Roxette／『Rarities』

たまに引っ張り出して聴いてみると妙な安心感のあるスウェーデン出身のデュオ Roxette のアルバム。この『Rarities』と題された1995年リリースのアルバムは、1994年のスタジオ・アルバム『Crash! Boom! Bang!』に伴う日本公演を記念してリリースされ、その日本盤のオビには6か月間だけの期間限定発売とあった。

『Crash! Boom! Bang!』後の日本公演をご覧になったファンなら、この『Rarities』も手にしたファンは多いのではないだろうか。

日本だけの期間限定盤で邦題に『ヒッツ・アフターヒッツ!』とあったのでベスト盤のように思ったアルバムだったが、中身は原題の『Rarities』が示すようにそれまでにリリースされたシングルの別ミックスなどを含む全てアルバム未収録の曲ばかりで、全12曲50分ちょっとのコンピレーション・アルバムだった。

裏ジャケットの表記を見ると、ほとんどの曲でそのバージョン違いが記されていたが、数曲はそれらがなかったので、この『Rarities』リリースにあわせた新曲のようにも思ったが、実際はそれらの曲も過去にシングルB面などでリリース済みの曲で、『Crash! Boom! Bang!』までのスタジオ・アルバムには未収録の曲だった。

順番にそれらの曲を追っていくと、まず2曲目の『Fingertips '93』は1992年の変則ライブ盤『Tourism』からの3枚目のシングルとしてリリースされた曲だが、『Rarities』にあるのはまた新たなバージョンだった。

中盤に登場する『The Sweet Hello, The Sad Goodbye』『The Voice』の2曲は、まず前者が1991年のスタジオ・アルバム『Joyride』からの4枚目のシングル『Spending My Time』のカップリング曲で、Roxette のアルバムでは『Rarities』で初めて収録された。

後者の『The Voice』は前述の『Fingertips '93』のカップリングにも収録されていたが、それ以前に1998年のスタジオ・アルバム『Look Sharp!』からの2ndシングル『Dressed For Success』のカップリングでリリース済みの曲。『The Sweet Hello, The Sad Goodbye』同様、Roxette のアルバムではこの『Rarities』で初めて収録された。

2006年にリリースされたボックスセットの『ROXBOX 1986-2006』でもこの2曲は聴けるが、『ROXBOX 1986-2006』は5枚組で PAL 仕様の DVD が日本のプレーヤーで再生できないなど、よほどの Roxette のファン以外には入手が比較的容易な『Rarities』がお勧めだ。

細かいことだが『Rarities』にある『The Voice』は『ROXBOX 1986-2006』のバージョンより約10秒長いバージョンだった。

オリジナルのスタジオ・アルバムにある曲にもいい曲の多い Roxette だが、『The Voice』などのシングル・カップリング曲でアルバム未収録曲にもいい曲があり、そしてデモ・バージョンやリミックスが施されたバージョンでもその楽曲の持つ良さは正規バージョンに劣らない魅力がある。

それに Per Gessle と Marie Fredriksson のボーカルにはなんとも言えない温かみがあって、Roxette の曲も寒い冬にジックリと聴くのに適していると感じられる『Rarities』だった。

Rarities
Vulnerable (Single Version)
Fingertips '93
Dressed For Success (Look Sharp! U.S. Mix)
Joyride (MTV Unplugged Version)
The Look (MTV Unplugged Version)
Dangerous (MTV Unplugged Version)
The Sweet Hello, The Sad Goodbye
The Voice
Almost Unreal (Demo/February '93)
Fireworks (Jesus Jones Remix)
Spending My Time (Electric Dance Remix)
One Is Such A Lonely Number (Demo/September '87)

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