The Rolling Stones／『Singles 1968-1971』

ときどき記事にコメントを下さる ezee さんのブログ『音系戯言』で紹介された『Singles 1968-1971』を見て、こちらも久しぶりに PC に録り込んだ、このボックスに収められた9枚の CD にある全22曲を聴いてみた。

このボックスは『Singles 1963-1965』と『Singles 1965-1967』を含めた3つのボックスで1963年から The Rolling Stones がリリースしたシングルを網羅するモノで、このブログでも『Singles 1963-1965』と『Singles 1965-1967』の2つのボックスを、これまでに紹介してきた。

最初の『Singles 1963-1965』には12枚の CD があり、そこでは初めて The Rolling Stones の初期の3枚の EP 盤が復刻され、これが目玉だった。『Singles 1965-1967』にある11枚では、この時期にソングライティングの才能が一気に開花した Mick Jagger と Keith Richards によるヒット・シングルがたくさん詰まっていた。

それでは、この『Singles 1968-1971』の目玉は…? と言うと、順当に『Jumpin' Jack Flash』や『Honky Tonk Women』『Street Fighting Man』『Brown Sugar』『Wild Horses』というお馴染みのシングルが収められている点が挙げられるのだが、以前のボックスに比べ、1968年以降のシングルは数が少なく、それを補うため苦肉の策が取られていた。

その苦肉の策とは、レコーディングは1969年だが、1975年のコンピレーション・アルバム『Metamorphosis』に収録されるまで陽の目を見ることのなかった Stevie Wonder がライターのひとりにあった『I Don't Know Why』や、Mick が1968年にレコーディングして映画『Performance』のサウンドトラック盤にあった Mikc のソロ名義シングル『Memo From Turner』など、荒業と呼べるような策で、前2つのボックスに比べて足りない「数」を埋めていた。

この2枚の他にも、1966年にシングル・カットされて全英チャートで No.1 を記録した『Out Of Time』の、これまた1975年のアルバム『Metamorphosis』に収録され、この時にシングル・カットされた別バージョンを収録。

さらには2002年の40周年記念時にリリースしたベスト盤『Forty Licks』の、表ジャケットに青いベロマークのある限定盤に収録された The Neptunes がリミックスした『Sympathy For The Devil』までもが、Fatboy Slim のリミックスなど3曲を加えたシングルとして収められた。(もはやタイトルにある「1968-1971」という範囲を大きく逸脱…)

そして10枚目はもう CD ではなく、『Jumpin' Jack Flash』の PV など、4曲の映像を収めた DVD とすることで、前2作のボックスに収められた枚数とほぼ同じ「数」を揃えることを実現した。

こういう苦肉の策が取られたおかげで、前2作は約3か月の間をおいて2004年のうちにリリースされたが、『Singles 1968-1971』は前作『Singles 1965-1967』から半年以上が経過した2005年2月にようやくリリースされた。

それぞれの CD に2～4曲しかなく、CD プレーヤーで聴くには『Singles Collection: The London Years』のような似た内容の CD 3枚組もあることから、なおさら聴く機会の少ない3つのボックスにあって、『Singles 1965-1967』はそのラインアップの貧相さが一層際立っていた。

とは言え、2011年に Rolling Stones Records 時代のシングル45枚を収めた『Singles 1971-2006』と合わせて、シングルで The Rolling Stones の歴史をを振り返るにはもってこいのボックスなので、熱心なコレクターやファンにとっては見逃せないボックスだった。

Singles 1968-1971
【Disc 1】
Jumpin' Jack Flash
Child Of The Moon
【Disc 2】
Honky Tonk Women
You Can't Always Get What You Want
【Disc 3】
Street Fighting Man
No Expectations
Surprise Surprise
Everybody Needs Somebody To Love
【Disc 4】
Memo From Turner
Natural Magic
【Disc 5】
Brown Sugar
Bitch
【Disc 6】
Wild Horses
Sway
【Disc 7】
I Don't Know Why
Try A Little Harder
【Disc 8】
Out Of Time
Jiving Sister Fanny
【Disc 9】
Sympathy For The Devil
Sympathy For The Devil (Neptunes Remix)
Sympathy For The Devil (Fatboy Slim Remix)
Sympathy For The Devil (Full Phatt Remix)
【DVD - Videos 1964-2003】
Time Is On My Side
Have You Seen Your Mother Baby, Standing In The Shadow?
Jumpin' Jack Flash
Sympathy For The Devil (Neptunes Remix)

タグ：THE ROLLING STONES 2005

コメント 2

このシリーズ、とりあえずジャケがいいですよね。
苦しい構成だったコノ第3弾も！
全然、ビギナーに配慮してない、突き放したようなこのシングルＢＯＸ。
でもシングルをちゃんと聴きたい人（←おるのか？）には、垂涎のブツっすね
by ezee (2012-07-24 23:38) 

ezeeさん、コメントありがとうございます！一見、シングル集と言われれば、誰にもお馴染みの曲が満載!…と、思ってしまいますが、この第3弾のボックスにはあてはまりませんね。^^;

もし、ストーンズもオリジナル・アルバムが英国盤で統一されていたら、このシリーズはビートルズのパスト・マスターズ的な存在になっていたかも?! そう考えると、ABKCOには米盤でなく英盤で統一してほしいですね。（でも、今さらかなぁ～…）
by MCMLXV_65 (2012-07-25 07:18)