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The Doobie Brothers/『Takin' It To The Streets』 [CD]

TakinItToTheStreets.jpgオリジナル・メンバー Tom Johnston の名前はジャケットと曲のクレジットにあったものの、実質的なアルバム制作にほとんど関わることなく、その代わりに大きく前面にフューチャーされたのが元 Steely Dan のメンバー Michael McDonald だった。

ツアーの途中で胃潰瘍になった Tom の代わりに呼ばれた Michael は、この『Takin' It To The Streets』のレコーディングにも呼ばれ、デビュー盤以来、全てのアルバムでプロデュースを務める Ted Templeman の勧めもあり、メンバーは Michael の持ってきたデモを使って新たなアルバム制作を開始。そして、出来上がったアルバムが、全米シングル・チャートで最高13位を記録したタイトル曲を含む、この『Takin' It To The Streets』だった。

元 Steely Dan のメンバー Jeff Baxter の提案から呼ばれた Michael の『Takin' It To The Streets』での存在感は、それまでの The Doobie Brothers のアルバムと決定的に異なり、バンドのスタイルをガラリと変えた。

タイトル曲と『Losin' End』『It Keeps You Runnin'』の3曲は Michael の単独クレジット作で、他に元 Steely Dan の Jeff Baxter もライターに関わった『Rio』や『Carry Me Away』は最初に Steely Dan の曲だと聞かされれば、素直にそれを信じてしまうような曲に仕上がっていた。

『Rio』ではフォーク・シンガーの Maria Muldaur が一瞬だけボーカルを務める箇所があり、それもまた面白いアクセントになっていたが、この曲が Steely Dan に似て非なる点は、その歌詞の内容。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロへの観光ソングのような歌詞は、Steely Dan なら、もっと皮肉が効いた内容になっていただろう。

このアルバムのレコーディングに参加した Tom は、その終盤に関わったのみで、ダブル・ジャケットの内側に Tom の顔写真はあったが、裏ジャケットのメンバー・ショットで Tom の姿はなかった。

その Tom が書いた『Turn It Loose』だけは、それまでの The Doobie Brothers を思わせる曲で、ここでのボーカルはもちろん Tom。アルバムのトップを飾る『Wheels Of Fortune』でも Tom のボーカルを聴くことができ、『Wheels Of Fortune』ではギターも弾いていた。

アルバムにある全9曲で元 Steely Dan のふたりが関わった曲は6曲もある一方、The Doobie Brothers のオリジナル・メンバーだけがライターにある曲は『8th Avenue Shuffle』と『Turn It Loose』の2曲だけ。ベースの Tiran Porter による『For Someone Special』もあるが、この曲もオリジナルの The Doobie Brothers とは異なる曲だった。

1974年の通算4枚目のアルバム『What Were Once Vices Are Now Habits』で起用した The Memphis Horns を再び取り入れ、パーカッションでは Bobby LaKind も起用し、この新作でのドラム系メンバーは3人にもなった。

デビュー盤当時の4人で作っていたスタイルから大きく様変わりした新生 The Doobie Brothers の『Takin' It To The Streets』は、全米アルバム・チャートで最高8位まで上昇。再び100万枚のセールスをマークしてプラティナ・ディスクを獲得した。

『Takin' It To The Streets』からの1stシングルになったタイトル曲は全米シングル・チャートで惜しくも Top10 入りを逃したが、最高13位をマーク。この結果はバンドの目指した方向が間違っていなかったことを示した。

Tom Johnston がいる Doobie と、Michael McDonald がいる Doobie で、好き嫌いは分かれるが、この『Takin' It To The Streets』が新たなファン層を掘り起こしたことだけは間違いないだろう。

TakinItToTheStreets.jpgTakin' It To The Streets Takin' It to the Streets - The Doobie Brothers
【SIDE ONE】
Wheels Of Fortune
Takin' It To The Streets
8th Avenue Shuffle
Losin' End
【SIDE TWO】
Rio
For Someone Special
It Keeps You Runnin'
Turn It Loose
Carry Me Away


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