Queen／『Live Magic』

1枚もののライブ盤で最もガッカリさせられたのは、この Queen が1986年にリリースした『Live Magic』ではないだろうか。このライブ盤はアルバム『A Kind Of Magic』リリース後に行われた欧州ツアーから全部で15曲が収められていたが、その曲数の割りに LP ではわずか47分ちょっとしかなかったライブ盤だ。

1曲目の『One Vision』こそフル・バージョンが収録されていたが、2曲目の『Tie Your Mother Down』は途中がカット。3曲目の『Seven Seas Of Rhye』に至ってはライブ・バージョンなのに終盤がフェードアウトされて4曲目の『A Kind Of Magic』に繋がるという、大胆というか、最初に聴いたときはそのあまりに無残な編集ぶりにとても呆れてしまったライブ盤だ。

このときの欧州ツアーは後に『Live at Wembley '86』という2枚組でロンドンの Wembley Stadium でのライブが2枚組でリリースされたが、『Live at Wembley '86』は Freddir Mercury の死後の1992年にリリースされたライブ盤だった。

Freddie が存命中にリリースされた Queen として公式に2枚目のライブ盤『Live Magic』は『The Works』で往年のスタイルを取り戻し、ライブ・エイドで復活の狼煙を揚げ、『A Kind Of Magic』で再び全英チャートで No.1 を記録した Queen だっただけに7年ぶりのライブ盤に懸ける期待は大きかった。

当時 Magic Tour は日本公演がなかったこともあって Queen がライブ盤をリリースするという噂が流れたとき、『Live Killers』以降にリリースされたスタジオ・アルバムに収録された曲の公式ライブにも俄然期待したものだった。

LP 時代に聴いて落胆の大きかった『Live Magic』なので、CD としてリイシューされても聴く機会はそう多くなかったが、久しぶりに聴いたときには一瞬ヘンにも感じた。途中のオペラ・パートが全くなくなるという大胆な編集の『Bohemian Rhapsody』は以前のとおりだったが、幾つかの曲では CD 版でロング・バージョンに差し替えられていたためだった。

ロング・バージョンに差し替えられたのは4曲目の『A Kind Of Magic』や LP 時代のA面最後に収録された『Another One Bites The Dust』。B面の中盤にあった『Hammer To Fall』の3曲だった。

だが CD 版でも15曲で50分弱しかないというのは無理があり、特にライブ終盤の『We Will Rock You』以降があっさりしている感じは Queen のライブをナマで見たことのあるファンなら圧倒的な物足りなさを感じてしまうだろう。

CD 版になって新たに曲を追加したり、曲の差替をして印象が変わったライブ盤は多い。Queen はこの時期のライブ盤として既に『Live at Wembley '86』という決定版があるだけに『Live Magic』が1枚の CD 収録時間いっぱいになってリイシューされる可能性は少ないかもしれない。

しかし Queen の公式カタログ上にこれからも残るならば、せめて編集されて短くなった『Bohemian Rhapsody』などは全長版に差し替えて、この15曲というラインアップでの『Live Magic』を完成してほしいとも願う。(何度聴いてもオペラ・パートのない、いきなりロック・パートが始まる『Bohemian Rhapsody』には慣れない…)

Live Magic
One Vision
Tie Your Mother Down
Seven Seas Of Rhye
A Kind Of Magic
Under Pressure
Another One Bites The Dust
I Want To Break Free
Is This The World We Created...?
Bohemian Rhapsody
Hammer To Fall
Radio Ga Ga
We Will Rock You
Friends Will Be Friends
We Are The Champions
God Save The Queen

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