Manic Street Preachers／『Know Your Enemy』

Manic Street Preachers が21世紀に初めてリリースしたスタジオ・アルバムが、この通算6枚目の『Know Your Enemy』。

バンド名とアルバム名が改行のタイミングを無視してジャケットいっぱいにデザインされ (ジャケット裏も曲名でビッシリ!) 、その背景に血を思わせる赤いペイントもあったので、その見た目どおりに過激な、そしてハードな曲が多いのかと感じた。

アルバムのリリースに先駆けて2枚のシングルがカットされたことも意外だった。その2曲、『Found That Soul』と『So Why So Sad』はスタイルも違う2曲だったので、ますます新作『Know Your Enemy』がどんなかたちのアルバムなのか、期待が膨らんだ。

そして、収録曲の表示を見て、曲数が多いことにも驚いた。全部で16曲。国や地域によってボーナス・トラックが追加されたバージョンもあったが、これほどの曲が詰め込まれたのは1992年のデビュー盤『Generation Terrorists』以来だった。

アルバムのクレジットを見ると作詞はバンド名、Manic Street Preachers となっていた。以前は作詞と作曲の担当が分かれ、前者を Nicky Wire と疾走した Richey Edwards が受け持ち、後者を James Dean Bradfield と Sean Moore のふたりが担っていたが、これが、まず大きな変化だった。

その影響からか、スタイルの異なる曲が多く収録され、『Miss Europa Disco Dancer』みたいな曲は、それまでの Manics に、あまりないスタイルの曲だった。

そして、3rdシングルに選ばれた日本語がイントロに登場する『Ocean Spray』では James が作詞を担当し、『Wattsville Blues』では Nicky が初めてリード・ボーカルを務めていた点も、新たな変化だった。

前作『This Is My Truth Tell Me Yours』以降、2000年はシングル『The Masses Against The Classes』だけだったこともあり、Manics に飢えていた身には、たくさんの曲が詰まった『Know Your Enemy』は歓迎だった。

また、それ以前の2枚のスタジオ・アルバムではメロディアスな曲が多かったが、『Know Your Enemy』はデビュー盤にも似た雰囲気で、それもデビュー盤から Manics を追っかけてきた身には、10年前のデビュー当時を懐かしくも思わせた。

メロディアスな曲が全くないわけでもなく、中盤に登場する『His Last Painting』では穏やかな James のボーカルを聴くこともでき、このアルバムで好きな曲のひとつだった。

全英チャートでは残念ながら最高2位止まりで、セールス面でも前作ほど売れなかったようだが、曲数が多い割に3分台の曲が多く、続けていろいろなスタイル、それも少しハードに感じる曲が多い『Know Your Enemy』は、個人的に Manics のアルバムの中でも好きな1枚だ。

Know Your Enemy
Found That Soul
Ocean Spray
Intravenous Agnostic
So Why So Sad
Let Robeson Sing
The Year Of Purification
Wattsville Blues
Miss Europa Disco Dancer
Dead Martyrs
His Last Painting
My Guernica
The Convalescent
Royal Correspondent
Epicentre
Baby Elián
Freedom Of Speech Won't Feed My Children

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