The Style Council／『Modernism: A New Decade』

The Style Council として1989年にレコーディングされ、『Confessions of a Pop Group』に続くアルバムと予定されながらも、当時のレーベル Polydor からそれを拒否され、お蔵入りになってしまったアルバム『Modernism: A New Decade』。ジャケット中央にある円の中には Paul Weller と Mick Talbot のふたりが写り、The Style Council として新しい方向性を示すアルバムになるはずだった(…?)。

その後、この幻のアルバムは1998年にリリースされた5枚組のボックス『The Complete Adventures of The Style Council』の中の一枚というかたちで初めて陽の目を見た。それから3年後の2001年には紙ジャケット仕様という日本限定盤で初めて一枚のアルバムというかたちでもリリースされた。

アルバムというかたちで全貌が見えたのは、この2回だけだったが、1989年にリリースした2枚のシングルのB面に『Modernism: A New Decade』に収録予定の2曲が使われていた。

全英チャートで最高27位を記録した『Promised Land』のB面には『Can You Still Love Me?』が、全英チャートで最高48位を記録した『Long Hot Summer '89』のB面には『Everybody's On The Run』が収められていた。(それぞれ別ミックスで『The Complete Adventures of The Style Council』にも収録された)

そして『That Spiritual Feeling』は1992年にリリースされた Paul Weller のソロ・デビュー盤にも改めて収録された。

また『Modernism: A New Decade』は2001年にアルバムとしてリリースされた際、当初予定されていた2枚組の LP に従い復刻されたが、ジャケット裏に表記された曲順は実際に収録された曲順と違う順番だった。(レーベル面には正しい曲順で表記されていた)

『That Spiritual Feeling』が Paul Weller のソロ・アルバムに使われたことからも、この『Modernism: A New Decade』にある8曲は The Style Council としてやりたかったというより、当時の Paul Weller が興味を示していたことを具現化したかったアルバムだと思う。

『Café Bleu』や『Our Favourite Shop』のようなアルバムをこの『Modernism: A New Decade』に期待すると面食らってしまうし、Polydor の示した反応もあながち間違いではないように思える。だが、後の Paul Weller のソロ活動を知った後で、そして今、改めて最初から聴き直してみると、こういう路線もありだったのでは…と思える。

The Style Council 時代の初期2枚のアルバムとそれ以降のアルバムでは確実に変化があった。それが、この『Modernism: A New Decade』でも当時流行の兆しを見せていたハウスにいち早く反応しただけであって、The Style Council として当然の成り行きだった。Paul Weller という個人としても当然のリアクションだったのだろう。

だが、時期が悪かった。前作『Confessions of a Pop Group』が Polydor として満足のいく結果ではなく、次はもっと売れるアルバムを! と期待していたところにこの『Modernism: A New Decade』の内容ではファンも大いに戸惑っただろう。

The Jam 時代もデビュー盤とラスト・アルバムでかなりスタイルが異なったが、The Jam は勢いがピークに向かいつつある頃でのことだった。しかし The Style Council ではそうではなかった。それが『Modernism: A New Decade』というアルバムには不運だった。

Modernism: A New Decade
A New Decade
Can You Still Love Me?
The World Must Come Together
Hope (Feelings Gonna Getcha)
That Spiritual Feeling
Everybody's On The Run
Love Of The World
Sure Is Sure

タグ：Paul Weller The Style Council 1989