Heart／『Little Queen』

Heart のアルバムは1980年代中盤に Capitol レーベル移籍後にリリースされたセルフ・タイトルの『Heart』以降はシングル・ヒットも多くあったので、どのアルバムもよく聴いたが、これ以前のアルバムはシングル・ヒットもそう多くなく、長い間 CD としても廃盤状態が長く続いていた。

それが数年前に初期から1980年代前半にかけての一連のアルバムがリマスターされ、数曲のボーナス・トラックを追加してリイシューされた。この『Little Queen』は『Dog and Butterfly』『Bebe Le Strange』とボックスにまとめられ、かなり手頃な価格で手に入れた。

『Little Queen』は先日紹介した『Magazine』と同時期にリリースされたアルバムだが、『Little Queen』は実質的な2ndアルバムという扱いになる。デビュー盤『Dreamboat Annie』に続き『Little Queen』もセールス面で好調をキープし、アメリカではデビュー盤の3倍となる300万枚の売上をマークした。

全米チャートではデビュー盤に続き Top10 入りを果たし最高9位をマークした『Little Queen』からは1stシングルとしてアルバムの冒頭を飾る『Barracuda』がカットされ、全米チャートでは最高11位を記録。カナダのチャートでは最高2位まで上昇した。

Wilson 姉妹の姉 Ann を中心にして作られた『Barracuda』は、以前属していたレーベルの Mushroom が行った不当な広告に Ann の怒りが爆発した曲だったが、ライブでは欠かせない初期の Heart を代表する曲の1つにもなった。

『Barracuda』はその歌詞の内容からもいろいろな映画やテレビでも使われ、2000年に公開された映画『Charlie's Angels』のサウンドトラック盤にも収録された。また Fergie が2006年にリリースしたソロ・デビュー盤『The Dutchess』のデラックス・エディションにも『Barracuda』のカバーが収録されていた。

『Little Queen』からは『Barracuda』以降、タイトル曲や『Kick It Out』がシングル・カットされたが、これらはそれぞれ最高位が62位と79位で『Barracuda』ほどのヒットには至らなかった。

アルバムとしての『Little Queen』はシングル・ヒットした『Barracuda』が注目され、全体的なアルバムの印象もこの『Barracuda』みたいなロックな曲が多いアルバムと思われるが、シングル・カットされた曲以外はアコースティック・ギターの響きのある曲もあり、表ジャケットの画像にあるようなフォークな雰囲気もある。

デビュー盤『Dreamboat Annie』と同じメンバーで作られた『Little Queen』はマンドリンやスティール・ギターの音も多くあり、Ann の高音とアコースティックな楽器が奏でる曲の中には1970年にリリースされた Led Zeppelin の3rdアルバムにも似た雰囲気もあった。

そういう雰囲気もあってか、2004年のリマスター盤のボーナス・トラックには Led Zeppelin の4thアルバムにある『Stairway To Heaven』のシアトルでのライブ・バージョンが収められている。10分近いこの曲は定期的に出演していたクラブでのプレイでもあって、なかなか聴き応えがある曲に仕上がっている。

もう1つのボーナス曲は『Love Alive』の初期のデモ『Too Long A Time』が収められている。

Little Queen
Barracuda
Love Alive
Sylvan Song
Dream Of The Archer
Kick It Out
Little Queen
Treat Me Well
Say Hello
Cry To Me
Go On Cry
【Bonus Tracks】
Too Long A Time (early demo version of "Love Alive")
Stairway To Heaven (recorded live at the Aquarius Tavern, Seattle, 1976)

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