The Jam／『Sound Affects』

イギリスでは1977年にリリースされた2ndアルバムの『This Is The Modern World』から毎年11月に The Jam のスタジオ・アルバムがリリースされ、この通算5枚目の『Sound Affects』は1980年11月末にリリースされた。

前作『Setting Sons』が全英チャートで最高4位を記録し、この『Sound Affects』は全英チャートで最高2位まで上昇。惜しくもアルバム・チャートのトップは逃したが、このアルバムからのリード・シングルとして8月にカットされた『Start!』はその前のシングル『Going Underground』に続いて全英シングル・チャートの No.1 を記録した。

『Sound Affects』にある『That's Entertainment』も全英チャートでは最高21位を記録し、後に Paul Weller のソロ活動ではライブで頻繁にプレイされる曲にもなった。この曲は当初イギリスではシングル・カットされず、輸入盤が流通してそのセールスの結果が全英チャートに反映された。

『Sound Affects』のジャケットにある様々な画像は1970年代に BBC が制作した音響効果(Sound Effects)のレコードで使われたアートワークがコラージュされたと言われている。また『Sound Affects』のアメリカ版はリード・シングルの『Start!』がA面のトップに据えられてリリースされた。

その『Start!』だが、イントロのベースは The Beatles の『Taxman』がコピーされ、この曲をリード・シングルに推したのは Paul Weller だったそうだ。レーベルの Polydor としては『Sound Affects』のトップを飾る『Pretty Green』をシングル・カットしたいと考えていた。

『Sound Affects』というアルバムも Bruce Foxton のベースの音に特徴があり、そこに Paul Weller の弾くギターとボーカルが様々な彩りを与えている。このアルバムで聴ける The Jam のサウンドは後の The Style Council のサウンドに繋がるようなスタイルが多い。

デビュー盤のようなパンクの影響が強い勢いのある曲は少なくなり、曲によっては Paul Weller のファルセットがあり、ホーン・セクションの導入や、深いエコーをかけた曲があったりと、明らかに The Jam のスタイルの変化がこのアルバムから感じ取れる。

アルバムをリリースする度、着実に変化を遂げていた The Jam だが、1980年代に入って最初のアルバムでここまで変化するとは、デビュー当時からアルバムを聴いていたファンに予想できただろうか。

『Sound Affects』から話題は逸れるが、1曲目の『Pretty Green』は元 Oasis で現在は Beady Eye の中心メンバーである Liam Gallagher が創設したファッション・ブランドの名前でもある。

そしてこの夏、Paul Weller の関わった Pretty Green のコレクションが発表になり、Pretty Green の公式ショップやオンライン・ショップで6月23日から手に入れることが出来るそうだ。Paul Weller は秋冬コレクションにも関わっているようで、『Pretty Green』といえば『Sound Affects』の収録曲ではなく有名ファッション・ブランドの名前として今後は知名度が上がっていきそうだ。

Sound Affects
Pretty Green
Monday
But I'm Different Now
Set The House Ablaze
Start!
That's Entertainment
Dream Time
Man In The Corner Shop
Music For The Last Couple
Boy About Town
Scrape Away

タグ：the jam 1980 Paul Weller