Earth, Wind & Fire／『Last Days And Time』

SONY 系レーベルに所属していたバンド/アーティストの旧譜5枚を集めた Original Album Classics から Earth, Wind & Fire の1970年代の3枚と1980年代の2枚のアルバムを集めた第2弾がリリースされた。当初は8月頭のリリース予定だったが、約1週間遅れでようやく手元に届いた。

今回のセットに含まれた5枚は Warner Bros から Columbia に移籍して最初のスタジオ・アルバムであるこの『Last Days And Time』を含む1970年代前半にリリースされた3枚と、1980年代に2枚組 LP としてリリースされた『Faces』、レーベルを ARC から再び Columbia に戻しリリースされた『Powerlight』を含む5枚が収められていた。

今回紹介するのは通算3枚目のスタジオ・アルバムにあたる『Last Days And Time』で、邦題に『地球最後の日』というタイトルが付けられていた。1972年のリリース当時は両面に4曲ずつの合計8曲と記されていたが、CD には3曲の『Interlude』が追記されて全11曲という表記になっている。

この『Last Days And Time』は The Friends of Distinction という R&B スタイルのグループにいた女性ボーカリスト Jessica Cleaves や、キーボードの Larry Dunn、ファルセットを自在に操る Philip Bailey を加えて制作されたアルバムで、特に Jessica がボーカルの『I'd Rather Have You』では男性陣のコーラスと相まりソウルフルな曲に仕上がっている。

『Last Days And Time』にある曲は Maurice と Verdine の White 兄弟が中心になって作られた曲が多いが、『They Don't See』は Miles Davis のカバーだった。ちなみに Miles が1970年にリリースしたアルバム『Bitches Brew』のジャケットを手掛けた Mati Klarwein がこの『Last Days And Time』のジャケットもデザインしていた。

『Last Days And Time』には他にもカバー曲があり、Pete Seeger が1961年に書いた『Where Have All The Flowers Gone』や、Bread が1970年に記録した唯一の No.1 曲『Make It With You』が含まれていた。Earth, Wind & Fire 以外のメンバーによる曲はこれらカバーの他に Jessica がメイン・ボーカルの『I'd Rather Have You』も、後に『Can't Hide Love』というヒット曲を手掛けた Skip Scarborough が書いた曲だった。

LP 時代のA面最後にある7分を超す『Power』は短い Interlude と同じくインストルメンタル曲で、ここでは Maurice のプレイする Kalimba の奏でる音や、このアルバムにのみ参加の Roland Bautista のギター、バンドの特徴でもあるホーン・セクションが交互に登場し、この7分という長さを感じさせない構成になっている。

『Last Days And Time』は全米チャートでは最高87位止まりだったが、R&B チャートでは Warner Bros 時代の2枚を上回る15位まで上昇した。セールスも伴う成功はこの次のスタジオ・アルバム『Head To The Sky』からになるが、1970年代後半からの Earth, Wind & Fire のスタイルを予感させるモノがそこかしこにあり、古いアルバムだが、なかなか面白い内容のアルバムになっている。

Last Days And Time
Time Is On Your Side
Interlude
They Don't See
Interlude
Make It With You
Power
Remember The Children
Interlude
Where Have All The Flowers Gone
I'd Rather Have You
Mom

タグ：Earth, Wind & Fire 1972