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George Michael/『Listen Without Prejudice Vol.1』 [CD]

Listen-Without-Prejudice.jpgGeorge Michael が1990年にリリースした2ndソロ・アルバムはジャケットに George 本人がいなくても、タイトルに「先入観なしで聴いて」とあっても、George のそれまでの活動を無視して聴くことができず、リリースされた当時は期待が大きく外れたアルバムという印象だった。

当時とその後で印象が変わるアルバムは多く、この『Listen Without Prejudice Vol.1』も今なら George の Wham! 時代からソロ・デビュー盤の頃の喧騒をひとまず脇において聴くことができるアルバムだ。

この2ndソロ・アルバムにはそれまでの活動で聴かれたアップテンポな曲が影を潜めてスローな曲が多くなり、George のボーカルもソウルフルなスタイルで、じっくりと聴かせるタイプの曲が多かった。

このような作風の変化が前作『Faith』や Wham! 時代を知るファンには多少どころか、大いに物足りなさを感じてしまったのが、1990年当時のこのアルバムに対する感想だった。

前作『Faith』は英米のアルバム・チャートで No.1 を記録し、アメリカだけで1000万枚以上も売れ、ソロ・デビュー盤からのシングルは4曲連続で全米 No.1 に輝いた。しかし、この2ndアルバムはアメリカでは200万枚のセールスに留まり、全英チャートでこそ No.1 になったが全米チャートでは MC Hammer に阻まれ最高2位止まりだった。

『Listen Without Prejudice Vol.1』からは都合6枚のシングルがカットされたが、『Praying For Time』だけが全米チャートで No.1 を記録し、従来の路線を踏襲したアップテンポな『Freedom 90』は同チャートで8位が最高だった。

このようなセールスやチャート上での成績だけを見ると、やはり『Listen Without Prejudice Vol.1』は失敗作のように見え、Vol.1 だけでその次が続かなかったことも致し方なかったように見えたが、このアルバムにある10曲で George は完全にアイドル然としたスタイルから脱却し、ボーカリストとしての成長は大きかった。

1990年当時の George に懸ける周囲の期待や当時の音楽シーンからすれば『Faith』の続編を2枚目のソロ・アルバムには望んだが、そんな周囲の予想を大きく覆したこのアルバムこそ George が本当にやりたかったことだったのだろう。

だからこそアルバム・タイトルを「先入観なしで聴いて」としたのだろうが、リリース当時、それをファンや当時のシーンにそれを強いるのはあまりに無謀なチャレンジだった。

当時の George には『Faith』や『Monkey』のようなポップな曲を求めていたし、ボーカリストとして素晴らしいことを『Father Figure』や『One More Try』で十分知っていても、それだけのアルバムは望んでいなかった。

そういう当時の想いを、リリースから約20年を経った今、それを考えずにこのアルバムに接すると、いい曲が多いことに改めて気づく。すっかりシーンから遠ざかってしまった George だが、今なら「先入観なしで聴いて」というタイトルで Vol.2 を作っても素直に受け入れることができるかもしれない。

Listen-Without-Prejudice.jpgListen Without Prejudice Vol.1
Praying For Time
Freedom 90
They Won't Go When I Go
Something To Save
Cowboys And Angels
Waiting For That Day
Mothers Pride
Heal The Pain
Soul Free
Waiting (Reprise)


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コメント 2

マチャ

ジョージ・マイケル、素晴らしいアーティストですね。
私はエルトン・ジョンの大ファンなのですが、ジョージと
デュエットした「Don't let The Sun Go Down On Me」は
本当に素晴らしいパフォーマンスでした(^-^)/
by マチャ (2011-10-04 10:06) 

MCMLXV_65

マチャさん、コメントありがとうございます。『Don't Let the Sun Go Down on Me』を最初にElton Johnと共演したのは1985年のLive Aidでしたっけ。その後、1991年にもシングルとしてリリースしましたね。この頃のGeorgeは、もうアイドルとは別の存在でした。
ボーカリストとしては素晴らしい存在なのに、その他のスキャンダルで他に目が行ってしまうのが残念でなりません...。
by MCMLXV_65 (2011-10-04 11:08) 

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