

アメリカではドイツでリリースされた最初の2枚のアルバムがオリジナルどおりにリリースされず、しかも英語版の曲を組み入れた特殊なデビュー盤だったが、オリジナルのかたちでリリースされたとしても、それぞれの楽曲の良さは理解してもらえたのではないかと思う。それほどデビュー盤の『NENA』とこの2ndアルバムの『?』にはたくさんのいい曲が詰まっていた。

?
Rette Mich
? (Fragezeichen)
Das Land Der Elefanten
Unerkannt Durch's Märchenland
Küss Mich Wach
Lass Mich Dein Pirat Sein
Ich Häng' An Dir
Sois Bienvenu
Keine Antwort
Der Bus is' Schon Weg
Es Regnet
Der Anfang Vom Ende

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