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Paul Simon/『Songwriter』 [CD]

Songwriter.jpgArt Garfunkel の2枚組ベスト盤『The Singer』を紹介するネット上の記事の中で、Paul Simon が2011年にリリースした2枚組『Songwriter』を、そのタイトルも絡めて「対をなす」アルバムとあったが、収録曲や構成を比べると、その表現は正しくない。

Art の『The Singer』と同じく Paul の『Songwriter』も、選曲はそれぞれ自らが行ったとあるが、Art が Simon & Garfunkel 時代の曲をその当時のテイクを選んだのに対し、Paul はソロ活動でのテイクや他のアーティストが歌ったバージョンを採用。

さらに Art が英米のチャートを賑わせた曲をほぼ選んだのに対し、Paul は唯一の全米 No.1 シングル『50 Ways To Leave Your Lover』を選ばず、他にも『Me and Julio Down By The Schoolyard』『Slip Slidin' Away』『You Can Call Me Al』といった Top40 曲も大胆に除外。

『The Singer』と『Songwriter』、アルバムの中の曲順も Art と Paul が自ら考えたとあるが、『Songwriter』の2枚目は1990年代以降のリリース順に15曲が並べられ、両者にある差はそのタイトル以上に大きい。

Art のソロ活動をこれを機会に振り返ろうと思い『The Singer』を手に入れた際、WOW HD で Paul の『Songwriter』もまた同じ価格 (1000円!) だったので、1990年以降疎遠だった Paul のソロ時代もまた、改めて聴いてみようと思い『Songwriter』を入手した。

しかし、もっと Paul の代表曲を聴きたければ、2007年リリースの2枚組ベスト盤『The Essential Paul Simon』が良かったのかもしれない。

『The Singer』は1枚目のディスクにある17曲こそ、Simon & Garfunkel 時代の曲のセルフ・カバーを含め、1972年の実質的なソロ・デビュー盤『Paul Simon』から1986年の『Graceland』までの曲が散りばめられているが、2枚目のディスクは1990年の『The Rhythm Of The Saints』から2011年リリースの最新作『So Beautiful Or So What』までの曲がリリース順にある。

これは、1枚目の17曲ほど知られる機会の少なかった1990年代以降の曲に、もっとスポットを当てようという狙いがあったのかもしれない。確かにワールド・ミュージックがもてはやされた頃にリリースされた『Graceland』『The Rhythm Of The Saints』あたりまで、Paul の曲はラジオやテレビで聴く機会は多かったが、それ以降、特に2000年代に入ってからは全くと言っていいほど Paul のソロ活動を気にかけることはなかった。

最新作『So Beautiful Or So What』はコーヒー・チェーン Starbucks が運営するレーベル Hear Music からのリリースで、このアルバムもまた、リリースされていたことを全然知らなかった。その最新作から『Songwriter』には『Rewrite』を含む3曲が選ばれ、最も最近のソロ活動からの曲で2枚組は締め括られる。

この2枚組の最初の曲、『The Sound Of Silence』が Simon & Garfunkel のバージョンではなく2011年のライブから選ばれ、2枚組の最初と最後の曲を最近のソロ活動から選んでいるあたりは Paul なりにこだわった箇所だったのだろうか…?

『Graceland』以降のソロ活動も網羅している点で『Songwriter』はレーベルの垣根を超えた最新のコンピレーション・アルバムとして重宝で、ここで再び1990年代以降のアルバムに興味を持てば、『Songwriter』という2枚組はそのきっかけとして十分役目を果たしたのかもしれない。

だが、Paul Simon の「ベスト盤」をお探しの方には『Songwriter』より『The Essential Paul Simon』がお薦め。両者にあるテーマが違うので甲乙をつけ難いが、Paul を代表するヒット曲を聴きたいのか、それともソングライターとしての面を掘り下げて聴きたいのかによって、どちらの2枚組を選ぶか決めるのが良いだろう。

Songwriter
【Disc 1】
The Sound Of Silence (Live at Webster Hall, 2011 - new unreleased version)
The Boxer (Live at Cnetral Park, 1991)
Songwriter.jpgBridge Over Troubled Water (Aretha Franklin)
Mother And Child Reunion
Tenderness
Peace Like A River
American Tune
Kodachrome
Something So Right
Late In The Evening
Train In The Distance
Hearts And Bones
Still Crazy After All These Years
Rene And George Magritte with Their Dog After The War
Diamonds On The Soles Of Her Shoes
The Boy In The Bubble
Graceland
【Disc 2】
The Obvious Child
Further To Fly
The Cool, Cool River
Spirit Voices
Born In Puerto Rico
Quality
Darling Lorraine
Look At That
Señorita With A Necklace Of Tears
That's Me
Another Galaxy
Father And Daughter
Rewrite
Love And Hard Times
So Beautiful Or So What
タグ:PAUL SIMON 2011


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