Steve Lukather／『Lukather』

最後まで TOTO の中心メンバーであった Steve Lukather はこれまでに6枚のソロ・アルバムをリリースしているが、このタイトルに自らの苗字をつけた『Lukather』は1989年にリリースされた Luke にとって初のソロ・アルバムになる。

この当時 TOTO は7枚目のスタジオ・アルバム『The Seventh One』をリリースした後で、1978年に TOTO としてデビューして以降の活動に1つの区切りをつけた頃でもあった。

そんなときにリリースされた『Lukather』では TOTO としては出来なかったややハードな曲や、TOTO でも時折披露していた Luke のボーカルがたっぷり聴けるアルバムになっていた。

約1時間弱の『Lukather』に収められたのは全部で11曲。アルバムのプロデューサーには Luke 本人の他に Danny Kortchmar や Richie Zito という著名プロデューサーの名前や Richard Marx、Eddie Van Halen という名前もあった。

このアルバムに収められた曲は全て Luke が外部スタッフと共作していて、アルバムのトップを飾る『Twist The Knife』では Eddie Van Halen と、2曲目の『Swear Your Love』では Richard Marx がライターに記され、Richard Marx はコーラスとしても曲に参加していた。

3曲目の9分に及ぶ大作『Fall Into Velvet』では Michael Jackson のツアーにも同行した Steve Stevens と曲を作っている。このような曲は TOTO ではできなかったタイプの曲だろう。

また1980年代に多くのヒット曲に貢献した Diane Warren が『Lonely Beat Of My Heart』で、また Tom Kelly と Billy Steinberg のコンビは『It Looks Like Rain』で参加していたが、この手の売れっ子外部ソングライターとの曲作りも TOTO 時代にはなかったことで面白い試みだった。

曲作りの面で積極的に外部の力を導入して出来上がった『Lukather』だが、レコーディングに参加したメンバーにも多くの著名ミュージシャンの名前があった。

ギターには先に挙げた Steve Stevens の他に Michael Landau の名前もあり、Eddie Van Halen はベースを担当。ベースには Randy Jackson の名前もあった。

キーボードではこの頃 TV ドラマ『Miami Vice』のテーマを全米 No.1 に送り込んだ Jan Hammer が参加。さらに TOTO で活動を共にした David Paich の名前もあり、TOTO の仲間では Jeff Porcaro もドラムでこの『Lukather』に協力していた。

ドラムは Jeff 以外にも Carlos Vega や Thommy Price も参加し、TOTO のアルバムでも度々目にした Lenny Castro がパーカッションで参加していた。

ソングライティングやレコーディングに多くの知人や外部スタッフを起用して満を持してリリースした初のソロ・アルバム『Lukather』だったが、全米アルバム・チャートではランクインを果たせず。また『Swear Your Love』を含む3枚のシングルがカットされたが、そのどれもチャートインをすることはなかった。

TOTO のアルバムで『Turn Back』が好きであれば『Drive A Crooked Road』や『Darkest Night Of The Year』という曲がお勧めの『Lukather』だが、完全にハード・ロックに振り切れたアルバムでもないので『Lonely Beat Of My Heart』から続く3曲の AOR よりな曲はハード・ロックを期待するファンには受け入れられないかもしれない。

Luke のギター・プレイが好きで、ボーカルも好みだというファンに一度聴いてみては…とお勧めするのが、この『Lukather』というアルバムには一番合っているかもしれない。

Lukather
Twist The Knife
Swear Your Love
Fall Into Velvet
Drive A Crooked Road
Got My Way
Darkest Night Of The Year
Lonely Beat Of My Heart
With A Second Chance
Turns To Stone
It Looks Like Rain
Steppin' On Top Of Your World

タグ：Steve Lukather 1989