Green Day／『Insomniac』

メジャー・レーベルに移籍してからの Green Day のスタジオ・アルバムのジャケットは前作『dookie』もそうだったが、この『Insomniac』もゴチャゴチャ感が満載だが、現在 CD で流通している『Insomniac』のジャケットは『The Studio Albums 1990-2009』にある『Insomniac』と違い、中央部分ののイラストを一部拡大して使っているようだ。

『Insomniac』のイラストを手掛けたのは Winston Smith というアメリカのオクラホマ州出身の画家。1952年生まれの Smith は小さい頃にイタリアのフローレンスで7年を過ごし、1970年代は住んでいたサンフランシスコで Journey や Santana のローディとして働いた経歴を持っている。

Green Day のドラマー Tré Cool と Smith はインディ時代の頃に知り合い、もし、アルバム・カバーの仕事があれば連絡してくれと、Tré に言っていたようで、でき上がった『Insomniac』のイラストには "God Told Me to Skin You Alive" というタイトルが付けられた。

オリジナル画像では中央の赤いストライプのドレスを着た女性がアコースティック・ギターを持っていたが、『Insomniac』のジャケットではそれがエレキトリック・ギターに変更され、背後に燃える炎の部分が破かれたように描かれ、そこに Green Day のロゴと、その下にアルバム・タイトルが記された。

『Insomniac』には『dookie』と同じく全部で14曲を収録。Insomniac が名詞の意味で「不眠症患者」とも訳されると知ってから、このゴチャゴチャとしたジャケットを見ると、まるで僅かな眠りの中で見た悪夢をイラスト化したようにも思えた。

前作『dookie』がリリースから1年で500万枚も売れ、そのプレッシャーもあったのか。この『Insomniac』にある14曲の歌詞はそのプレッシャーから反映されたような要素が多く、ボーカルの Billie Joe Armstrong がその内容を駆け抜けるように歌っていく。

メロディアスな曲は少なく、ともすれば一本調子に聴こえる『Insomniac』は音だけを聴くと、いかにもパンク・ロックらしいアルバムに感じる。だが、そこに詰まった Billie Joe の書いた詩にはやるせない内容が多く、それが2分台前半の短い曲の中で炸裂していた。

アルバムとして『Insomniac』はアメリカで3か月後に100万枚のセールスを上げたが、リリース翌年の1996年2月に200万枚に到達して以降、『dookie』ほどのセールスを上げずに至っている。

『Insomniac』からのシングルは『Geek Stink Breath』と『Brain Stew/Jaded』の2曲がアメリカの Alternative Songs チャートで共に3位まで上昇したが、この当時の記憶は個人的にあまり残っていない。

『The Studio Albums 1990-2009』にある1枚として聴いた『Insomniac』だが、その歌詞の持つ意味を知って、ちょっと聴くのが辛く感じるアルバムだった。

Insomniac
Armatage Shanks
Brat
Stuck With Me
Geek Stink Breath
No Pride
Bab's Uvula Who?
86
Panic Song
Stuart And The Ave.
Brain Stew
Jaded
Westbound Sign
Tight Wad Hill
Walking Contradiction

タグ：1995 Green Day

コメント 2

こんばんは。
インソムニアックの日本盤（再発盤）のＣＤを持っておりますが、ジャケットは昔の洋盤ＣＤにあったような折り畳み形式となっております。
したがって、全部広げるとＣＤジャケットの９倍の大きさで上記と同じイラストになります。
裏面は歌詞が印刷されております。
by ミネちゃん (2012-10-03 22:32) 

ミネちゃんさん、情報ありがとうございます！ 折り畳まれているかたちだったとは知りませんでした。
バンド名とタイトルの位置が手元にあるのとちょっと違う場所のようですが、元原画の迫力が楽しめる圧巻な大きさですね!!
by MCMLXV_65 (2012-10-04 12:52)