Steve Lukather／『Candyman』

先日、Ringo Starr & His All-Starr Band のメンバーとしても来日した元 TOTO の創設時からのオリジナル・メンバー Steve Lukather。愛称 Luke が1994年に前作、ソロ・デビュー盤『Lukather』から5年ぶりにリリースした2ndソロ・アルバムが、この『Candyman』だった。

ギョロッと目玉らしきモノが浮かぶデザインのジャケットに惑わされ、あまり聴きたいと思わないアルバムだが、この頃は TOTO として『Kingdom Of Desire』リリース後のツアーが終えた頃。そして、TOTO 創設からのメンバーで、リーダー的な存在 Jeff Porcaro が急逝した頃でもあった。

『Kingdom Of Desire』はその Luke を中心に作られたアルバムのように感じたが、この2枚目のソロ・アルバムはその作り方を、より発展させたかのようなアルバムだった。

『Kingdom Of Desire』リリース後のツアーで Jeff の後任を務めた Simon Phillips を含め、『Kingdom Of Desire』の制作に関わった Mr. Mister の Richard Page、TOTO の多くのアルバムに参加しているパーカッションの Lenny Castro の名前も『Candyman』にはあり、さらに『Kingdom Of Desire』にある『Never Enough』を TOTO の名前と共にライターに記されていた Fee Waybill が5曲で Luke らと曲を作っていた。

『Candyman』は欧州と日本では Luke の2ndソロとしてリリースされたが、北米では Los Lobotomys として (ジャケット・デザインは同じ) リリース。Los Lobotomys 版にはもう1曲、Jimi Hendrix のカバー『Red House』も収められていた。

Los Lobotomys というバンドは1980年代に Luke と Jeff に加えて Lenny Castro や David Garfield、John Pêna という、この『Candyman』を作ったメンバーが在籍していたバンドで、それぞれのメンバーがスケジュールの合うときに集ってセッションを行うバンドだった。

TOTO のアルバム『Kingdom Of Desire』のスタイルに似て、Los Lobotomys というこれまた、TOTO が結成された頃のようなスタイルのメンバーが集って作られた『Candyman』には、Luke の好きな Jimi Hendrix のカバー『Freedom』や、意外なところで Eagles の Joe Walsh が James Gang として活動していた1970年のアルバム『James Gang Rides Again』にある『The Bomber』のカバーもある。

その Joe Walsh もまた、2000年代には Ringo Starr & His All-Starr Band のメンバーだった。(Richard Page も、先日来日した際のメンバーだった)

『Party In Simon's Pants』や『Froth』『Song For Jeff』といったインストルメンタルでは Los Lobotomys としてのジャム・セッションも十分に聴け、ここでの Luke は当時の TOTO では出来ないプレイを思い切り楽しんでいるようだ。

その TOTO のメンバーは、この『Candyman』では David Paich が5曲目の『Never Walk Alone』の1曲に参加しているだけ。

アルバムほとんどの曲をライブのように一発録りし、追加のレコーディングは僅かだったという『Candyman』。7分以上の曲が5曲と、長い曲が多いが、Luke のギター・プレイが好きな方にはお薦めのアルバムだ。

Candyman
Hero With A 1,000 Eyes
Freedom
Extinction Blues
Born Yesterday
Never Walk Alone
Party In Simon's Pants
Borrowed Time
Never Let Them See You Cry
Froth
The Bomber
Song For Jeff

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